中国は古くから日本にとって重要な隣国であり、様々な交流がありました。前世紀には不幸な歴史を持ちましたが、近年は政治・経済・文化・科学技術の各分野で、再び重要なパートナーとなっています。今後も相互交流はますます活発となり、重要度は増してゆくことでしょう。しかし、相互理解のためには、社会的、経済的な結びつきだけでなく、歴史や文化的な伝統を十分に理解することが肝要です。その国の言葉を覚え、人々の考え方を知り、文学、映画などに親しむことによって、初めて深い相互理解に到達するのです。私たちのコースでは幅広い分野を対象として、教育・研究を行っています。
現有スタッフは、文学1名、語学1名、文化論1名の3名です。文学の分野では、中国文学の精華である詩歌、散文を研究対象としています。語学の分野では、古代漢語から現代漢語に至る中国語の歴史的な展開に即して、文法、音韻、文字などの側面から多角的に研究をしています。文化論の分野では、現代中国に重点を置き、映画などの表象芸術を中心とした研究を行っています。多様な角度から中国について研究するのが本コースの特色の一つです。また、学界をリードする研究が行われ、多くの研究者を輩出しています。そうした伝統を持つことも、本コースの特色の一つです。
中国に対して関心を持つきっかけは、中国語でも、中国の映画でも、また中国の自然でも構いません。もちろん『三国志』『封神演義』といった小説であっても良いでしょう。どんな入り口から入っても、中国の世界は広い奥行きと刺激的な魅力を持って、みなさんを迎えてくれるはずです。そして本コースのスタッフは、みなさんの中国世界の探求の道案内をつとめることをお約束します。
次にカリキュラムについて申しますと、まず「概論」で全体的な知識を身につけ、二、三回生向けの「基礎演習」と三、四回生向けの「演習」で、文献の読解力、辞書などの工具書の使い方、および研究方法を学びます。さらに三、四回生向けの「特講」でやや専門的な知識や新しい研究分野についての知識も得られます。そうした基礎の上に、四回生で卒業論文指導を受けつつ、大学での勉強の総決算として、卒業論文の執筆に当たることになります。講義科目でも参考文献などを読んで積極的に知識を身につけることが必要ですが、演習科目ではよりしっかりとした予習が必要です。そうして自分から積極的に学ぶ姿勢が、みなさんの大学生活を有意義にすることは言をまたないでしょう。
なお日頃出入りすることになる共同研究室の雰囲気ですが、和気藹々としており、決して堅苦しさを感じることはありません。先輩達はみな親切で、いろいろと教えてくれます。また学生、院生、卒業生、教員を中心に大阪市大中国学会という学会が組織されており、年二回研究発表会が行われています。この学会では『中国学志』という研究誌を発行していますが、そのレベルは高く、平成14年度には「蘆北賞」を受賞しています。
コースからのおしらせ
準備中ですスタッフ
張新民 教授 | 中国人教員。現代中国文化論及び映画論研究。 |
---|---|
大岩本幸次 教授 | 中国古代字書の研究。字書を主な資料とする音韻史の研究。 |
高橋 未来 准教授 | 唐代文学研究。 |
コース決定にあたっての心構え
本コースを志望する人は、まず中国語をしっかり学んでおいてください。一回生の段階ではまだ少し無理でしょうが、読めるだけでなく、聴き取って話す能力もマスターできるよう心掛けてください。そのような目標を早くから自分に課しておれば、四年間で中国語がかなり自在に使いこなせるようになります。
それから、先述したように本コースでは、文献の読解を基礎にして研究を進めてゆきますから、二回生に上ってきたら、現代語だけでなく古典語(いわゆる漢文)読解の授業が待ちかまえていることを心に留めておいてください。その意味で共通科目では、「中国古典語」の履修を勧めます。
卒業後の進出分野
かつては高等学校の国語教員となり、漢文や日本古典を担当する人が多かったのですが、近年はその割合が減り、企業や官公庁に就職する人が増えてきました。私達の希望としては、大学で修めた専門を生かす仕事に就いてほしいのですが、新聞社や旅行社や商社に就職して語学力と専門的知識を活用している卒業生がいる反面、それとはほとんど関係のない業種を選ぶ人もいてさまざまです。なお、大学教員については先述しましたが、学部卒業生にも高等学校で中国語を教える道が開かれています。
メッセージ
以上、限られた字数で私達のコースの紹介を試みましたが、もっと情報を得たい人は、中国語の時間などに専任教員をつかまえて遠慮なく尋ねてください。また、いつでも文学部棟3階の共同研究室を覗いてみてください。学生、院生でとても賑やかで皆さんを「熱烈歓迎」してくれるはずです。
刊行物
『中国学志』 | 中国語中国文学教室では、卒業・修了生を主要な会員とする大阪市立大学中国学会を組織し、その出版活動として、査読雑誌『中国学志』(1986年創刊)を年1回刊行しています。その功績が認められて2002年に蘆北賞を受賞しました。 |
---|