学部・大学院

言語応用学専修

学部生の新規募集は停止しました。

言語応用学専修には4人の教員が属しています。4人がカバーする言語学の分野は多岐にわたり、言語構造論、言語意味理論、言語運用論、コーパス言語学、言語獲得論、第二言語習得論、言語教育論、英語語彙史研究、言語比較論、心理言語学、英語教育学など、言語学の多くの領域を網羅しています。
本専修の大きな特徴のひとつとして、対象言語が広範囲にわたっていることが挙げられます。所属教員の専攻言語の中心は英語および日本語にありますが、研究の対象は、中国語、満洲語・女真語などのアルタイ諸語やタイ語・ベトナム語などの東南アジア言語にまで及んでいます。また、個々の言語の枠を超えて、新たな視点から対象言語の特徴を捉え直していくことも本専修の特徴と言えます。実際、本専修には、日本語・中国語・英語の文法の比較研究を行った院生がこれまでに何名もいました。様々な言語を複眼的に考察することは、言語に関する知見を広げます。複数の言語の比較研究は、本専修の言語研究における主要なテーマのひとつとなっています。

授業科目としては、各教員による言語応用学研究および言語応用学研究演習が提供されています。言語応用学研究では、各教員が興味を持っているトピックを中心に講義がなされています。開講授業の一部を簡単に見てみましょう。ある言語応用学研究では、グローバル化における新たな言語教育を探究する姿勢を身につけることを目的として、言語教育・言語習得に関わる入門書を英語で読み、英語で発表し、英語で議論するという授業を展開しています。専門領域に対する理解を深めるだけでなく、問いを立てて解決する姿勢および情報や考えを英語で伝えるという汎用的技能・能力も同時に鍛えていきます。また、言語応用学研究演習では、各受講生の研究が発展することを目的とし、様々な文献を扱いながら、研究方法の技術的な面と理論面に習熟することが図られています。本専修の院生は、これらの講義・演習を通じて、修士論文の作成に求められる知識・技能を身につけることができます。さらに、言語応用学総合研究と言語応用学研究指導の科目を受講することにより、それぞれの専門領域の見解を深め、修士論文の作成へ至るようになっています。博士後期課程の言語応用学論文指導については、専門分野が近い教員の指導が中心となります。博士論文がある程度進んだ段階から、領域の異なる多くの教員が参加する場で、定期的に発表・討論します。全ての教員が論文作成に向けた研究指導に参加し、論文のクオリティ向上に積極的に関与するということも本専修の特徴といえるでしょう。

博士前期課程(修士論文)に関してですが、1回生の終わりまでには修士論文の全体的な構想が決まっていることが望まれます。その実現のために、1回生向けに、修論準備のための講義・演習が前期・後期で4コマずつ開講されています。本コーススタッフによって行われる授業ですが、修論作成に向けて有益な情報が得られますので、1回生のときに必ず受講するようにしてください。また、月に一度、博士前期課程を履修する院生と全教員が参加する言語応用学総合研究が開催されます。そこで、全ての院生が修論の進行状況を発表し、研究内容に関する意見を活発に交換したうえで、より良い修論の作成を志向した有意義な検討を行います。そうして完成された修論に関する口頭試問は、2回生の2月初旬を目処に開催されます。

博士後期課程(博士論文)に関して、そのテーマについては、言語に関する研究であることを前提に自由に設定することができます。実際の例として、修了生の博士論文題目には、「幼児における格助詞ガの獲得過程」「事態認識の英語表現 : コトの生起に対する話者の心的態度」などがありました。留学生らは、複数言語の比較分析に興味・関心を持っていることも少なくなく、例えば「中日英<ウナギ文>の研究」や「A Comparative Study of Noticing between L1 and L2 Writing Processes of EFL Learners from Japan and China」などを博論の題目としていました。

大学院進学をご検討の方は、指導を希望する教員スタッフにメールでお問い合わせください。メールアドレスはこちらのページからご確認ください。なお、本専修では、研究生の受け入れをしておりません。

 

おしらせ

準備中です

スタッフ

山崎雅人 教授 言語構造論、言語情報論。言葉の仕組みを様々な面から論じます。日本語とアジアのいくつかの言語の間で類似性が見出せ、たとえば「試しにする」という意味で日本語では「~してみる」という視覚動詞を用いた表現形式があります。アジアには広く同様の形式が見られ、それらが個々にどのような特徴を持つかなどを考察しています。
田中一彦 教授 言語意味理論、言語運用論。英語と日本語の時制・相に関わる問題の比較研究を行っています。とくに、間接話法構文と時の副詞節中の時制のふるまい方を中心に考察しています。
辻香代 准教授 第二言語習得論・英語教育学を専門とし、本学の言語教育論や英語教育関連の授業を担当しています。また、母語と外国語の相乗効果を狙う「ことば」の教育、および、母語使用と機械翻訳を融合した外国語ライティング教育などに関する研究を進めています。
小倉雅明 講師

英語の辞書やその歴史に主な関心があります。具体的には18世紀英国の辞書編纂家・文筆家であったSamuel Johnsonの文体や言語的な特徴に興味があります。とくに、Johnsonが『英語辞典』(1755)を編纂していた時期に刊行した定期刊行物、The Ramblerにおける彼の言語使用について、文法の観点から後期近代英語と照らし合わせてどのような特徴をもつか、その言語使用がどの程度規範的であったか(あるいはなかったか)について探っています。

院生研究テーマ

郭 丹磊 M2 体の状態を現す擬態語の日中対照研究
樫本 洋子 D3 小学校英語教育、読み書き指導、教員養成
石田 雅子 D3 子どもの第二言語習得、英語教育
大前 佳苗 D3 英語のリズム、英語熟達度とワーキングメモリの関係
Diodato Francesco D3 イタリア語教育学

刊行物

言語情報学研究 2005年3月に第1号を出版以来、毎年3月に刊行。院生、教員、および修了生が主な執筆者である。専修の一つの活動報告書を兼ね、新しい世代が飛躍するための踏み台としての役割も担っている。

学会活動

本専修には教員・学生が参加する大阪市立大学言語情報学会が組織されています。毎年秋に大会が開催され、卒業生・修了生も参加して貴重な研究発表や情報交換の場となっています。