2011年秋ハンブルク市区再生事業見学
2011年11月、2009年度に引き続きハンブルク市内で実施されている市区更新事業を見学した。今回は、IBAハンブルクプロジェクト、アルトナ地区の再開発事業を訪問した。現地見学には、共同研究メンバーであるディルク・シューベルト教授(ハンブルク・ハーフェンシティ大学)ならびにsteg(ハンブルク都市開発・都市更新公社)の代表であるハンス・ヨアヒム・レスナー氏、同不動産開発部門責任者のクルト・ラインケン氏が同行し、様々なまちづくりの取組みについて詳細な説明を受けた。
IBAハンブルク
エルベ川中洲に位置するヴィルヘルムブルク(Wilhelmsburg)地区(人口5.5万人)は、都心に隣接する位置にありながら、水害常習地であるため、低利用地・未利用地が多く残っていた。あわせて、1970年代以降は40ヶ国以上から移民たちが流入し、社会問題の集中する地域でもあった。この地区では、近年 Internationale Bauausstellung(IBA, 国際建築博)により、下記の三つのテーマによる総合地区開発(2007~2013年)が行われている。
「コスモポリス」多様な出自の都市住民が共生できる都市の建設
ファサード改修など、リノベーションがすすむ集合住宅
閉鎖された学校施設をハーフェンシティ大学建築学部の学生が改修した「近所の大学」
エネルギー節約などを盛り込んだ、新たな住宅モデルの提案
「メトロゾーン」低開発地区の生活環境の改善
地区の中心部に官庁街が建設され、業務地区が新たに形成される予定である
「気候変動と都市」自然との調和による都市の持続的な発展をはかる
河川上に浮かび、水位の変動に対応できるIBAドックは、ビジターセンターを兼ねている
ソーラー発電施設へ転用予定の第二次大戦時の巨大防空壕、いずれは地区内でのエネルギーの完全自給を目指す
こうした多様なプロジェクトは、ハンブルク都心部でもPRされている。
アルトナ(Altona)地区、グローセベルク通り
グローセベルク通り(Große Bergstraße)は、かつては地区の中心商店街であったが、1990年代半ばより、空き店舗が増加し、衰退が目立つようになった
2005年に再開発地区に指定され、更新事業が始まった。この地区の再開発を担うstegのマネジメント事務所
アーティスト、創造産業の誘致によるアート・センター(事務所・ギャラリー・アトリエの複合施設)建設など、地区活性化が図られている
さらに、この地の賑わいを取り戻すべく、IKEAの建設が進んでいる。
[撮影:北村昌史、高梨友宏、丸市将平 (大阪市立大学)]