Undergraduate Faculty / Graduate School

Asian Culture

特色

アジアは昔から文化、言語、宗教などにおいて多様性に富んだ地域でした。人々の暮らしもそれぞれの地域の伝統に根ざすことで、豊かな生を育んできました。しかし、いまアジアは大きく変化しています。近年のグローバルな文化交流によって西洋的な、さらには無国籍的な文化が広く浸透するなかで、人々は最先端のライフスタイルを楽しみ、モバイル端末を片手に近未来的な景観の街を闊歩しています。多様な伝統文化がファッショナブルな現代性のなかに姿を変えつつあるところ、現在のアジアはそんなダイナミックな様相を呈する場所なのです。

アジア文化コースは、このようなアジアの文化的ダイナミズムをテーマとする総合的なコースです。アジアにたいする深い理解と共感、現代の文化状況への鋭い感性、文化にアプローチするための専門的な知識などをもとにしながら、それぞれの地域や社会の特性に応じた文化の活用を考えていきます。

文化の活用といっても難しく考える必要はありません。私たちの身の回りを見渡しても、抹茶がアイスクリームやスイーツに取り入れられたり、アジアの伝統工芸が素敵なインテリアとして活用されたり、あるいは、イスラームの「ハラール・フード」が新しいビジネス分野として注目されたりなど、文化活用の事例は数限りなく見ることができます。心豊かな暮らしのために、アジアの多彩な文化を生活に取り入れる・・・、アジアの経験をもとに、人々の共生に資するような文化を構築する・・・など、コースの守備範囲は無限に拡がっています。文化の身近な利用から経済的な活用まで、あるいは文化についての哲学的な思索から実践的な応用まで、アジア文化のさまざまな活用を考えてみましょう。

アジア文化の活用を考えるために、アジア文化コースでは「地域」「共生」「比較」という三つのコンセプトを掲げています。

「地域」とは、多様な文化を生み出した地域的特性であったり、いままさに文化の新たな活用がなされていたりする現場のことです。文化を理解するためには、文化だけを切り取って考えるのではなく、文化や文化現象の母体である「地域」についての理解が欠かせないのです。

「共生」とは、多様な文化が文字通り共生を果たしている状態であり、またそのような状態へ向かおうとする価値のことです。文化間の共生、伝統と現代性との共生など、アジア地域では文化の「共生」が大きな課題として存在しています。ある文化に固執すればそれは文化の対立や衝突しか生み出しません。いかに共生的な文化を構築していくのか。アジアへのアプローチには「共生」への志向が欠かせません。

「比較」とは、アジア文化を理解する上での大切な視点です。文化をひとつの視点から理解しようとするだけでは、ときとして一面的な見方にとどまってしまいます。地域間の比較はもちろんのこと、過去と現在との比較、研究対象とする文化コンテンツ同士の比較など、さまざまな「比較」をとおして、物事を相対化してとらえることが大切です。

世界の中の日本という観点から見れば、アジアの人々との交流は、さまざまな分野で今後ますます重要になっていくでしょう。「地域」「共生」「比較」をキーワードとしながら、アジア文化の現代的様相をともに学んでいきたいと思います。

授業

授業科目は大きく3つのカテゴリーに分けられています。まず文化構想学科に所属する学生すべてに履修が課せられている「必修科目」があります。2年生から文化構想学科のいずれかのコースに所属を希望する人は、「文化構想学概論Ⅰ」「文化構想学概論Ⅱ」を1年生のときに必ず履修しておいてください。また、2年生では「文化構想学基礎演習Ⅰ」「文化構想学基礎演習Ⅱ」を履修してください。

アジア文化コース独自の授業は「選択必修科目」というカテゴリーとして括られています。これらの科目は2年生から4年生の間で履修します。アジア文化についての基礎的なとらえ方を学ぶ「アジア文化基礎論」の他、上に挙げた3つのキーワードに対応する科目が開講されます。さらにもうひとつアジアを理解するために必要な「伝統文化」に関する科目も用意しています。それぞれの科目は、たとえば「アジア地域文化概論」「アジア地域文化論」「アジア地域文化論演習」といったように、「概論」「論」「演習」という3種類の授業から構成されています。これら3種類の授業は、順に知識や理解を深めていく形になっていますので、皆さんの関心に応じて選択的に履修してください。

