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表現文化コース(学部) 授業案内


2009年度 後期 表現文化コース提供科目 (○は特任教授、*は非常勤講師)

文化理論 海老根剛

●科目の主題と目標
表現文化コースで学ぶ学生を対象に、文化の考察に不可欠な基本的視点と理論を概説する。表現文化コー スは本質的に学際的であり、そこで扱われる対象も多様である。したがって、個別的な主題の多様性のな かに、コースの全体像が見失われる危険性が高い。この講義では表現文化コースが前提する「文化の見方」 の大枠を提示する。

●授業内容・授業計画
講義は次の4つの主題に重点を置く。
(1)「文化」という次元の人類学的起源
(2)生産社会から消費社会へ: その文化的変容
(3)グローバル化と文化
(4)現代日本の文化理論

●評価方法
授業期間中に課す複数回のレポートによる。

●受講生へのコメント
表現文化コース二回生は必ず受講すること。 教室の関係上、履修希望者多数の場合には、表現文化コースの学生を優先したうえで受講制限を行うこと がありうる。

●参考文献・教材
文献などは随時紹介する。

比較表現論2 高島葉子

●科目の主題と目標
キリスト教文化圏のヨーロッパの世界観は、日本人には馴染みにくいものだが、民間の妖精信仰という 観点から眺めると、身近なものに感じられる。本講義では、ヨーロッパ文化を、日本を含むアジアの民間 信仰にも通じる異教的妖精信仰を通して考察することにより、キリスト教文化圏としてではない、もう一 つのヨーロッパの文化像を学ぶことを一つの目標とする。また、ヨーロッパだけではなく、日本およびア ジアの精霊や妖怪に関する民間信仰を概観することにより、文化比較を行い、妖精をヨーロッパだけでな く、アジアを含めた広い文化圏のなかで位置づける試みもおこなう。

●授業内容・授業計画
アイルランド、イギリスからロシアまでのヨーロッパ諸国に伝わる民話・伝説、および日本を含めたア ジア諸国の資料を用いて講義する 。
1. 導入(妖精一般のイメージ )
2. ケルト、ゲルマン神話の中の妖精
3. イギリス、アイルランドの妖精信 仰
4. 北欧の妖精信仰
5. ドイツ語圏の妖精信仰
6. フランス、南欧の妖精信仰 
7. 東欧、スラブ圏の妖精信仰
8. シベリア少数民族の精霊信仰
9. アイヌ民族のカムイ信仰
10. 日本の民間信仰の神々
11. 日本の妖怪信仰
12. 南島の神々と妖怪
13. 東南アジアの精霊信仰
14. まとめ

●評価方法
期末テスト

●受講生へのコメント
資料の講読など一部演習形式も取り入れる予定なので、積極的に授業に参加してほしい。

●参考文献・教材
授業時にプリント配布。また、授業時に参考文献を指示する。

表現文化演習2 荒木映子

●科目の主題と目標
モダニズム文学、美術を、第一次世界大戦、写真や映像といった新しいメディア、文化理論の観点からと らえる。

●授業内容・授業計画
1.文学研究から文化研究へ 2.戦争文学とモダニズム文学 3.アヴァンギャルドとは何か? 4.ポピュラー・カルチャーとモダニズム 5.モダニズムからポストモダニズムへ

●評価方法
授業での発表とレポート。

●受講生へのコメント

●参考文献・教材
荒木映子『第一次世界大戦とモダニズム―数の衝撃』(世界思想社、2008) 他は授業中に指示

表現文化演習3 野末紀之

●科目の主題と目標
近代日本文学において「笑い」やユーモアは概ね抑圧されるか周縁に追いやられてきた。そうでない場合 には、「ユーモア文学」の名のもとに貶められる傾向にあった。とはいえ、漱石の「猫」は別格として、 内田百フ、宇野浩二、太宰治、中野重治などの作品には、それぞれ独特な「笑い」の要素がある。生真面 目さのなかからおのずとにじみ出るもの、趣向を凝らしたもの、時代の経過とともに変化するもの、グロ テスクや苦味と共存しているものなど、さまざまな種類の「笑い」がありうるだろう。この授業では、演 習形式により、近現代日本文学の短篇・エッセイ・詩などを「笑い」の角度から分析する。

●授業内容・授業計画
受講者は作品を精読し、「笑い」に着目して分析し発表することが求められる。7・8人の作家の作品を 取上げる予定。また、各自の興味から作品を選び、1回発表してもらう。

