top

表現文化学専修(大学院) 授業案内

2008年度 表現文化専修提供科目 (*は非常勤講師)

表現文化学研究1 荒木映子

●科目の主題と目標
美術館(博物館)とその展示について、美術史、文化理論、文化人類学等を取り入れた学際的研究を行な う。美術館(博物館)という空間、そこでの体験とはどういう意味をもつのか?展示品の分類や取捨選択 は何を物語るのか?美術館(博物館)は個人、地域、国家にとってどういう働きをするのだろうか?この ような問題意識を持って新しいmuseologyを学び、美術館(博物館)体験を見直すことを目的とする。

●授業内容・授業計画
前期に開講する表現文化学研究演習1を受講しておくことが望ましい。夏休みに読むべき文献のreading listを渡す。その上で、以下の内容に沿って報告と議論を求める。
1.美術館(博物館)の起源
2.収集・分類・展示の意味論
3.文化のスペクタクル
4.美術館(博物館)の商品化
5.国家の展示としての万博
理論としては、西欧の美術館(博物館)を視野に入れるが、日本の美術館(博物館)との比較考察も行なう。

●評価方法
授業中の報告と、美術館(博物館)訪問後のレポートと、学期末のレポート。

●受講生へのコメント

●参考文献・教材
夏休み中に指示。

表現文化学研究演習1 荒木映子

●科目の主題と目標
美術館(博物館)をひとつのdiscourse、展示品をその中のutteranceとしてとらえる新しいmuseologyを 提唱するナラトロジー学者、文学・文化批評家のMieke Balの論文を読む。美術館(博物館)をナラティ ヴな構造としてとらえ分析するというこの新しい試みは、言語学の専横を示すものではなく、人文学の基 盤をなす美学の恣意性や実際の社会的問題との乖離への真摯な反省に基づいているという。欧米で進んで いる新しいmuseologyの一端を知り、後期の「表現文化学研究I」へとつなげていく。

●授業内容・授業計画
下記テクストを読む。(プリント配布 )
Mieke Bal, ’Telling, Showing, Showing Off’(1992) Mieke Bal, ’The Discourse of the Museum’(1996)

●評価方法
出席と試験とレポートによる。

●受講生へのコメント
英語文献を読むことに慣れ、英語での論文執筆ができるよう、英語の訓練もすること。予習は必須。

●参考文献・教材
授業中に指示。

表現文化学研究2 小田中章浩

●科目の主題と目標
前年度に引き続き、Roger Shattuck, The Banquet Years, T he Origins of the Avant-Garde in France, 1885 to World War I, 1955(revised edition,1968)を読む。今年度も、PART TWOのうち、Henri Rousseau, 1844-1910を訳読しつつ、「ベル・エポック」と称される十九世紀末から二十世紀初頭のフランスにおいて、 税官吏ルソーを通じて眺めたフランス絵画の動向、および関連する文化の諸相について理解を深めること を目指す。

●授業内容・授業計画
受講生は、毎回指定された担当箇所を訳すだけでなく、必要に応じて関連した事項についてリサーチを 行い、報告することが求められる。

●評価方法
評価は、毎回の授業において、各自が与えられた課題を確実に達成したかどうかに基づいて行う。

●受講生へのコメント
上記文献は、当初は必要箇所をプリントで配布する。ただし本書はペーパーバック版の古書であれば廉 価で購入でき、またベル・エポックのフランス文化について英語で書かれた名著でもあるので、受講者は 最終的に購入することが望ましい。

●参考文献・教材
必要に応じてプリントを配布する。

表現文化学研究演習2 小田中章浩

●科目の主題と目標
20世紀初頭の西洋において、表象されたものとしての身体に対する見方がどのように変化したかについ て、絵画、舞踊、スポーツ、あるいは他の表象文化を取り上げて考察する。

