文化資源学専修

文化資源学は21世紀に入ってから本格的に注目されるようになった新しい領域の学問です。特に本専修では、文化の保存・継承のあり方(ストック面)だけでなく、現代社会における活用のあり方(フロー面)にも着目して、それらを理論と実践の両面から研究することを特色としています。研究の射程とする文化は多岐に渡り、歴史的所産から最新のサブカルチャーに至るまで、さらに「モノ」としての文化(絵画や彫刻、建築、街路など)だけでなく、「コト」としての文化事象(演劇・戯曲、アートイベント、ワークショップ、観光実践など)も対象となります。スタッフの専門は、演劇学、表象文化論、美術史学、博物館学、観光学、社会学、芸術療法、アートマネジメントと多岐に渡ります。授業では、アート(特に美術・音楽・演劇)とツーリズム(観光)に関連する文化資源のあり方を中心的に扱いますが、文化資源に関連するあらゆるテーマに関心を持つ学生を歓迎します。

教員紹介

小田中章浩 教授

専門分野 フランス演劇、比較演劇、表象文化論


フランスを中心とした西洋演劇の研究、日本と西洋の演劇の比較研究、演劇、映画、小説などの分野を横断した表象文化の研究を行っています。授業では、演劇の文化資源としての活用のあり方、演劇とコミュニティの関係について主に考察します。情報が氾濫する現在の世界では、大学に於ける伝統的な「知」のあり方が問われています。そうした状況で学ぶ学生に必要なことは、専門分野について学ぶことは当然として、今後知的な世界で生き延びていくための強靱な知性と進んで異分野の専門家との対話を求めていく、いわば「ケモノ」的な発想と行動力です。そのための「生きた哲学」とスキルを伝授しなければならないと考えています。


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菅原真弓 教授

専門分野 美術史、文化資源学、博物館学


日本美術史、特に幕末から明治期にかけての媒体(版画、主に浮世絵版画)に関する研究が主たるテーマです。単に「美しい」と愛でられる絵画ではなく、時代背景(社会的、政治的な)と密接な関係を持つ美術に関心があります。今後まとめようと思っている浮世絵版画の受容史はそうした関心が基で生まれたものです。研究に対するスタンスとして私が大切にしていることは「愚直」であることです。楽をして手っ取り早く成果をあげようとせず、資料を集めたりフィールドワークによってサンプルを集めたり、といった基礎的な勉強を「愚直」に行ってほしいと思います。世界がアッと驚くような研究だって、最初の一歩はちいさなものだったはずですから。


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天野景太 准教授

専門分野 観光学、都市社会文化論、メディア創作


観光を社会現象として捉え、現代観光の社会・文化的な特質を読み解くことを課題としており、特に、都市観光論、都市・地域社会文化論、ニューツーリズム論、観光メディア論を中心に研究しています。授業では、観光文化や地域創造に関する理論と実例を検討するとともに、それらの分析・評価の手法についても学びます。また、文化資源が活用されている現場へのフィールドワークも企画・実施する予定です。大学院における「学び」は、既存の理論や学説をつまみ食いするのではなく、ものごとを一から地道に考え抜く実践こそが求められる現場です。皆さんとともに試行錯誤を繰り返しながら真剣勝負で授業に臨みたいと思います。


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沼田里衣 テニュアトラック特任准教授

専門分野 臨床芸術学、音楽療法、即興音楽


障害のある人を含む様々な人々が、技術や価値観の差異を超えて音楽作りをすることについて、実践と理論の両面から領域横断的な研究をしています。関連領域は、音楽療法、音楽学、コミュニティ音楽、アートマネジメント、障害学などです。実践研究として主に知的障害者を対象とした即興表現活動も続けています。授業では、臨床音楽学の議論の紹介や社会的課題と結びついた文化実践に関する文献講読を行います。研究に際してまず大切なのは「問い」を設定することだと考えています。その問いを深めていく旅こそ、研究の醍醐味です。その旅路には、自らとの対話、書物との対話、研究者との対話、そして対象領域に関連する様々な現場の人々との対話が含まれるでしょう。多様な知を吸収しながら多くの発見が得られるように応援していきたいと思います。


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科目名一覧

後期博士課程

  • 文化資源学専修
  • 文化資源学論文指導
  • 文化資源学特殊研究A(演劇と社会)
  • 文化資源学特殊研究B(芸術文化資源と『評価』)
  • 博士論文指導

修士課程

  • 文化構想学研究C(文化資源)
  • 国際文化資源論研究
  • 国際文化資源論研究演習
  • 芸術文化資源論研究
  • 芸術文化資源論研究演習
  • 観光文化資源論研究
  • 観光文化資源論研究演習
  • 社会実践文化資源論研究
  • 社会実践文化資源論研究演習
  • 文化資源学特別講義A
  • 文化資源学特別講義B
  • 文化資源学総合研究1
  • 文化資源学総合研究2
  • 文化資源学研究指導1
  • 文化資源学研究指導2

修了後の進路

  • 一般企業(IT関連、旅行会社、観光業、通訳業など)
  • 文化制作関連(美術館・博物館、文化行政官、イベントプロデューサーなど)
  • 研究者、大学教員

修論・博論のテーマ(例)

  • 「社会的包摂を視野に入れたアーツマネジメントによるコミュニティ再構築」(博士論文)
  • 「グローバルコンテンツとしての“宝塚”―歌劇空間が創り出す都市文化」(修士論文)
  • 「中国の民族観光における伝統文化の継承を目指したオルドス市型の人文資
  • 源の保護について」(修士論文)
  • 「五條市新町道りにおけるサウンドスケープデザイン」(修士論文)