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表現文化コース(学部) 授業案内


2008年度 前期 表現文化コース提供科目 (○は特任教授、*は非常勤講師)

表現文化基礎演習1 海老根剛

表現文化コースで考察の対象となる文化現象は多岐にわたる。それが扱うのは、小説や絵画、映画や演劇、漫画やライトノベルなどのように、いわゆるハイカルチャー/ポピュラーカルチャーの区別に関わりなく、ひとつの「作品」という形態をとって現れる表現だけでなく、ファッションや流行や祭りのように特定の作者を持たず、作品という形態に収斂しない現象もまた対象に含まれる。また前者の「作品」という形態をとる表現を扱う場合でも、個々の作品の美学的価値を問題にするのではなく、表現一般と社会的諸制度やメディア技術との結びつきを考察することもしばしば行われる。
この授業では特に「作品」という形態をとって私たちの前に現れる表現を対象とし、それを表現論的視点から考察する実践的なレッスンを行う。扱われる表現ジャンルとしては、小説、エッセイ、漫画、写真、演劇、映画を予定している。毎回、こちらから作品を指定し、参加者はそれについての短いレポートを執筆し、事前に提出する。授業では提出されたレポートを素材に作品の考察を共同で進める。
また資料検索の方法、ソフトウェアを用いたプレゼンテーション作成(画像編集を含む)を学び、学期の最後には全員にプレゼンテーションによる発表を行ってもらう。
評価は上記のレポートとプレゼンテーションによる。期末レポートは課さない。

表現文化基礎演習2 三上雅子

●科目の主題と目標  
表現文化においてはしばしば、「ポピュラー文化」、「大衆文化」と呼ばれる作品やジャンルが研究対象となる。たとえばベストセラー小説、ヒット映画、マンガ、テレビ番組、小劇場などである。しかし、われわれが日常接する身近なポピュラー文化であっても、研究対象とする以上そこには一定の概念や学問的方法論が存在する。この授業では、表現文化を学んでいく上で必要な方法論などを習得していくことを目標とする。

●授業内容・授業計画
参考書を使いながら、具体例にそって表現文化を学ぶために必要な方法論を講じる。フィールドワークについても扱う。作品の共同鑑賞や博物館等でのリサーチも行う。受講生は、自分の興味ある分野について分析・発表を行う。

●評価方法
発表 30%、レポート70%

●受講生へのコメント
本授業の対象者は、表現文化コース在籍の学生とする。

●教材・参考文献
渡辺潤、伊藤明巳編:「「実践」ポピュラー文化を学ぶ人のために」 世界思想社

表象文化論2 野末紀之

●科目の主題と目標  
19世紀におけるレオナルド・ダ・ヴィンチの「モナ・リザ」の文学的表象史をたどり、いかにしてそれがイコンの地位を確立するにいたったかを検証する。フランス浪漫派(ゴーチェ)、イギリス唯美主義(スウィンバーン、ペイター)、イタリア耽美派(ダンヌンツィオ)を中心に取上げる。その過程で、両性具有性や「宿命の女」、文化の書き換え(横領)、言語のもつイメージ喚起力などのモチーフに注目することになる。

●授業内容・授業計画
演習形式を一部取り入れる。授業内容の内訳は、フランス浪漫派およびイタリア耽美派に各2回、イギリス唯美主義が5回、それ以外の潮流、序論とまとめを各1回、落穂拾いを2回の予定。

●評価方法
出席、発表、テスト、レポートを総合的に判断して行なう。

●受講生へのコメント
予習が必要。参考文献をいくつか各自で読んでもらいたい。

●教材・参考文献
教材はプリントを配布する(入手できるかぎり英語)。参考文献は、西岡文彦『モナ・リザの罠』(講談社現代新書、2006)、リチャード・ターナー(友利修ほか訳)『レオナルド神話を創る』(白揚社、1997)、Donald Sassoon, Becoming Mona Lisa (Harvest, 2003)、マリオ・プラーツ(倉智恒夫ほか訳)『肉体と死と悪魔』(国書刊行会、1994)など多数。

比較表現論1 小田中章浩

●科目の主題と目標  
 本講では、西洋演劇に「演出家」と呼ばれる存在が登場したことにより、西洋の演劇観ならびに舞台上演の概念がどのように変化したのかを、その歴史的な背景、演劇に関する理論、ならびにいくつかの具体的な演出の事例に基づいて紹介する。そして、現代演劇における演出という創造行為の重要性について理解を深めることを目標とする。

●授業内容・授業計画
 授業ではまず現代演出家の祖と言われる19世紀後半のアントワーヌや、ロシアのスタニスラフスキーの先駆的な試みについて紹介した後、ブレヒトやアルトーといった、今日の西洋演劇の演出に関する理論的な枠組み(パラダイム)を作り上げた人々の思索について考察する。また演劇における演出が必ずしも演出家という存在を必要としないことを確認するために、古代ギリシャから中世、ルネッサンスに至る西洋演劇の上演のあり方ついても歴史的な説明を加える。
 それらに基づき、ブルック、シェロー、カントール、プランションといった現代演劇を代表する演出家の仕事について、その一部を画像を用いて紹介しながら、彼らの仕事の独創性について考察する。

