学部・大学院

地理学コース

geo

http://www.lit.osaka-cu.ac.jp/geo

哲学者カントは事物の存在を規定する根本的な契機として時間(いつ)と空間(どこ)があるとしました。歴史学が時間を扱うのに対して、地理学は人間の生活する地球表面の「空間」や「景観」の形態、構造、過程を研究する学問です。家屋、道路、耕地、工場、商業・娯楽施設、その他の人間活動のための諸物からなる「空間」や「景観」は人間が歴史の流れの中で作り上げてきた組織、構築 物、そして意味体系です。これらは経済、社会、文化、政治、自然などの事象との関連で形成され、意味をなし、またその様態は常に変化しています。

こうして世界はさまざまに分化した「空間」や「景観」から成り立っています。したがって地理学は、東洋史学・西洋史学・文化人類学同様に世界を研究対象にします。分化した「空間」や「景観」は人間のすみかを作り、人間生活を条件づけています。したがって地理学は、社会学が人間の組織や相互関係を扱うのに対して、人間とそれを取り巻く「空間」や「景観」(広義の環境)について考えます。

大阪およびその周辺における自然・人文各分野にわたるさまざまな事象に関する研究の蓄積は本コースの伝統であり、『アジアと大阪』(古今書院刊)の出版をはじめ、雑誌『空間・社会・地理思想』の定期刊行など、これまで数々の成果をあげています。また、海外研究についてもアジア、ヨーロッパ、アメリカなどで現地調査に携わった経験を持つ専任スタッフを擁し、国際的な広がりを持った授業が展開されています。

しかしながら、地理学は非常に広範にわたる事象を研究対象としていますので、専任スタッフのみですべての分野をカバーすることは困難です。それゆえ毎年数人の非常勤の先生方に出講をお願いし、専任スタッフの専門分野以外の諸分野をカバーし、在学中に地理学研究の懐の深さを理解できるようにつとめています。さらに、卒業論文などで必要な場合には、国内・海外の研究者を適宜紹介しています。

広範な地理学の諸分野を見通すために、「経済・都市」「景観・文化」「社会・政治」「地理情報システム」の4つの専門領域を学習の基本軸として設定し、さらに経済・社会・文化・政治・環境など、人間の生活と行動に関わるさまざまな要素を幅広く知るためのカリキュラムが用意されています。

1回生の「人間行動学概論」は、人間行動学科の学問に対する基本的な考え方と各コースの学問の基礎的手法を身につけることを目的としています。

2回生では、「地理学概論」「地誌学」で地理学・地域研究の特質を学ぶとともに、「地理学実験実習」「地理学野外調査実習」を通じてインドア・ワーク(室内での地形図・空中写真などの読図と計測、コンピュータを用いた情報処理技術)とフィールド・ワーク(数日間にわたる野外での計測・資料収集・インタビューなど)の訓練を受けます。また、「地図学」では地図の発達史や測量技術の基礎を、「地理情報学」では近年注目されている地理情報システム(GIS)などに関する最先端の研究課題と方法を学びます。

3回生では、「地理学野外調査実習」でフィールド・ワークを継続しつつ、「地理学講読演習」で外国語論文の読み方と専門用語についての知見を深め、「地理学演習」によって地理学界の最先端の研究動向と研究方法とを国内・海外の文献を通じて習得するとともに、各自が関心を持っている研究テーマに即して報告を行い、その内容を全員で議論します。また、「地理学特講」については、非常勤の先生による講義も少なくないので、2回生以上の方は学年を問わず積極的に受講してください。

4回生は「卒業論文」の作成が中心となります。本コースでは専門領域別にみっちりときめ細かな「卒業論文演習」を実施しています。

さらに、授業以外でも適宜「巡検」を実施しています。「巡検」は、コースに所属する教員・大学院生・学部学生がキャンパスを離れて実際に「地域」や「景観」を観察し、現地でディスカッションを行うもので、地形図の読図力や野外観察の眼を養うことを目的としています。巡検の際には、3回生があらかじめ見学地に関する資料集を作成し、現地での情報収集や観察が効率よく行えるよう準備しています。

とくに野外調査による観察とデータ収集の重視は、本学「地理学コース」の創設期以来の伝統的特色といえます。近年発達のめざましい情報処理技術についても、最新のデジタル・マッピング、地理情報システム(GIS)設備、地図室などを擁しています。あわせて地理学コースには、情報処理室、製図室、情報資料室など、教材・測定設備・コンピュータを備えた実習室と大学院・学部学生の指導室(各1室)があります。

また、常に学界の最新の研究動向・技術を教育の中にとり入れるよう心がけ、少人数クラスによる演習、実習でみっちりと実力を養うことを目ざしています。

スタッフ

大場茂明 教授 土地・住宅政策、都市開発・再開発事業を中心とする日本・ドイツにおける都市政策の比較研究(各地域における居住形態の比較、町並み保存事業の展開等を含む)。 
水内俊雄 教授 都市の社会問題・住宅問題の現状や歴史的経緯についての社会地理学的研究。
山﨑孝史 教授 グローバルな政治経済的変動とローカルな社会運動に関する政治・社会地理学的研究。
祖田亮次 准教授 人文地理学、人口移動、資源利用・管理、災害文化、東南アジア地域研究
木村義成 准教授 地理情報システム、ジオデモグラフィクス、保健医療分野におけるGISの応用

コース決定にあたっての心構え

野外観察の眼の養成やデータの計量処理・地図化の技術をはじめ、すぐれた外国語能力、総合的な思考力など、地理学を学ぶために必要とされる能力は多岐にわたっています。それゆえ外部の世界に目を見張って、物事を具体的に考え、広範なトレーニングに意欲的に取り組むことのできる、好奇心を持った活力の旺盛な人に向いているといえましょう。地道な学習を積み重ねれば、卒業時には国際化・情報化時代にふさわしい能力を獲得することが期待できます。

1回生では学科共通科目を受講して人間行動学の基礎を学ぶとともに、なるべく幅広く全学共通科目を受講するように心がけてください。そうした授業を通じて身につけた知識は、間口の広い地理学を学ぶ際に必ず役に立ちます。

また、外国語は少なくとも英語の能力を磨くことが必要です。なぜなら、学界の最新の研究動向を知るには情報発信量の圧倒的に多い英語文献の読解力が前提となるからです。この他、特定の地域や文化を研究したいと考えている人は、その地域の言語になるべく早く親しむことが望まれます。本コースの卒業生の中には、留学の機会に現地でのフィールド・ワークを行い、卒業論文を作成した人もいます。

卒業後の進出分野

かつては卒業生の多くが高校などの教員となっていましたが、近年は官庁や会社の実務の分野などに進出し活躍する者が多くなっています。 なかには、地理学の専門知識や地図作成技術あるいはコンピュータ処理能力などを買われて、旅行業、地図・写真測量会社、都市計画・地域計画コンサルタント、 気象調査会社、海外企業などに就職する者もいます。

メッセージ

本コース専攻を希望している人、考慮している人は、学部学生・大学院生・教員が常時詰めている地理学情報処理室(文学部増築棟3階)に気軽に来室して、 見学したり、いろいろな相談をもちかけてください。