●授業内容・授業計画
受講生は、自らの専門分野に応じて、上記の問題系を個々の問題へと設定し、それに基づいて順次発表 を行うことが求められる。

●評価方法
評価は授業におけるリサーチの達成度、発表の成果に基づいて行う。

●受講生へのコメント
改めて指摘するまでもなく、本演習は受講者の自主的な取り組みに基づいて展開されるものであり、一 方向的に何かが「与えられる」ものではない。

●参考文献・教材
必要に応じてプリントを配布し、リサーチすべき資料を提示する。

表現文化学研究3 野末紀之

●科目の主題と目標
昨年度につづき「言葉は身体(表現)をいかにとらえようとするのか」というテーマの下に、笑いとユー モアにかんする代表的な理論を取上げる。今年度は、ベルグソンとそれ以後の理論、およびそれらの有効 性と問題点について考察する。また、理論が現代の笑いの分析にどれほど有効か、考察を加える。

●授業内容・授業計画
ベルグソンとそれ以後の「笑い」理論を概観したのち、それらの有効性と問題点を扱った論文を精読し、 議論する。受講生には、「笑い」を喚起する作品を各自の関心から選び、分析してもらう 。

●評価方法
出席、発表、レポートを総合的に評価する。

●受講生へのコメント
十分な予習が必要。また、言及される作品にできるだけ目を通してほしい。

●参考文献・教材
教材は英語のプリント。John Morreall編集のThe Philosophy of Laughter and Humor(1987)と、Michael Billig編集のLaughter andRidicule(2005)を使用する。

表現文化学研究演習3 野末紀之

●科目の主題と目標
前期のつづき。「笑い」にかんする現代の理論の有効性と問題点を扱ったテキストを精読し議論しつつ、 さまざまなメディアにあふれている「笑い」の手法や問題を分析する視点を養う。

●授業内容・授業計画
「笑い」にかんする現代の研究者の論文を読みすすめながら、随時、受講生による発表を織り交ぜる。

●評価方法
出席、発表、レポートを総合的に評価する。

●受講生へのコメント
「笑い」への敏感な反応と野暮な分析を厭わぬ粘り強さとの両立が求められる。

●参考文献・教材
教材は英語プリントを配布。John Morreall編集のThe Philosophy of Laughter and Humor(1987) と、 Michael Billig編集のL aughter and R idicule(2005)を使用する。参考文献は適宜指示する。

表現文化学研究4 三上雅子

●科目の主題と目標
20世紀前半のヨーロッパ文化圏においては、すでに確立されたかに見えていた従来の演劇観を覆す新たな 演劇論が次々に世に問われていった。それらは演劇というジャンルにとどまらない、社会・時代・芸術の 変化を反映したものであった。この時期の演劇をめぐる言説を取り扱いながら、20世紀芸術の特質を考察 する。

●授業内容・授業計画
英語圏ならびにドイツ語圏の演劇論を読みながら、20世紀演劇の特質を考察し、その特質が演劇のみなら ず、他の芸術ジャンルの言説とも共通する認識に支えられていたことを確認する。

●評価方法
レポートによる。

●受講生へのコメント
特になし。

●参考文献・教材
授業中に指示する。

表現文化学研究演習4 三上雅子

●科目の主題と目標
本授業では参加者による事例研究に基づいた発表を中心とする。 学会発表や論文執筆にあたって必要とされるスキルについても、学んでいく。

●授業内容・授業計画
20世紀演劇ならびに関連芸術ジャンルに関して、受講生に発表を行ってもらう。

●評価方法
発表 35% レポート 65%

●受講生へのコメント
発表に際しては、依拠すべき論文等について充分調べておくこと。

●参考文献・教材
授業中に指示する。

表現文化学研究5 海老根剛

●科目の主題と目標
現在、私たちの映像環境は、映像の生産・流通・受容のすべての局面において大きく変容しつつあります。 この授業では、比較新しい理論的著作の検討を通して、現在の映像文化の諸相を考察するための理論的視 点の獲得を目指します。

●授業内容・授業計画
代表的な映像文化論の文献を講読します。イメージ論、映画研究、ニューメディア論、データベース美学 を扱います。受講者の語学力とのかねあいもあるが、なるべく外国語(英語)文献を購読したい。まずは ジャック・ランシエールの『映像の運命』から始める予定。また授業ではテ クストの購読だけでなく、そこで論じられている映像作品や映像表現の鑑賞と考察も行います。

