萬年社調査研究プロジェクト報告会(第3回)

当日報告(石田佐恵子)

4年ぶりに開催された「萬年社コレクション調査研究プロジェクト報告会」は、総勢80名ほどの参加者となりました。多数来場いただき、誠にありがとうございました。当日は造幣局桜の通り抜けも開催中とあって、絶好の会合日和で、4月の春らしい一日でした。旧萬年社OBを始め、多くの研究者の方々、メディア関係者の方々にもお越しいただきました。

前半第1部では、完成した目録の概要をかいつまんでご紹介し、後半第2部では、それぞれが研究展開の可能性についてお話しいたしました。短い開催時間に目一杯の報告内容を詰め込みましたが、「盛り沢山で寝ているヒマがなかった」とのお褒めの言葉(?)もいただき、プロジェクト最終の報告会に相応しい熱気のあふれた集まりとなりました。
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今後は、完成した資料目録を元に、各自が研究を推進し、近い将来、成果報告書を出版できることを祈願しております。今後とも萬年社コレクション調査研究プロジェクトをどうぞよろしくお願いいたします。

萬年社調査研究プロジェクト報告会(第3回)

日時:2015年4月11日(土) 13時30分〜16時30分
場所:大阪市立大学文化交流センター ホール

LinkIcon梅田サテライトLinkIconポスターLinkIcon詳細

大阪市立大学文学研究科では、2009年度より「萬年社コレクション調査研究プロジェクト」を立ち上げ、大阪新美術館建設準備室と連携協力することによって、同資料のうち、図書類、引札類を除く、文書と印刷資料類/フィルム・テープ類の整理作業を進め、2014年度に最終目録を完成させました。この度、完成した全目録をご報告し、今後の研究展開を考えるために、4年ぶりに第3回報告会を開催します。

本報告会第Ⅰ部では、日本最古で大阪に所在した広告代理店「萬年社」が残した「旧萬年社コレクション」の目録概要・資料群を紹介し、第Ⅱ部では、それらの研究展開を考えます。

事前申込みは特に必要ありません。直接会場にお越し下さい。みなさまのご参加をお待ちしております。

<報告者、報告タイトル>
第Ⅰ部  13:30〜14:30
菅谷富夫 「コレクションの来歴と大阪新美術館建設準備室」
竹内幸絵 「調査プロジェクト活動経緯とコレクションの全体概要、整理の現況」
竹内幸絵・中嶋晋平・石田佐恵子 「コレクション詳細(紙資料/社史/テープ類)について」

第2部
第Ⅱ部 研究報告 14:45〜16:30
土屋礼子 「メディア史研究から見た萬年社コレクションの価値」
木原勝也 「広告ビジネス発達史における萬年社のフロンティア性」
竹内幸絵 「萬年社紙資料に残された戦時期広告代理店のクリエイティブ」
中嶋晋平 「アジア・太平洋戦争期における宣伝と広告業界 ―日本宣伝文化協会の活動を中心に―」
石田佐恵子「萬年社ビデオ資料からみるPR映像・番組類制作について」

重点研究シンポジウム「都市・大阪に関する文化資源・社会調査データアーカイブの構築——二次分析を通じた新たな研究主題の創出——」

シンポジウムのまとめ(伊地知紀子)

IMG_1059.JPG 本シンポジウムは、2015年1月30日に大阪市立大学梅田サテライトにて、大阪市立大学戦略的研究B「都市・大阪に関する文化資源・社会調査データアーカイブの構築――二次分析を通じた新たな研究主題の創出――」(代表 石田佐恵子)の成果として企画・開催されたものである。本プロジェクトは、都市・大阪に関する文化資源、社会調査、研究資料、研究成果の統合的データアーカイブを作り上げ、二次分析を通じて新たな研究主題を創出し、アーカイブ公開を通して公共の財産として広く社会に還元することを目的としている。そこで、本シンポジウムでは、大阪市立大学文学研究科社会学教室において蓄積されてきた調査データの活用可能性、共同研究のカウンターであるエル・ライブラリーにおける資料蓄積とその活用、またこれらに関連する研究成果を蓄積してきた研究者が知見を持ち寄り、新たな研究主題を見いだす契機とし、現代的な都市の諸問題についての応用研究への展開可能性を議論することを目指した。



