教室紹介

○  英米言語文化コース(学部)・英米言語文化専修(院)では、英語圏の文化、イギリス文学、アメリカ文学、および英語学を研究対象としています。これら4つの分野を対象とする学問的研究の知識を修得するとともに、実質的に「世界共通語」として機能している英語そのものの高度な運用能力を身につけることも目的とした教育・指導を行なっています。

英語圏文化
 イギリス・アイルランド、北米はもとより、アフリカ、オセアニア、カリブ海沿岸地域の英語圏にかかわる、さまざまな文化現象や、英語文化の特色を探ることを目指します。言語・文化の諸問題を広い文化的コンテクストにおいて考察を加えます。また、日本文化および東洋文化との比較も話題にのぼるでしょう。さらに、専攻生の関心によっては、創作や翻訳などに関する諸問題も興味深いテーマとなるでしょう。

イギリス文学
 ヨーロッパ文学の一環をなしていますが、ゲルマン語を基底とする英語がノルマン・フランス語の影響により独自の発展を遂げたこと、またその地勢が四方を海に囲まれていること、そして均衡を重んずる国民性によって、独得の性格をもっています。古来大陸との文化交流を常に行なってきたイギリスは、文学と思想の面で優れ、特に近世以降は、ヨーロッパ文学に大きな影響を与えてきました。詩・演劇・小説いずれのジャンルも、質の高さと伝統に支えられ、知的好奇心を十二分に満足させてくれるはずです。

アメリカ文学
 アメリカ文学の特色は、さまざまな意味での若さです。初期植民以来わずか300余年の歴史しかもたないのに、実に多様で豊かな文学世界が拓かれてきました。アメリカの建国、ピューリタン的理想をその出発点とする文学作品においても、「宇宙とオリジナルな関係」(エマソン)を持とうとする「アメリカの夢」が繰り返し描かれています。観念が現実の前に挫折するという過程も、新世界では、深い共感をもって語られています。そして学生諸君は、植民地・建国時代の文書・説教から、現代最先端の文学作品にいたるまで、あらゆるジャンル・時代のアメリカ文学について学ぶことができます。

英語学
 近年の認知科学への関心の高まりとともに、言語学も学際的要素が強くなってきていて、英語学もその影響を受けていると言えます。これにより、より実際に使われている生きた英語を研究対象とし、学習や研究の対象になりやすくなったと言えます。当教室では、英語という言語の特徴を、他の言語と比較しながら通時的、共時的に学んでいきます。特に英語の意味、機能、構造の多様性、またその歴史的編成過程について、クレオール語や英語の方言なども含め、認知言語学、文化人類学などを踏まえた学際的アプローチで幅広い視点から学べます。

○  学部生および院生の皆さんには、何よりもまず、英語そのものへの興味と、それを習得しようとする意欲と根気が要求されます。同時に、ドイツ語、フランス語といった第二外国語の研鑽に努めることにより、英語の特質を再認識してください。
 各分野を学習する際の留意事項としては、英語圏文化では、その様々な特徴に目を向け、それらと日本文化との関連性について考察すること、イギリス文学では、広くヨーロッパ文学・文化を視野に収めながらイギリスの独自性に目を向け、詩・小説・演劇のテクスト分析を通して、言葉と人間 への関心を高めること、アメリカ文学では、幅広く今日の世界情勢や学問・芸術・文化の動向に関心を寄せること、英語学では、英語学以外にできるだけ多くの英語関連科目を受講し、多様な英語に接することにより、日常使われる口語表現、文学作品に代表される文章表現などに興味深いトピックを見出そうとする意欲が求められます。
 本コースの大学院は、新制の大学院としては、最も先行する大学院として、1953年に修士課程、それから2年後の1955年に博士課程が設置され、多くの研究者を送り出し、学界に少なからぬ貢献をしてきました。専攻の名称は、旧来は「英文学専攻」でしたが、現在は「言語文化学専攻英語英米文学専門分野(専修)」です。英文学、アメリカ文学、英語学、英米文化学の研究および演習科目が提供されています。専攻生はこれら4分野のなかからテーマを選んで研究を進めることができます。
 定員の目安は、前期博士課程(修士課程)が1学年4名、後期博士課程が1学年2名です。
 大学院修了者の多くは、大学の教員として教育・研究に従事していますが、高等学校の英語教員として活躍している人もいます。近年、高校教員も、修士課程修了者で専修免許取得者が歓迎される傾向があることを付記しておきます。

 平成30年度の英語英米文化コース(学部)、英語英米文学専修(院)のシラバスは、以下のリンクから見られます。
 http://www.lit.osaka-cu.ac.jp/academics/syllabus