●評価方法
出席、発表、レポートを総合的に判断する。

●受講生へのコメント
日常的にひろく文学作品を読んでほしい。

●参考文献・教材
教材はプリントを配布する。参考文献は適宜指示する。

表現文化演習5 花村周寛*

●科目の主題と目標
我々が送る日常を取り巻く環境に対して、クリエイティブに関わりながら新たな風景を発見するレッスンをワークショップを通じて実践的に行う。主に大学のキャンパスの中をフィールドワークしながら、いつもとは違った大学の風景を発見することを目標とする。

●授業内容・授業計画
2コマ連続のワークショップ形式で行う。
受講の必須条件としてデジカメを毎回持参する事。

01+02 発見される風景について講義
03+04 0センチから捉える環境:視点場を変えてみるワークショップ
05+06 トマソンとレインボーハンティング:色を探すワークショップ
07+08 星座作用:イメージを変換するワークショップ
09+10 ツギラマとフォトモの制作:平面から立体を捉えるワークショップ
11+12 ガリバースコープ:環境のスケールを変えてみるワークショップ
13+14 ロードムービーの撮影:映像として環境を切り取るワークショップ
15   ふりかえり

●評価方法
毎回のワークショップに参加することが必須条件。ワークショップでは必ず成果が毎回出るので、それの状況と毎回のレポートでワークショップの理解度を判断する。

●受講生へのコメント
デジカメを持っている事が受講条件になります。教室を出て屋外でフィールドワークする事が多くなるので、遅刻はしないようにしてください。またこの授業はワークショップ形式で行うため、受講人数は最大15名までとします。

●教材・参考文献
「マゾヒスティック・ランドスケープ」(学芸出版社)
「メイド・イン・トーキョー」(鹿島出版会)
その他講義の中で適宜伝える。

表現文化演習 6a/6b 小田中章浩

●科目の主題と目標
本講は三回生(および四回生)を対象とし、表現文化学コースにおいて卒業論文を書くためのテーマの設 定のやり方、問題の論理的な構築ならびに分析の方法について指導し、さらにそれらのプレゼンテーショ ン能力を高めることを目的とする。したがって表現文化学コースに所属する三回生は、この演習を必ず受 講することが求められる。

●授業内容・授業計画
このaクラスは、表現文化学コース所属の三回生のうち、学生番号で数えて最初の半数が受講することを 想定している。ただしやむを得ない事情によりaクラスを受講できない者については、bクラスへの移動 を認めるので、最初の授業の際に教員に相談すること。 受講者は、卒業論文作成の予行演習として(あるいは卒業論文作成のために)、自らが選んだテーマに応 じてリサーチを行う。次に、その結果に基づいて「問題」を設定し、それをどのように解決するかについ て順番に発表する。それぞれの発表について、他の受講者を交えたディスカッションを行い、受講者が設定した問題を、より深く理解することを目指す。

●評価方法
評価は、各自の発表と、毎回の授業におけるディスカッションへの貢献度、講義終了後に提出する小論文 によって行う。

●受講生へのコメント
発表は基本的にPowerPointを用いて行う。PowerPointの使い方については、必要に応じて授業中に説明 する。また必要に応じて小論文の書き方(論理的な思考法)についても解説する。

●参考文献・教材
授業中にプリントを配布する。

ロシア文化論 浅岡宣彦○

●科目の主題と目標
主題: ロシア文学に描かれた女性像
目標: 18世紀から20世紀にかけてロシア文学で描かれた代表的な女性像を取り上げ、彼女たちの形象を通 してロシア社会、ロシア文化の発展を展望する。

●授業内容・授業計画
授業内容: 「過去に生きていた人間や文学作品の登場人物の行動の意味を知るためには、彼らの文化を知 る必要がある」(ロートマン『ロシア貴族)』。社会的地位や職業、或いは人種によって、また時代の推移 に応じて女性の形象は変化を遂げている。しかしながら、それらの形象の中にいくつかのタイプを認める ことが可能であり、それぞれの女性像の影響関係、継承関係を考察してい。
授業計画: 授業ではカラムジン作『哀れなリーザ』、プーシキン作『エヴゲーニイ・オネーギン』、レール モントフ作『現代の英雄』、ツルゲーネフ作『貴族の巣』、『初恋』、ドストエフスキイ作『罪と罰』『、カラマー ゾフの兄弟』、トルストイ作『アンナ・カレーニナ』、『復活』、チェーホフ作『かもめ』、レスコーフ作『ム ツェンスク郡のマクベス夫人』などを中心に取り上げる。同時に、それぞれ映像化された作品が多いので、 原作と映像作品とを比較し検討していく。