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 シンポジウムには28名が参加し、プログラム第1部では、都市・大阪に関する市大社会学教室所蔵データとエル・ライブラリー所蔵データの概要と活用、これら二拠点に萬年社コレクションを加えたデータベースとして構築する過程について報告があった。第2部では、都市・大阪の歴史や現在に関する具体的なデータを活用した研究の過程とその成果についての報告があった。報告内容の詳細については、本報告書を参照いただきたい。各報告とも大変内容が充実しており、総合討論においても報告者同士の活発な意見交換、フロアからの多数の質問が出され、大変有意義なシンポジウムとなった。
 今回のシンポジウムを開催することにより、本プロジェクトにかかる課題や発展可能性について幾つもの知見が得られた。第一点目として、各拠点で構築してきたデータベースの共有化である。領域を越えて資料価値のある素材群の保管場所は同一とは限らない。かつては、「発見者」に使用権があるかのように捉えられてきたが、IT環境が拡張している現在、貴重な資料の「囲い込み」ではなく共有化が求められる。第二点目に、素材やデータの共有による新たな研究可能性の提供である。従来の調査研究において、一定の成果が得られた後に素材そのものが放置されているケースが多い。データの読み方や重要度は分野や視点が異なれば、また違った輝きをえられるという指摘もあり、これらの保存の必要性も確認された。第三点目として、領域横断的に都市・大阪をめぐる膨大かつ豊富な資料をデータベースとして共有化するとともに、これらの成果を研究者や市民に開く講座の開講である。いずれの点においても、エル・ライブラリーの実践が先行しており大変参考となる。フロアからは、大阪市内の公立図書館における実践が紹介され、これらとの連携可能性について教示を受けた。

*報告書要旨集を作成いたしました。

重点研究シンポジウム「都市・大阪に関する文化資源・社会調査データアーカイブの構築——二次分析を通じた新たな研究主題の創出——」

日時:2015年1月30日(金) 13時00分〜17時00分
場所:大阪市立大学梅田サテライト 大講義室(101室)

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テーマ:
本シンポジウムは、大阪市立大学戦略的研究B「都市・大阪に関する文化資源・社会調査データアーカイブの構築——二次分析を通じた新たな研究主題の創出——」(代表 石田佐恵子)の成果として企画されたものである。本プロジェクトは、都市・大阪に関する文化資源、社会調査、研究資料、研究成果の統合的データアーカイブを作り上げ、二次分析を通じて新たな研究主題を創出し、アーカイブ公開を通して公共の財産として広く社会に還元することを目的としている。そこで、本シンポジウムでは、大阪市立大学文学研究科社会学教室において蓄積されてきた調査データの活用可能性、共同研究のカウンターであるエル・ライブラリーにおける資料蓄積とその活用、またこれらに関連する研究成果を蓄積してきた研究者が知見を持ち寄り、新たな研究主題を見いだす契機とし、現代的な都市の諸問題についての応用研究への展開可能性を議論することを目的としている。

<報告者、報告タイトル>
第1部
13:05〜13:35 川野英二(大阪市立大学文学研究科)

  • 大阪市大社会学実習・調査報告書データベースについて

13:35〜14:05 谷合佳代子(エル・ライブラリー)

  • エル・ライブラリーにおける大阪100年の資料アーカイブ ―その紹介と活用その紹介と活用

14:05〜14:25 村上晴美(大阪市立大学創造都市研究科)

  • inspired ―都市・大阪〈文化資源・社会調査〉資料検索 〜萬年社コレクション、エルライブラリー資料を中心に〜

第2部
14:40〜15:10 篠田徹(早稲田大学)

  • 『大阪社会労働運動史』の成果と活用 ―労働教育講座の実践

15:10〜15:40 島田克彦(桃山学院大)

  • 近代都市社会史研究にとってのアーカイブ

15:40〜16:10 福原宏幸(大阪市立大学経済学研究科)

  • 高度経済成長期大阪におけるマイノリティ集団とその産業 ―テーマ設定から資料発掘まで

16:15〜17:00 総合討論

<コーディネーター>伊地知紀子(大阪市立大学)
<シンポジウム連絡先>伊地知紀子 ijichi★lit.osaka-cu.ac.jp(★を@に)