●評価方法
発表とレポートによって評価する。

●受講生へのコメント
専門分野を問わず映像文化研究に関心のある学生の受講を歓迎します。 各自、自分の研究テーマと関連づけながら文献を読み、理論的視野を広げる機会として授業を活用してく ださい。

●参考文献・教材
プリントを使用。

表現文化学研究6 高島葉子

●科目の主題と目標
『指輪物語』三部昨(The Lord of the Rings)とその映画版についての論文集を読み、批評史、ポストコロ ニアル的視点、ジェンダー問題、さらにゲームをはじめとした他のメディアを含む後世のファンタジーへ の影響といった観点から『指輪物語』を考察することを通し、ファンタジーというジャンルの研究方法に ついて学ぶ。

●授業内容・授業計画
受講生の興味にしたがって扱う章を決定する。だいたい授業2回で1章を扱う。受講生はあらかじめ該当 の章を読んでおき、一回目の授業で読み合わせを行い、2回目の授業で問題点を出し合い、議論する。学 期末には、各自の問題設定で発表し、それを元にレポートを作成してもらう予定である。

●評価方法
出席状況、発表、討議への参加ど、レポートに基づいて評価する。

●受講生へのコメント
十分な予習と授業時の討議への積極的な参加を必要とする。『指輪物語』の原作と映画にあらかじめ目を 通しておくことが望ましい。

●参考文献・教材
Robert Eaglestone ed., Reading The Lord of the Rings: New Writings on Tolkien’s Classic, 2005.

表現文化学特殊研究 石田美紀*

●科目の主題と目標
今日、「やおい」または「ボーイズラブ」と呼ばれる「女性がつくり楽しむ男性同士の性愛物語」は、読書界・市場において広く認知されています。さらには「腐女子」と呼ばれるこれらの表象の愛好家にも、高い関心が寄せられています。
さて、この「女性がつくり楽しむ男性同士の性愛物語」は、いつ、誰が、どのようにして作り上げたのでしょうか。
本講義は、「やおい・ボーイズラブ」に至る系譜が誕生した70年代にさかのぼり、近・現代日本の大衆文化における「女性がつくり楽しむ男性同士の性愛物語」の意義を明らかにします。
そして、この表象の歴史的・文化的背景を踏まえ、70年代の誕生から現代に至るまで女性たちが行ってきた作品受容と創作のありかたを分析しながら、生きることと書く(描く)こととの相関関係を考察します

●授業内容・授業計画
授業は以下の3つを軸とします。
1・教養の変遷―明治以降の日本における「教養」を巡る抗争  
2・女性による男性身体の表象と表現―小説・マンガ・映画
3・読者から創作者への変化ー雑誌『JUNE』と同人誌文化
 
取り上げる題材およびキーワードは以下です。
「24年組」/「少年愛」/竹宮惠子/ヘルマン・ヘッセ/稲垣足穂/三島由紀夫/澁澤龍彦/雑誌『血と薔薇』/栗本薫・中島梓/私小説/ミステリ小説/マンガ対文学/雑誌『JUNE』/コミックマーケット/同人誌/二次創作/パロディ

●評価方法
授業参加(30%)およびレポート(70%)。

●受講生へのコメント
参加者とのディスカッションを積極的にもちたいと思います。
「腐」の人もそうでない人も、あるいは「腐」を認めない人も、意見を求める機会にはぜひ発言してください。

●教材・参考文献
教材 石田美紀『密やかな教育―〈やおい・ボーイズラブ〉前史』洛北出版、2008年。

参考文献 『ユリイカ 総特集・腐女子マンガ大系』2007年6月臨時増刊号、青土社。
     『ユリイカ 総特集・BLスタディーズ』2007年12月臨時増刊号、青土社。
     永久保陽子『やおい小説論―女性のためのエロス表現』専修大学出版局、2005年。
     佐藤健二編著『文化の社会学』有斐閣、2007年。

表現文化学専修 授業案内一覧にもどる

 

大学院 専修の紹介

学部 コースの紹介

スタッフ

授業案内 -大学院-

授業案内 -学部-

施設・設備

問い合わせ・入試情報

表現文化リンク集

ホームページ

文学研究科・文学部

大阪市立大学

(c)大阪市立大学表現文化学専修・表現文化コース 2005