●評価方法
出席とコミュニケーション・カードの感想などを考慮し、具体的に作品を複数読んでもらう。それぞれ にテーマを各自設定してもらい、レポートないしはテストで論じてもらう。

●受講生へのコメント
主として、ロシア文学の代表的作品を取り上げるので、必ず複数の作品を読むこと。

●参考文献・教材
適宜、プリントを配布する。
参考文献: 原卓也著『オーレンカは可愛い女か』(ロシア文学のヒロインたち)集英社。 ロートマン著『ロシア貴族』(桑野隆ほか訳)筑摩書房。 桑原武夫ほか著『文学と女の生き方』中央公論社。 そのほかの文献は適宜、授業中に指示する。

表現文化特論1 増田聡 

●科目の主題と目標
映画や絵画のように距離をもって鑑賞されるというより、衣服のごとく身にまとう「もの」へと接近しつ つある21世紀のポピュラー音楽環境を、複製技術、主体性の変容、盗作と所有権意識等の観点から検討する。

●授業内容・授業計画
1.ファッションブランドとアーティスト名
2.マイケル・ジャクソンとマドンナ
3.iPodとKaossilator(等)
4.Perfumeと初音ミク
5.copyrightと著作権
6.パクリと盗作
7.複製と再生産
8.芸術と物
講義形式。授業計画は仮のものであり、履修者との相談により適宜変更する。また視聴覚資料を多用する。

●評価方法
期末試験またはレポートによる評価

●受講生へのコメント
楽典の知識は必要としないが、文化一般について広く関心を持つ学生の履修を期待する。

●参考文献・教材
参考文献として下記をあげる。音楽分野について卒論執筆を考えている受講生は一読しておくこと。
増田聡『その音楽の〈作者〉とは誰か―リミックス・産業・著作権』(みすず書房 )
増田聡・谷口文和『音楽未来形―デジタル時代の音楽文化のゆくえ』(洋泉社)

表現文化特論2 石田美紀* 

●科目の主題と目標
今日、「やおい」または「ボーイズラブ」と呼ばれる「女性がつくり楽しむ男性同士の性愛物語」は、読書界・市場において広く認知されています。さらには「腐女子」と呼ばれるこれらの表象の愛好家にも、高い関心が寄せられています。
さて、この「女性がつくり楽しむ男性同士の性愛物語」は、いつ、誰が、どのようにして作り上げたのでしょうか。
本講義は、「やおい・ボーイズラブ」に至る系譜が誕生した70年代にさかのぼり、近・現代日本の大衆文化における「女性がつくり楽しむ男性同士の性愛物語」の意義を明らかにします。
そして、この表象の歴史的・文化的背景を踏まえ、70年代の誕生から現代に至るまで女性たちが行ってきた作品受容と創作のありかたを分析しながら、生きることと書く(描く)こととの相関関係を考察します

●授業内容・授業計画
授業は以下の3つを軸とします。
1・教養の変遷―明治以降の日本における「教養」を巡る抗争  
2・女性による男性身体の表象と表現―小説・マンガ・映画
3・読者から創作者への変化ー雑誌『JUNE』と同人誌文化
 
取り上げる題材およびキーワードは以下です。
「24年組」/「少年愛」/竹宮惠子/ヘルマン・ヘッセ/稲垣足穂/三島由紀夫/澁澤龍彦/雑誌『血と薔薇』/栗本薫・中島梓/私小説/ミステリ小説/マンガ対文学/雑誌『JUNE』/コミックマーケット/同人誌/二次創作/パロディ

●評価方法
授業参加(30%)およびレポート(70%)。

●受講生へのコメント
参加者とのディスカッションを積極的にもちたいと思います。
「腐」の人もそうでない人も、あるいは「腐」を認めない人も、意見を求める機会にはぜひ発言してください。

●教材・参考文献
教材 石田美紀『密やかな教育―〈やおい・ボーイズラブ〉前史』洛北出版、2008年。

参考文献 『ユリイカ 総特集・腐女子マンガ大系』2007年6月臨時増刊号、青土社。
     『ユリイカ 総特集・BLスタディーズ』2007年12月臨時増刊号、青土社。
     永久保陽子『やおい小説論―女性のためのエロス表現』専修大学出版局、2005年。
     佐藤健二編著『文化の社会学』有斐閣、2007年。


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