3つめのカテゴリーが「自由選択科目」です。アジア文化コースとして提供しているのは「文化人類学」と専任教員ではカバーしきれない地域や方法論を補うものとしての「アジア文化特論Ⅰ」「アジア文化特論Ⅱ」です。これらの科目や、他コース、他専攻の科目の履修を通して、幅広い学びにつなげてもらうことを期待しています。

以上のような授業を履修した上で、4年生では「卒業論文」を作成します(卒業論文に関連する授業科目(「卒業論文演習Ⅰ」「卒業論文演習Ⅱ」「卒業論文」)は「必修科目」のカテゴリーに入っています)。卒業論文は、大学生活における学びの集大成であると同時に、皆さんの発見や考察を、少し大げさに言えば世界に問いかけるものです。自らテーマを決め、資料や文献を集め、議論を整理して結論へと結びつけていく・・・。卒業論文の作成は、大学の勉強のなかで一番「わくわく」する作業です。

コースからのおしらせ

準備中です

スタッフ

松浦恒雄 教授 中華圏の演劇がどのように形成されているのかを、歴史的側面だけでなく、現代社会とのかかわりの中で明らかにしようとしています。これまでは主に民国期のメディアとの関連性に重点を置いてきましたが、今後は、21世紀に新たな局面を迎えつつある中華圏の演劇の新しい姿にもスポットを当ててゆきたいと思っています。
多和田裕司 教授 文化人類学を専門にしています。東南アジア、とくにマレーシアをフィールドとして、現代社会における文化や宗教のありかたや多文化共生社会の課題など、文化を応用的観点からとらえたいと思っています。
堀まどか 教授 日本文化研究や日本語文学研究を国際的な観点からおこなう研究をしています。比較の視点をもって、日本をアジアのなかの地方として把握し、文芸文化の交渉の歴史や実態について研究しています。
宋恵媛 准教授 朝鮮半島に住む人々、そして日本を含む世界各地に散らばるコリアンディアスポラたちの文化を研究しています。声を奪われてきた周縁の人々の言葉、文学、歴史を新たに掘り起こすことを目指しています。

コース決定にあたっての心構え

アジア文化コースでは、日本、中国、香港、台湾、朝鮮半島などを指す「東アジア」をはじめとして、「東南アジア」「南アジア」「西アジア」といった広範な地域を対象にすることができます。また、アジア地域は、歴史的にも現在においても、英、仏、蘭、露、米などの大国との間で多彩な文化を創り上げていることから、文化のグローバルな交流について関心を持つ人にも興味深いコースであると思います。

アジアに関することであればどのような事柄でも構いません。自身の興味や関心を学問として追求していきましょう。

大学院

2020年度から、「アジア文化学専修」として前期博士(修士)課程、後期博士課程が開設されます。文学研究科には、本コースの大学院の前身にあたる「アジア都市文化学専攻」がありました。諸先輩は、大学の教員、博物館学芸員など、その能力と専門を活かして活躍しています。社会が複雑になり、私たちの暮らしも日々高度化しています。これからの時代を見据えて大学院進学も将来の進路として考えてみてはどうでしょうか。

卒業後の進路

2019年度からスタートのコースですので、まだ卒業生が出ていません。しかし、アジア文化コースの授業や指導を通して、アジア地域にたいする広い視野と専門性を身につけることで、地域社会から国際社会まで、幅広い領域での活躍が期待されています。具体的には、アジアと関わりのある商社、金融、保険、製造、百貨店、旅行業等や、JICA、国際交流基金、NPO法人などの専門的な職業、さらには大学院進学(研究者、大学教員)などが、進路として想定されます。

アジア文化コースを志望する皆さんへのメッセージ

アジアに関心がある皆さんを歓迎します。アジアの料理が好き、アジア映画をよく見る、アジアに旅行に行ったことがある・・・等々、アジアへの関心はどのようなものでも構いません。アジア文化コースの教員が、皆さんが抱いている個人的な思いを、アカデミズムの枠組みのなかであらためてとらえ直すことができるように支援します。

もしコースについてもっと詳しく知りたくなったら、いつでもコースの教員に尋ねてください。直接研究室に来て頂いても、メールで質問して頂いても、どちらでも構いません。