2021年度文学研究科プロジェクト

大学所蔵の歴史資料を基盤とした大阪の歴史・文化研究拠点構築

日本史学教室

「北組道修町三丁目文書」の一部

研究概要

 大阪公立大学の杉本図書館(旧大阪市立大学学術情報総合センター)には、近世から近代にかけての膨大な量の古文書(こもんじょ)が所蔵されている。また、同図書館の大学史資料室や文学研究科に所蔵されている古文書もある。それらの中心を占めるのは、大阪府内の地域で作成、伝来してきた古文書類であり、近世~近現代の都市大阪研究や、上方を中心とする芸能史研究、大阪府内の地域史研究などの進展にとって重要な史料を数多く含んでいる。
 このプロジェクトでは、本学が所蔵する主な古文書類を対象に、それを活用して進められてきた歴史・文化研究の現状と到達点を現時点で再整理し、これら史料の研究上の意義と可能性を明らかにするとともに、その新たなデジタル化や公開、またその手法について共同研究を進めるものである。
 2021年度には、杉本図書館所蔵資料のうち、①主要な古文書の研究状況について調査し、研究会形式で共有するとともに、②目録作成済みだが未公開の古文書や、目録自体も未作成の古文書などについても、概要把握と目録の整備、新規作成や一部撮影(画像データ作成)などを進めた。その成果は、今後、本サイトに随時、増設する予定のデータベースなどを通じて公開していく。

「日本経済史資料」の古文書(帙入り)

研究メンバー

 代表研究者は、仁木 宏(文学研究科 日本史学教授)、共同研究者は次の諸氏である。

齊藤紘子(文学研究科 日本史学・准教授)
佐賀 朝(文学研究科 日本史学・教授)
岸本直文(文学研究科 日本史学・教授)
磐下 徹(文学研究科 日本史学・准教授)
水内俊雄(文学研究科 地理学・教授)
久堀裕朗(文学研究科 国文学・教授)
塚田 孝(文学研究科 日本史学・特任教授)
渡辺祥子(甲南女子大学非常勤講師・塚田科研A研究補佐)
渡部陽子((仮称)大学史資料館設立準備委員会・研究補佐)
呉 偉華(文学研究科・都市文化研究センター(UCRC)研究員)

 以上のほか、研究協力者として田中ひとみ氏(大学史資料室・研究員)、田坪賢人氏(大学院博士後期課程大学院生)も本共同研究に協力している。

大阪公立大学が所蔵する古文書の概要情報

 このページでは、杉本図書館が所蔵する近世都市大坂研究に関わる史料群について、近年の研究状況もふまえて新たに作成した史料概要を掲載、紹介する。これを通じて、これらを用いた最新の研究動向と今後の可能性について明らかにしたい。

■ 杉本図書館所蔵「近世史資料」の主な古文書

 「近世史資料」は、戦後に大阪市立大学が購入した近世・近代古文書の総称である。以下では、「近世史資料」に含まれる古文書のうち、近世都市大坂研究に用いられてきた主要な古文書について、最新の研究状況をふまえた解説を行う。

杉本図書館所蔵「近世史資料」解題一覧

杉本図書館所蔵「日本経済史資料」の主な古文書

 「日本経済史資料」は、大阪市立大学の前身である旧大阪商科大学経済研究所が戦前に収集した古文書の総称である。本プロジェクトでは、「日本経済史資料」についても、最新の研究をふまえた解説を準備中で、今後、その公開を進める。

►準備中

杉本図書館所蔵「明治大正大阪市史編纂資料」の全容

 「明治大正大阪市史編纂資料」は、明治後期から大阪市が進めた市史編さん事業に際して大阪市史編纂掛が調査・収集した史料のうち、明治期の産業・会社や同業組合関係の史料を編綴したものである。大阪市史編纂資料の大部分は、大阪市立中央図書館・大阪市史編纂所に現在も収蔵されているが、その一部が旧大阪商科大学移管されたものと見られる。
 本プロジェクトでは、従来、その簿冊タイトルだけが知られていた同資料の簿冊別概要を調査し、件名目録の作成を進めている。これらについても、今後、その公開を進める。

►準備中