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表現文化コース(学部) 授業案内


2005年度 前期 表現文化コース提供科目 (*は非常勤講師)

表現文化概論1 野末紀之

ものを漫然とみているだけではその意味を解読するのはむつかしい。しかし一方、われわれは日々、押し寄せるものやことに意味を付与して生活している。この講義では、それらの見方に反省を加えつつ、さまざまな表現を分析研究するさいの基本となる観点や概念を学習する。広告や写真の見方について書かれた英語のテキストを演習形式により読みすすめていく。成績評価は、出席、発表、テスト、レポートを総合的に判断して行なう。
テキスト:プリント配布

文化理論1 荒木映子

ポストモダニズムは、ジェンダー/セクシュアリティ論をどのように変えたか。性的アイデンティティの本質主義が脱構築され、女性性だけでなく、男性性や異性愛という規範が問い直されている近年の理論的展開を考察する。Neil Jordan脚本、監督の映画 Crying Game 等を具体的に取り上げる予定。

文化理論2 海老根剛

本講義のねらいは、映像作品の考察や分析のため基礎作りです。対象としては主に映画作品をとりあげることになりますが、ヴィデオやテレビなどの分析にも不可欠な映像リテラシーの習得にも役立つはずです。具体的な授業形態としては、毎回、いくつかの作品から特定の場面を選んで上映し、その場面の特徴やそこで用いられている技法を考察しながら、映画の多様な側面に光を当てていきます。また、それらの考察を通して、映画の分析に不可欠な基礎概念の導入も行います。この講義では、みなさんにまず多くの映画に触れてもらい、映画作品を考察するための言葉を獲得してもらうことが目標ですので、受講者の積極的な参加が求められます。講義全体をカバーする参考文献は特にありませんが(文献等はそのつど紹介します)、受講者には講義以外にも、できるだけ多くの映画作品に触れることが期待されます。

表象文化論1 三上雅子

1910年代から30年代、大正から昭和初期にかけて、東京・大阪などの日本の都市は急激な変貌を遂げた。雇用者層つまりサラリーマン・官吏に代表される新中間層の出現・テクノロジーの発達などの社会の変化は、大衆文化を発展させ百貨店に代表される大量消費を生み出し、新たな生活・娯楽の形を生み出した。モダニズムと総称されるべき世界共通の相貌を日本の都市も持ち始めるのである。本講義では、大阪とその周辺地である阪神間が、そうした社会状況の変化の中で「近代都市」して変貌していったこの時期に、どのような都市文化・都市生活のイメージを提示しようとしたのか、演劇やテーマパークなどの大衆娯楽の世界から探ってみたい。

比較表現論演習1 中川眞

本演習ではアジア的表現にアプローチする。それは日本とアジアの文化を比較したり、アジア的眼差しから欧米の文化を見つめるための端緒となり得るだろう。アジア的表現の一例として、東南アジア、わけてもインドネシア、タイの文化に着目する。しかも、主として身体文化、パフォーミング・アーツに焦点があてられる。君たちの目の前にはインドネシアのガムラン楽器がある。その習得からこの演習は始まる。授業時以外に、学外の様々なアジア関係のイベントに顔を出してやろうという意欲的な学生の受講を望む。

比較表現論演習2 高島葉子

学期前半は昔話の「シンデレラ」に関する諸文献を読み、報告や討論を通して理解を深める。担当者は、レジュメを作成し、論点の解説、関連文献の紹介等を要求される。後半は、各自の興味に応じてテーマ設定し、文献検索、資料収集したうえで、発表を行ってもらう。学期末には、この発表を基に小論文の作成を課す
テキスト:授業時に指示。
参考書:授業時に指示。

文化交流論演習 浅岡宣彦

論集「日本におけるロシア文化100年」(露文)を読む。編者はリディヤ・グロムコフスカヤ。論集は17編の論文から構成され、三つのセクションに分かれる: 「日本のロシア研究」「日本におけるロシア文学」「日本におけるロシア芸術」。その中から「日本映画におけるロシア古典文学」(ロシア語)を講読し、日露文化交流の歩みを検討する。
テキスト:プリントで配布する。
参考書:適宜、授業中に指示する。

表現文化特論1 大野裕之*

映画・演劇・研究・実践〜〈表現文化〉の現在19世紀末に登場して以来、いまだ大衆娯楽の王様の地位を保ち続けている映画。本講議では、様々なタイプの映画作品を鑑賞し、その歴史的・社会的背景を詳述しつつ、画面の細部を精査することで、映画を通して現代の精神史を辿ることを目標とする。チャップリンの追いかけっこにはこのような意味が? スピルバーグ映画に隠された謎とは?映画の見方が180度変わる新しい視点を提供していきたい。加えて、〈映画批評〉に飽き足りない学生のために、(脚本・撮影などの)創作現場の実際についても紹介する。
また、隣接ジャンルたる演劇との比較を通じて、映画というジャンルをより広い文脈の中で研究する。さらに、演劇史の中でいまだ十分に研究されているとは言えないミュージカルについて実践的に講議する。
テキスト:『パゾリー二・ルネサンス』大島渚・浅田彰他著(とっても便利出版部)
参考書:『チャップリンの現在』大野裕之著(NHK出版)

表現文化特講2 宮崎かすみ*

19世紀末のヨーロッパを席巻したディジェネレーションという一連の言説は、ダーウィニズムの負の遺産と位置付けられるものであり、ポスト・ダーウィン時代の重要な神話を構成し、本来の医学・生理学分野に止まらず世紀末の文化や社会一般の殆どの言説に大きな影響を及ぼした。本講義では、この文化現象に光を当て、このイデオロギーを、ヨーロッパの「内なる他者」を創出した言説装置として位置付ける。「内なる他者」とは不可視の他者のことでもあり、ユダヤ人や不良少年、犯罪者、同性愛者等の、中流階級にとって好ましからざる、しかも彼らの社会の内部にいる人々のことである。彼らの他者性は実は必ずしも外に現れるわけではなかったのだが、覇権を握った中流階級にとっては何としても彼らの内面の腐敗ぶりは外見から判断されなければならないものだった。彼らを可視化するために権力が様々な言説装置を生み出してきたが、文学作品も例外ではない。多かれ少なかれディジェネレーション説を内面化し、文学作品それ自体が他者を創り出すことに加担していた。講義では、文学作品の権力とのそうした共犯関係を辿りつつも、文学ならではの、権力に回収されきらない独自の抵抗性をも浮かび上がらせつつ、時代を代表する作品について読解する。映画化されている作品を厳選したので、映像も交えて講義を進める。
具体的な作品としては、血の汚染への恐怖が、イギリス征服を目論む吸血鬼の姿を取って表現された『ドラキュラ』から始まり、同性愛者として社会から追放されたオスカー・ワイルドの『ドリアン・グレイの肖像』、『まじめが肝心』、さらに変質論イデオロギーの足下を掘り崩す視点を内包する『ダロウェイ夫人』、さらに日本におけるセクシュアリティの近代化を描いた夏目漱石の『それから』を扱う予定である。授業では一方的な講義というよりは、全員が参加して積極的な意見を述べてくれることを期待している。受講者は各作品を翻訳でよいから読んでおくこと。
テキスト:ブラム・ストーカー『ドラキュラ』創元推理文庫、オスカー・ワイルド『ドリアン・グレイの画像』岩波文庫、ヴァージニア・ウルフ『ダロウェイ夫人』角川文庫、夏目漱石『それから』岩波文庫

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