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表現文化学専修(大学院) 授業案内

2008年度 表現文化専修提供科目 (*は非常勤講師)

表現文化学研究1 荒木映子

●科目の主題と目標
第一次世界大戦はどのように表象されたか、戦中から戦後間もなく100年目を迎える現在に至るまで、文学、歴史、マス・メディア、ポピュラー・カルチャーにおけるその表象を検討する。それによって、大戦についてのイメージがどのように形成されたかを考察し、現在における大戦の意味を文化史的観点から見直す

●授業内容・授業計画
戦争詩、大戦について書かれた文学のみならず、兵士の残した記録、映画、テレビ番組、記念行事・記念碑・戦争博物館・戦場ツアー等についてのいろいろな資料にあたって、検討する。

●評価方法
授業への毎回の出席を前提に、発表とレポートにより評価。

●教材・参考文献
授業中に指示。

表現文化学研究演習1 荒木映子

●科目の主題と目標
イギリスの絵画、建築、装飾品、服飾に見られるイギリス人の趣味を歴史的観点から学び、20世紀初めにポスト印象主義が紹介されて以来アヴァンギャルド化していったイギリスの芸術・文化を、他の国々との比較のもとに考察する。

●授業内容・授業計画
前半では、Virginia Woolf の甥にあたる美術史家Quentin Bellが書いた論文を精読し、アート、デザインにおけるイギリスらしさを学ぶ。後半は、ポスト印象主義が、表現主義、キュビスム、未来派、ヴォーティシズム、シュルレアリスム、ダダイスム等さまざまなアヴァンギャルド運動を引き起こしていった見取り図を知り、特にイギリスにおけるアヴァンギャルドの実例を取り上げる。

●評価方法
予習と毎回の出席を前提に、発表と学期末レポートで評価。

●教材・参考文献
Quentin Bell, Art and Popular Taste(英宝社)

表現文化学研究2 小田中章浩

●科目の主題と目標
前年度に引き続き、Roger Shattuck, The Banquet Years, The Origins of the Avant- Garde in France, 1885 to World War I, 1955 (revised edition,1968) を読む。今年度は、PART TWOのうち、Henri Rousseau, 1844-1910 (pp.45-112)を訳読しつつ、「ベル・エポック」と称される十九世紀末から二十世紀初頭のフランスにおいて、税官吏ルソーを通じて眺めたフランス絵画の動向、および関連する文化の諸相について理解を深めることを目指す。

●授業内容・授業計画
受講生は、毎回指定された担当箇所を訳すだけでなく、必要に応じて関連した事項についてリサーチを行い、報告することが求められる。

●評価方法
評価は、毎回の授業において、各自が与えられた課題を確実に達成したかどうかに基づいて行う。

●受講生へのコメント
上記文献は、当初は必要箇所をプリントで配布する。ただし本書はペーパーバック版の古書であれば廉価で購入でき、またベル・エポックのフランス文化について英語で書かれた名著でもあるので、受講者は最終的に購入することが望ましい。

●教材・参考文献
必要に応じてプリントを配布する。

表現文化学研究演習2 小田中章浩

●科目の主題と目標
19世紀末から20世紀初頭の西洋において、表象されるものとしての身体観がどのように変化したかについて、スポーツ、絵画、舞踊、あるいは他の表象文化を取り上げて考察する。

●授業内容・授業計画
受講生は、自らの専門分野に応じて、上記の問題系を個々の問題へと設定し、それに基づいて順次発表を行うことが求められる。

●評価方法
評価は授業におけるリサーチの達成度、発表の成果に基づいて行う。

●受講生へのコメント
改めて指摘するまでもなく、本演習は受講者の自主的な取り組みに基づいて展開されるものであり、一方向的に何かが「与えられる」ものではない。

●教材・参考文献
必要に応じてプリントを配布し、リサーチすべき資料を提示する。

表現文化学研究3 野末紀之

●科目の主題と目標
「言葉は身体表現をいかにとらえようとするのか」というテーマの下に、笑いとユーモアにかんする代表的な理論を取上げる。今年度は、フロイト、ベルグソンおよびそれ以後の理論について講義する。彼らの理論が現代の笑いの分析にどれほど有効か、考察を加える。

●授業内容・授業計画
前半は、フロイト、ベルグソンおよび現代の笑いの理論を概観し、後半では、それらを取上げた論文の精読とディスカッションにあてる。また、受講生には、笑いを喚起するさまざまな作品を分析してもらう。

●評価方法
出席、発表、レポートを総合的に評価する。

●受講生へのコメント
十分な予習が必要。また、言及される作品にできるだけ目を通してほしい。

●教材・参考文献
教材はプリント(英語)。John Morreall編集のThe Philosophy of Laughter and Humor (1987)と、Michael Billig編集のLaughter and Ridicule (2005)を使用する。

表現文化学研究演習3 野末紀之

●科目の主題と目標
さまざまなメディアにあふれている笑いの手法や問題点を分析する視点を養う。

●授業内容・授業計画
笑いにかんする現代の研究者の論文を読みすすめながら、随時、受講生による発表を織り交ぜる。

●評価方法
出席、発表、レポートを総合的に評価する。

●受講生へのコメント
笑いへの敏感な反応と野暮な分析を厭わぬ粘り強さとの両立を目指してほしい。

●教材・参考文献
教材はプリントを配布。参考文献は適宜指示する。

表現文化学研究4 三上雅子

●科目の主題と目標
20世紀前半のヨーロッパ文化圏においては、すでに確立されたかに見えていた従来の演劇観を覆す新たな演劇論が次々に世に問われていった。それらは演劇というジャンルにとどまらない、社会・時代・芸術の変化を反映したものであった。この時期の演劇をめぐる言説を取り扱いながら、20世紀芸術の特質を考察する。

