※新規募集を停止しました。
本コースには大きく二つの特色があります。一つ目は、所属教員4人のすべてが言語学の専門家であることです。4人がカバーする言語学の分野は多岐にわたり、言語構造論、言語意味理論、言語運用論、言語獲得論、言語教育論、言語比較論、心理言語学、機能言語学など、言語学のほぼ全領域を網羅しています。
所属教員4人の専攻言語の中心は英語および日本語ですが、スタッフの中には、中国語、朝鮮語、さらには満州語・女真語のようなアルタイ諸語を研究対象とする教員もいます。この特徴を生かした、複数の言語の比較研究は本コースの言語研究の大きなテーマの一つです。
二つ目の特色は、言語分析への積極的なパソコンの活用があげられます。現代の言語分析には、データの利用などのためにもパソコンを使いこなす能力は不可欠です。言語分析に関する本コースの教員の知識は、言語文化学科の教員の中でも秀でています。さらに、本コース所属学生のコンピュータ使用環境も言語文化学科の中では一番恵まれていると言えます。文学部棟1階の比較言語文化実験室(表現文化コース学生と共同利用)には20台のパソコンとスキャナーなどの周辺機器、実験室向かいの学生演習室(表現文化コースの学生と共同利用)にはAV機器に接続されたパソコンが5台、法学部棟5階の学生演習室(言語応用コース専用)にもパソコンがそれぞれ設置され、本コースの学生はそれらのパソコンを使い、言語研究に励んでいます。
このように本コースではコンピュータを重視し、コース専用の実験室もありますが、それはあくまでも言語分析にとって有益な機能をパソコンが備えているからに過ぎません。パソコンを利用すると言語分析は実に能率良く、かつ迅速に行えます。これまでの手作業で行われていた際には見えなかった言語の本質がパソコンの作業を通して見えてくることも少なからずあります。しかし、パソコンは言語分析にあたってあくまでも道具の一つであり、中心はその道具を使うわれわれ人間であることを忘れてはなりません。
本コースで開講されている授業の一部を簡単に見てみましょう。「言語学概論」は言語学とはどんな学問なのかを知るには最適な授業です。できれば1回生のうちに受講するよう心がけてください。「言語応用論」は実験室を使用し、主として認知言語学および心理言語学の知見をさまざまな事象に応用します。言語獲得に関する問題もこの授業で扱われます。「言語比較論」では一つの言語だけではなく様々な言語を複眼的に見ることによって現れてくる諸問題を考察します。言語間の比較だけではなく、男女間の言葉の違いや、方言の問題もこの授業で扱われることがあります。「言語情報論」では言語による情報の伝達法やことばのしくみなどの問題を扱います。
卒業論文に関してですが、3回生の終わりまでには大きなテーマが決まっていることが望まれます。その実現のために、3回生向けに、卒論準備のためのゼミ形式の演習も前期・後期一コマずつ開講しています。本コーススタッフによって行われる授業ですが、卒論作成に向けて有益な情報が得られますので、3回生のときには必ず受講するようにしてください。4回生になったら月に一度、4回生と教員の全員が参加する卒論発表会が開催されます。そこでは、4回生が卒論の進行状況などの発表を含め、研究内容に関する活発な意見交換などを行っています。発表会というよりは、より良い卒論の作成に向けての有意義な研究会といった方が良いかもしれません。12月には、4回生、教員に加え、3回生も参加する文字通りの卒論発表会が開催されます。
卒業論文のテーマとしては、言語コミュニケーションに関わるものであれば、研究対象(材料)はインターネット、マンガ、小説など何でもかまいません。例えば、最近の卒論のテーマには「本の帯についての研究」「テレビにおけるテロップ表現」「新聞における広告表現の考察」、「意味変化からみた若者言葉」、「バイリンガルについて」「失語症の症例から探る言語の基本機能と右脳」「ポピュラーミュージックの日本語詞に対する音韻的考察」「日韓両国語における敬語の対照分析」などがあります。
コースからのおしらせ
準備中ですスタッフ
井狩幸男 教授 | 言語応用論。乳幼児の英語と日本語の母語獲得のメカニズムの研究、ならびに母語獲得研究の第二言語習得への応用可能性に関する考察を行っています。 |
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山崎雅人 教授 | 言語構造論、言語情報論。言葉の仕組みをさまざまな面から論じる。たとえば英語と中国語の間で類似が見られるのはなぜか、さまざまな言語で「知る、分かる」という表現がどのように用いられるかということを考えています。 |
田中一彦 教授 | 言語意味理論、言語運用論。英語と日本語の時制・相に関わる問題の比較研究を行っています。特に、間接話法構文や時の副詞節中の時制のふるまい方に興味を持っています。 |
辻香代 准教授 | 第二言語習得、英語教育学。 |
コース決定にあたっての心構え
本コースは既成の枠におさまらない言語研究を目指す学生のためのコースです。「言葉」について考えることに喜びを感じ、「言葉」について考えていると、食べるのも寝るのも忘れてしまいそうになる学生を我々は歓迎します。
卒業後の進出分野
本コースのスタッフは、インターネット等の新しいメディアの普及により今後ますます増大すると思われる言語情報を量的にも質的にも適切に処理出来る能力を所属学生のみなさんが身につけてくれることを期待しています。その高度な情報処理能力と言語運用能力が発揮出来るところが本コースの卒業生にふさわしい進出分野といえるでしょう。これまでの卒業生の中には、そのような分野に就職した人も少なくありません。コンピューターメーカーのNEC、日立、インテックなどが良い例でしょう。また出版社や有名書店に勤務している卒業生もいます。
本コースの卒業生には、その他の業種の一般企業に就職する人がいるのはもちろんのこと、県庁や市役所、税関、警察官をはじめ、劇団の主宰者、歌手デビューをする人など、就職先は多岐にわたっています。また、専門学校や大学院に進学する人も少なくありません。
メッセージ
「言語応用コース」はパソコンが使えないとだめなんですか」ということをよく訊かれます。答えは、YESともNOとも言えます。先にも書きましたが、本コースではパソコンは使用しますが、あくまでも言語分析やプレゼンテーションなどの道具として使用しています。決して、本コースでコンピュータ・プログラムを開発しているわけではありません。かといって、今までパソコンをさわったこともないというのも困りものです。就職した際にもパソコンの使用は必ず必要となる時代です。それなりに駆使できるようにしておい損はないと思います。
もちろん、皆さんには見慣れない言語分析専用のソフトを授業で使うこともあります。しかし、それらの使い方に関しては授業の中で学ぶことができます。つまり、ふつうにパソコンさえ使えれば問題ないということです。あくまでもパソコンは道具であり、中心はわれわれ人間です。
刊行物
言語情報学研究 | 2005年3月に第1号を出版以来、毎年3月に刊行。院生、教員、および修了生が主な執筆者である。専修の一つの活動報告書を兼ね、新しい世代が飛躍するための踏み台としての役割も担っている。 |
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