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表現文化コース(学部) 授業案内


2008年度 後期 表現文化コース提供科目 (○は特任教授、*は非常勤講師)

文化理論 海老根剛

●科目の主題と目標  
表現文化コースで学ぶ学生を対象に、文化の考察に不可欠な基本的視点と理論を概説する。表現文化コースは本質的に学際的であり、そこで扱われる対象も多様である。したがって、個別的な主題の多様性のなかに、コースの全体像が見失われる危険性が高い。この講義では表現文化コースが前提する「文化の見方」の大枠を提示する。

●授業内容・授業計画
講義は次の4つの主題に重点を置く。
(1)人類の進化と「文化」という次元の成立
(2)近代社会の成立と文化の変容:文化産業論とカルチュラル・スタディーズ
(3)グローバル化と文化
(4)現代日本の文化理論

●評価方法
レポートによる。

●受講生へのコメント
表現文化コース二回生は必ず受講すること。

●教材・参考文献
文献などは随時紹介する。

表象文化論1 荒木映子

●科目の主題と目標  
モダニズムと第一次世界大戦とを「衝撃(ショック)」という観点からとらえ、モダニズムと大戦の関係を明らかにする。

●授業内容・授業計画
大衆が表舞台に現れるようになった19世紀の都市を描いた作家や批評家(ボードレール、ベンヤミン他)を読みつつ、第一次世界大戦がどのように表象されているかを、文学、写真、ポスター等いろいろなメディアを取り上げて考察する。モダニズムに包括されるさまざまな芸術活動(キュビスム、未来主義、ダダイズム等)も取り上げる。

●評価方法
授業への出席と発表40%、期末の試験もしくはレポート60%。

●教材・参考文献
『第一次世界大戦とモダニズム―数の衝撃―』(世界思想社、2008年春出版予定)
プリント他追って指示。

比較表現論2 高島葉子

●科目の主題と目標  
キリスト教文化圏としてのヨーロッパの世界観は、日本人には馴染みにくいものですが、民間の妖精信仰という観点から眺めると、身近なものに感じられます。本講義では、ヨーロッパ文化を、日本やアジアの民間信仰にも通じる異教的妖精信仰を通して考察することにより、キリスト教文化圏としてではない、もう一つのヨーロッパの文化像を学ぶことをひとつの目標とする。また、ヨーロッパだけでなく日本を含めたアジアの精霊や妖怪に関する民間信仰を概観することによって、文化比較を行い、妖精をヨーロッパだけではなく、アジアを含めた広い文化圏のなかで位置づける試みもします。

●授業内容・授業計画
 アイルランド、イギリスを中心にヨーロッパ諸国に伝わる民話や伝説、およびアジア諸国の資料を用いて講義します。
1. 導入(妖精の一般的イメージ)
2. ケルト、ゲルマン神話の中の妖精像
3. イギリス、アイルランドの妖精信仰
4. 北欧の妖精信仰
5. ドイツ語圏の妖精信仰
6. フランスの妖精信仰
7. 東欧、スラブ圏の妖精信仰
8. シベリア少数民族の精霊信仰
9. 東南アジアの精霊信仰
10.アイヌ民族のカムイ信仰
11.日本の神々
12.日本の妖怪
13.まとめ

●評価方法
期末テスト

●受講生へのコメント
資料の購読など一部演習形式も取り入れる要諦なので、積極的に授業に参加してほしい。

●教材・参考文献
プリント配布。また、授業時に参考文献を指示する。

表現文化演習3 野末紀之

●科目の主題と目標  
「モナ・リザ」やサロメなど、男を魅了し破滅させる女(「宿命の女」)を戯画する19世紀末以後の西欧の小説や批評を取上げ、そこに見られる文化的闘争について具体的に考察する。

●授業内容・授業計画
授業は、テキストの精読あるいは要約的発表とコメントによりすすめる。英仏の作品を中心に取上げる。

●評価方法
出席、発表、テスト、レポートを総合的に判断して行なう。

●受講生へのコメント
綿密な予習が求められる。

●教材・参考文献
プリントを配布する(入手できるかぎり英語。翻訳がある場合は使用する。)参考文献は授業中に適宜指示する。

表現文化演習4 小田中章浩

●科目の主題と目標  
 本講は、受講者が西洋の古典的な戯曲のドラマトゥルギー(劇作術)について理解を深めることを目的とする。より具体的には、ソポクレス、エウリピデスといった古代ギリシャの悲劇作家、アリストパネスやプラウトゥスのような古典古代の喜劇作家、シェイクスピア、ラシーヌ、モリエールといった十六世から十七世紀の西洋を代表する劇作家のいくつかの作品を取り上げ、各受講者がそのドラマトゥルギーについて、発表形式によって分析するという形式を取る。

●授業内容・授業計画
 まず講師が西洋の古典的なドラマトゥルギーの概念について解説した後、それらの分析の手順について具体的に説明する。その後は、各受講者に上に言及された(ただしそれだけとは限らない)劇作家の代表作のいくつかを選んでもらい、指定された順番で毎週発表を行ってもらう。発表後は、講師ならびに受講者間で、分析の妥当性について質疑応答を行う。