●評価方法
 受講生には、本講義終了までの時点に少なくとも一本の芝居を実際に見てもらう(ただしそれは、必ずしも高額な費用のかかるプロフェッショナルな舞台である必要はない。場合によっては素人劇団の舞台であっても構わない)。そして学期末に、本講で説明される演出という概念の重要性に基づいて、それらに関する劇評をレポートとして提出してもらう。ただしそこでは、何らかの形で本講で得た知識、あるいは考察が反映されていることが求められる。レポートの具体的な書き方については、授業中に別途指示する。

●受講生へのコメント
 本講は、受講生に対して何よりも「生の」舞台を見ることのおもしろさを体験してもらうことを求めるものである。従って、DVD等を見てレポートを書くことは基本的には認めない。また、授業の過程において興味深い(と思われる)舞台の公演情報や、チケットの割引等に関する情報があれば随時提示する。
 また提出された劇評のうち、優れたものについてはレポート作成者の了解を得た上で、web上で紹介することも検討している。

●教材・参考文献
 授業中に随時プリントとして配布する。

表現文化演習1 浅岡宣彦○

●科目の主題と目標  
主題:トルストイと日本の「芸術座」
目標:島村抱月、松井須磨子が創立した「芸術座」の活動を通して、大正時代のトルストイの受容を考察する。

●授業内容・授業計画
授業内容:「芸術座」はトルストイの4作品(『復活』、『アンナ・カレーニナ』、『闇の力』、『生ける屍』)を上演した。初めに、島村抱月のトルストイ観を考察する。『復活』と『アンナ・カレーニナ』は長編小説であるので、原作と脚本とを比較し検討する。戯曲『闇の力』と『生ける屍』に関しては当時の批評等を調べてもらう。更に、劇中歌(「カチューシャの歌」「さすらいの歌」)の役割について検討する。
授業計画:全体を紹介したあとで、各人に課題を設定し、報告をしてもらう。

●評価方法
授業中に各自に課題を与え、報告をしてもらう。その報告をもとに平常点を加味して評価する。

●受講生へのコメント
トルストイの作品を読むこと。

●教材・参考文献
適宜、プリントで配布する。
柳富子著『トルストイと日本』早稲田大学出版部。
他の参考文献は授業中に指示する。

表現文化演習2 高島葉子

●科目の主題と目標  
民間伝承のモチーフを題材とした文学や美術は古くから存在する。映画やコミックなどにおいても同様である。今回は妖精というモチーフが様々なジャンルの作品の中でどのように描かれているのか考察する。作品に描かれる際、民間伝承の本来の妖精像はどのように変容しているのか、また、それはどのような要因によるのか、考えてみたい。

●授業内容・授業計画
まず、妖精信仰に関する概括的入門書を読むこと通して、基本的な民間信仰の妖精像を把握する。その後、様々なジャンルでモチーフとして扱われている妖精を検討してもらう。ジャンルごとに担当者に報告してもらい、全員で討論する。

●評価方法
ハンドアウト、口頭発表の内容、レポート、討論への参加状況により総合的に評価する。

●受講生へのコメント
授業において積極的な発言を期待する。

●教材・参考文献
D.L.Ashliman, Fairy Lore: A Handbook (Greenwood)

表現文化講読1 浅岡宣彦○

●科目の主題と目標 
主題:チェーホフの珠玉の短編『小犬を連れた奥さん』を読む。
目標:外書講読を兼ね、ロシア語の読解力の向上を目指す。

●授業内容・授業計画
授業内容:テキストを読む。同時に、映像化された映画を鑑賞し、原作との相違を比較検討する。
授業計画:作品を詳しく分析しながら読む。この作品は過去のロシア文学の作品と深い影響関係があるので、それを紹介し、この作品における作者の意図を検討する。映像化された作品が複数あるので、原作と映画との描写の相違も併せて検討する。

●評価方法
平常点を重視する。

●受講生へのコメント
準備を十分にすること。

●教材・参考文献
適宜、プリントで配布する。
参考文献は授業中に指示する

表現文化特講1 三上雅子

●科目の主題と目標  
われわれは日常会話の中で、「パーフォーマンス」という語を深く意識せずに使う。パーフォーマンスは狭い意味では、ステージでの演技等の表現行為を指すが、より広い意味では人間の生活全般において見られる行為である。本授業では、芸術表現だけでなく、祭やCM等にも見られるパーフォーマンスの意味を探っていく。

●授業内容・授業計画
授業ではパーフォーマンス研究の概説書を英語で読みながら、概念などを講じていく。授業の後半では、受講生各人の考えるパーフォーマンスの事例について、発表してもらう。

●評価方法
発表 30%、レポート 70%

●受講生へのコメント
日常見られるパーフォーマンスの事例を意識的に考察して、発表できるようにしておくこと。

●教材・参考文献
Richard Schechner Performance Studies. An Introduction.

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