本科、研究生院

德语法语圏语言文化课程 德语圏语言文化领域

https://www.lit.osaka-cu.ac.jp/grm/

研究内容、特色

第二次世界大戦の反省から、平和のためのシステムとして構築されたEU(欧州連合)は、いまや巨大経済圏でもありますが、このEUの中心をになうのが、欧州の二大国ドイツとフランスです。ドイツ語フランス語圏言語文化コースでは、独仏の研究者が協力して「欧州」や「国際文化」に関する科目(ドイツ語フランス語圏言語文化論、ヨーロッパ言語文化特講、インターカルチュラルスタディーズ)を提供し、ひろくEU圏やそれを越えた世界について学ぶことを可能としています。もちろん、履修外国語が独語か仏語によって分かれて所属する領域では、それぞれ独自の専門を究めることができます。

【ドイツ語圏言語文化領域】

欧州連合(EU)の中核的存在であるドイツは決して遠い国ではありません。関西空港から直行便に乗り12時間程度でミュンヘンに着きます。最近このような有利な条件を生かして、ドイツでの語学講習に参加する学生が増えています。またインターネットを使えば、研究室にいながらにしてドイツ語放送などリアルタイムの情報が手に入れられます。他方、ドイツ・オーストリア・スイスは、いずれも美しい自然と豊かな文化や芸術を持つ国々です。本領域のスタッフは、ドイツの伝統的文化や芸術を学ぶ人にも、現代ドイツに関心を持つ人にも、その関心領域に応じた柔軟な指導を行う体制を整えています。

ドイツ語は英語と同様、西ゲルマン語に属す言語です。同族の言葉でありながら、英語では失われた興味深い言語学的特徴を保持しているのがドイツ語です。英語に加えてドイツ語をマスターすることは、将来どんな分野で活動するにしても、非常に大きな実際的能力として高く評価されるだけでなく、それまでの限られた視野を広く世界に向けて拡大してくれるというすばらしい効果を持っています。文学部でしっかり外国語を学び、ヨーロッパに関する知識を身につけることにより、社会人になる人も研究者を目指す人も、世界に羽ばたける有効な精神的基礎を形成することができるでしょう。

ドイツ語圏言語文化領域では、未知の世界への探求心を持った人を歓迎し、またそのような人を育てています。
授業科目は、大きく分けて次の3分野に設定されています。

①「ドイツ文学」はドイツ語圏の文学作品の研究を行います。たとえば、18世紀では、ゲーテの戯曲『ファウスト』や、シラーの『ヴィルヘルム・テル』、19世紀では、クライストの喜劇『壊れがめ』やホフマンの怪奇幻想小説『砂男』、20世紀に入ると、カフカの『変身』や、トーマス・マンの長編小説『魔の山』、あるいは現代ではミヒャエル・エンデの『モモ』や『果てしない物語』などを例としてあげることができますが、他に数多くの研究対象があります。

②「ドイツ文化」の領域では、ドイツ語圏の演劇、音楽文化、芸術、民話(たとえばグリム童話集)、あるいは自然、社会、歴史、風俗・風習、社会制度、さらにはスポーツなどを扱います。また、ドイツ文化の背景にある、あるいはその根底にある思想(人間観や文化観)も扱います。

③「ドイツ語学」の領域では、ドイツ語の歴史やその言語構造について、専門的に純粋言語学として取り扱うだけでなく、社会言語学的に言語を社会とのかかわりの中でとらえ、研究します。またこの領域では、実践的なドイツ語の習得にも力を入れており、読む・書く・聞く・話す力をバランスよく身につけることを目指しています。特に、コミュニケーション能力の開発には力を入れています。

まず、本領域の専攻を決めた諸君が、専門的な学習に向けた基礎力をつけるために、「ドイツ語圏言語文化基礎演習」を開講しています。
専門科目は、文学・文化・語学の3領域のそれぞれに、概論的科目(ドイツ語圏文学史、ドイツ語学概論、ドイツ語圏文化論)、演習科目、講義科目の3グループの授業が開講されます。このうち概論的科目は、各領域の基礎となる内容ですので、なるべく早い年次に履修することが望まれます。専攻生諸君は、これら3分野の科目を、バランスよく受講することが重要です。
これら専門科目と平行して、「ドイツ語コミュニケーションIII」が開講され、ドイツ語の実践的な能力を高めてゆくための演習が行われます。
これらの授業の上に立って、最終年次には、担当教員の指導のもとに、各自が関心を持つテーマで卒業論文を書くことになります。

コースからのおしらせ

準備中です

スタッフ

高井絹子 教授 20世紀のドイツ語圏文学、とくに戦後の社会的状況と文学の関係について関心があり、バッハマンやハウスホーファーら女性作家の作品を主な研究対象としている。
長谷川健一 准教授 18・19世紀の文化と文学(作家で言えば、ゲーテ、ユング=シュティリング、ノヴァーリス等)を、その歴史的・社会的背景も含め、総合的に研究している。
信國萌 講師 ドイツ語学の分野で、現代ドイツ語の形容詞と構文の統語論的・意味論的関係を中心に研究を行う。特に、事象や命題を表す語句と形容詞の関係に関心を持っている。

コース決定にあたっての心構え

ドイツ語圏言語文化領域は、ヨーロッパに関心がある人やドイツ語に興味を持つ人を歓迎します。大学入学後から、ヨーロッパ、とりわけドイツ・オーストリア・スイスの文学、芸術、文化に親しむように心がけてください。

卒業後の進出分野

専門としてドイツ語を学んだことを直接生かせる分野として、研究者を目指す大学院進学と外国語を使う文化的機関への就職が挙げられます。またドイツ語とは直接結びつかない一般企業へ就職する人も多いですが、大学で複数外国語を学んだ努力は一定の評価を得られることでしょう。卒業生の最近の就職先は、商社、銀行、メーカーなどの一般企業の他に、美術館、都市ホテル、教員、司書、外国語学校、官公庁などがあります。

メッセージ

ヨーロッパの北方、「森の国」と呼ばれるドイツには、さまざまな夢想家や思想家が生まれました。そこでは独特な精神文化が形成され、世界に向けて新しいヴィジョンの発信がなされてきました。世界や人間、文化や言葉をどう理解するのか、人間は矛盾に満ちた社会の中でどのように生きるべきかといった問いは、目標を見失いがちな現代の日本にとって重要な問題ですが、ドイツ語圏の文学や文化や言語はその課題と取り組む上での貴重な示唆を与え、われわれを未知の新しい発想へとうながしてくれることでしょう。

刊行物

『Seminarium』 当教室の大学院出身者、院生、教員からなる大阪市立大学ドイツ文学会が年1回発行する学術雑誌。ドイツ語学、ドイツ語圏文学、文化に関する論文および研究ノートを掲載しています。

施設紹介

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共同研究室
独文の教室会議、論文指導、研究会、教室イベントで使用される部屋。
資料室そのほか、授業が行われる院生室と学部生室、学術雑誌を保管する書庫がある。
資料室
そのほか、授業が行われる院生室と学部生室、学術雑誌を保管する書庫がある。