●評価方法
 受講者は、自分が担当した作品の発表内容、ならびにそれに基づいて学期末に提出されるレポートによって評価を受ける。また他の発表者への質疑応答への参加の貢献度も、ある程度まで評価に加味される。

●受講生へのコメント
 本講は、戯曲を含めた西洋の文学作品をどのように分析するか(テクスト分析)という基本的な技術を教えるものである。こうした技法は、対象の如何に関わらず、卒業論文作成に求められる基本なので、受講者はそのような自覚の下に本講を受講してほしい。

●教材・参考文献
 授業時に随時プリントとして配布する。文庫等で容易に入手可能な作品については、事前に読んでおくことを求める。

表現文化演習5 ジャクリーヌ・ベルント*

●科目の主題と目標  
マンガという表現メディアをその多様性において考察する。近年出版されているマンガ表現論に重点を置き、それを比較文化論的に補ってみる。さらに、作品としてのマンガと同時に「マンガ」言説を重視する。

●授業内容・授業計画
1日目:諸マンガ表現論にみる「マンガ」(字と図、「記号性」、表象と物質など)
2日目:マンガの歴史(起源、日本マンガ史の語り方、マンガ特有の歴史描写)
3日目:マンガ表現と空間:京都国際マンガ・ミュージアム見学調査
4日目:マンガと芸術(現代美術の「マンガ」、時代遅れの「マンガか芸術か」論など)

●評価方法
予習必須。最初の講義のときに、「事前発表レポート」(2000字程度)を提出しておき、それに基づいて授業中の個人発表を行う。このレポートのテーマとしては、参考文献をふまえた上での作家論・作品論が望ましい。

●受講生へのコメント
授業出席・積極的参加30%、事前レポート35%、それに基づくプレゼンテーション35%

表現文化演習6 荒木映子

●科目の主題と目標  
表現文化コースで卒業論文を書くために必要な、理論的知識、テーマの決め方、資料の収集の仕方、論文の書き方等について学ぶ。

●授業内容・授業計画
「主題と目標」にそって、文献を読んだり、議論したり、学情での実習をしたりしつつ、受講生には各自卒論のテーマについて発表を求める。

●評価方法
授業への出席と発表40%、期末の試験もしくはレポート60%。

●教材・参考文献
授業中に指示。

表現文化購読2 小田中章浩

●科目の主題と目標  
 本講は、初級レベルのフランス語の基礎を学んだ受講者に対して、表現文化に関連したフランス語の教材を用いることによって、中級あるいはそれ以上のフランス語の読解力を習得してもらうことを目的とする。

●授業内容・授業計画
 授業で扱われる題材は、フランス語訳された日本の漫画、あるいはフランスの映画である。ただし受講者の要望によって、ファッション、料理、絵画など、フランス語で書かれた他の題材を選ぶこともできる。これらに描かれたフランス語を読み、文法、発音、語彙などを習得する。

●評価方法
 学期末に定期試験を行う。

●受講生へのコメント
 上に述べたように、受講生は初級レベルのフランス語力を身につけていることが求められる。

●教材・参考文献
 授業において随時プリントとして配布する。

ロシア文化論 浅岡宣彦○

●科目の主題と目標  
主題:文学作品の背景をなす文化現象としての風俗・習慣
目標:文学作品や異文化理解の上で重要な要素であるロシアの風俗・習慣を主に19世紀に絞って紹介する。

●授業内容・授業計画
授業内容:サロン文化、貴族文化、民衆文化のそれぞれの側面からいくつかの事象(決闘、賭博、サロン、結婚、占い、葬儀など)に焦点をあて、文学作品からの引用を基礎にして考察していく。
授業計画:主に文学作品から適当な個所を抜粋して紹介していくが、可能な限り、オペラや劇映画など、映像の資料があれば、映像を利用する。

●評価方法
出席を重視し、レポートで評価する。

●受講生へのコメント
授業中に紹介するロシア文学の名作を最低一冊は読むこと。

●教材・参考文献
適宜、プリントを配布する。
参考文献:
ロートマン著『ロシア貴族』(桑野隆ほか訳)筑摩書房
ヒングリー著『19世紀ロシアの作家と社会』(川端香男里訳)中公文庫。
他は授業中に適宜指示する。

表現文化特論2 花村周寛* 

●科目の主題と目標
日常生活の中で自分たちがとくに注意することもなく受け入れ、そのなかで暮らしている都市環境や風景を違った視点で捉えることで、都市へより主体的かつ創造的な関わりを持つ事を目指したワークショップ形式の講義を行う。

●授業内容・授業計画
建築/ランドスケープ/アート/サブカルチャー/メディア/アクティビティといったキーワードで経験を構成している諸要素を意識化し、風景を再発見することを体験する。グループディスカッション形式による積極的な対話や実際に街に出て行くフィールドワークなどの参加を中心とした講義や課題に取り組むため、最大人数を20名程度に限定し参加と出席を重視する。参加者はデジカメ等の撮影機材を所有していることが望ましい。

●評価方法
授業参加、発表など。

●受講生へのコメント
なお、授業日程の伝達および受講者の決定を最初の授業の際に行うので、受講希望者は必ず第一回の授業に出席のこと。

●教材・参考文献
『マゾヒスティック・ランドスケープ』(学芸出版社)/『メイドイントーキョー』(鹿島出版会)など。

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