倫理学入門 討論「新生児の治療を行うべきか?」

大阪市立大学全学共通科目 4/14/1999 第1部第1限


【行うべきだ】(数字で示す。反論は小文字で示す)

(1) 医師は人の生命を助けるためにいる----治療の義務がある
(反論1-a)勝手に治療したら傷害罪になる
 (再反論1-a-i)助かる生命を助けないのは不作為による殺人
(反論1-b)例外はある

《コメント》依頼を受けていないから「すべき」ではない(してもいいが)

(2) 子どもには生きる権利がある
(反論2-a)例外はある
(反論2-b)十分に守られるとは限らない
 (再反論2-b-i)守れる社会を作ることが大切

(3) 親には育てる義務がある
(反論3-a)例外はある

(4) 障害があるからといって不幸とはいえない
(反論4-a) 親の死後どうするか

(5) コミュニケーションの手段はある(パソコンなどの道具)(「いや」「いい」などの意志表示)

(6) 死なせるよりは生かすほうがいい

(7) 手術の成功率は高い


【行うべきでない】(アルファベットで示す。反論は小文字で示す)

(A) 親が反対しているので(子どもの意志はわからない)(子どもに決定能力がない)
(反論A-i)健常者の子どもでも望まれなかった子はいる

(B) 重度の障害をもち介護が必要なのに、身内は介護できず、一生病院で送らせるのも子どもにとってよくない(子どものためにならない)(生まれてくるべき子どもでない)

(C) 今後に責任をもてないのに治療するのは医師のエゴ。医師は依頼に従うべき

(D) 他人とコミュニケーションをとれないのでは大変(人間らしい生活ができない)
(反論D-i)存在を否定する権利はない

(E) 両親が愛情こめて育てるかどうか疑問
(反論E-i)健常児でも同じこと

(F) 本人がつらい・困る
(反論F-i)健常者が幸せであるとは限らないし、障害者が不幸であるとは限らない
 (再反論F-i-a)障害は不幸の大きな要因になる
  (再々反論F-i-a-i)幸か不幸かは生きてはじめてわかる
   (再々再反論F-i-a-i-a)不幸になるかも
    (再々再々反論F-i-a-i-a-i)可能性が大切
 (再反論F-i-b)親(とくに母親)が不幸。親に望まれない子は不幸
  (再反論F-i-b-i)親は喜びを感じられる。変わる可能性
   (再々反論F-i-b-i-a)成長の喜びは少ない
   (再々反論F-i-b-i-b)不幸を引きずる可能性も

(補足F+)長生きできる保証はない
 (補足への反論F+i)長生きすることは良いことか?

(G) お金がかかる
(反論G-i)この親にはそれほど負担ではない


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