●授業内容・授業計画
英語圏ならびにドイツ語圏の演劇論を読みながら、20世紀演劇の特質を考察し、その特質が演劇のみならず、他の芸術ジャンルの言説とも共通する認識に支えられていたことを確認する。

●評価方法
レポートによる。

●教材・参考文献
授業中に指示する。

表現文化学研究演習4 三上雅子

●科目の主題と目標
本授業では参加者による事例研究に基づいた発表を中心とする。
学会発表や論文執筆にあたって必要とされるスキルについても、学んでいく。

●授業内容・授業計画
20世紀演劇ならびに関連芸術ジャンルに関して、受講生に発表を行ってもらう。

●評価方法
発表 35% レポート 65%

●受講生へのコメント
発表に際しては、依拠すべき論文等について充分調べておくこと。

●教材・参考文献
授業中に指示する。

表現文化学研究5 海老根剛

●科目の主題と目標
現在、私たちの動く映像(動画)との関わり方が大きく変容しつつある。この変容を歴史的な視点から捉え直し、現在の動画文化の考察とそれにふさわしい研究方法について議論する。

●授業内容・授業計画
代表的な映像文化論のテクストを講読する。まずは映画研究、美術史、社会学、人類学などでなされてきた映像研究の成果を確認したうえで、現在の動画文化を論じるテクストの講読へと進む予定。また受講者には適宜、現在の動画文化についての報告や考察をしてもらう。

●評価方法
発表とレポートによって評価する。

●受講生へのコメント
専門分野を問わず現在の動画文化の動向に興味のある学生の受講を歓迎します。

●教材・参考文献
プリントを使用。

表現文化学研究6 高島葉子

●科目の主題と目標
『指輪物語』三部昨(The Lord of the Rings)とその映画版についての論文集を読み、批評史、ポストコロニアル的視点、ジェンダー問題、さらにゲームをはじめとした他のメディアを含む後世のファンタジーへの影響といった観点から『指輪物語』を考察することを通し、ファンタジーというジャンルの研究方法について学ぶ。

●授業内容・授業計画
毎回、各受講生に担当箇所の要点を整理し、レジュメに基づいて発表を行ってもらった後、全員で問題点を討議する。学期末には、各自の問題設定で、レポートを作成してもらう予定である。

●評価方法
出席状況、発表、討議への参加ど、レポートに基づいて評価する。

●受講生へのコメント
十分な予習と授業時の討議への積極的な参加を必要とする。『指輪物語』をあらかじめ通読しておくことが望ましい。

●教材・参考文献
Robert Eaglestone ed., Reading The Lord of the Rings: New Writings on Tolkien’s Classic, 2005.

表現文化学特殊研究 石田美紀*

●科目の主題と目標
今日、「やおい」または「ボーイズラブ」と呼ばれる「女性がつくり楽しむ男性同士の性愛物語」は、読書界・市場において広く認知されています。さらには「腐女子」と呼ばれるこれらの表象の愛好家にも、高い関心が寄せられています。
さて、この「女性がつくり楽しむ男性同士の性愛物語」は、いつ、誰が、どのようにして作り上げたのでしょうか。
本講義は、「やおい・ボーイズラブ」に至る系譜が誕生した70年代にさかのぼり、近・現代日本の大衆文化における「女性がつくり楽しむ男性同士の性愛物語」の意義を明らかにします。
そして、この表象の歴史的・文化的背景を踏まえ、70年代の誕生から現代に至るまで女性たちが行ってきた作品受容と創作のありかたを分析しながら、生きることと書く(描く)こととの相関関係を考察します

●授業内容・授業計画
授業は以下の3つを軸とします。
1・教養の変遷―明治以降の日本における「教養」を巡る抗争  
2・女性による男性身体の表象と表現―小説・マンガ・映画
3・読者から創作者への変化ー雑誌『JUNE』と同人誌文化
 
取り上げる題材およびキーワードは以下です。
「24年組」/「少年愛」/竹宮惠子/ヘルマン・ヘッセ/稲垣足穂/三島由紀夫/澁澤龍彦/雑誌『血と薔薇』/栗本薫・中島梓/私小説/ミステリ小説/マンガ対文学/雑誌『JUNE』/コミックマーケット/同人誌/二次創作/パロディ

●評価方法
授業参加(30%)およびレポート(70%)。

●受講生へのコメント
参加者とのディスカッションを積極的にもちたいと思います。
「腐」の人もそうでない人も、あるいは「腐」を認めない人も、意見を求める機会にはぜひ発言してください。

●教材・参考文献
教材 石田美紀『密やかな教育―〈やおい・ボーイズラブ〉前史』洛北出版、2008年。

参考文献 『ユリイカ 総特集・腐女子マンガ大系』2007年6月臨時増刊号、青土社。
     『ユリイカ 総特集・BLスタディーズ』2007年12月臨時増刊号、青土社。
     永久保陽子『やおい小説論―女性のためのエロス表現』専修大学出版局、2005年。
     佐藤健二編著『文化の社会学』有斐閣、2007年。

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