表現文化学専修(大学院) 授業案内
2006年度 表現文化専修提供科目 (*は非常勤講師)
表現文化学研究1 荒木映子
第一次世界大戦とそのさまざまな記憶の形式(追悼、コメモレーション、伝記、記念日、スピリチュアリズム等々)について考察する。
テキスト:授業中に指示表現文化学研究演習1 荒木映子
Gender Troubleの著者が、9.11体験をもとに、暴力と喪について書いた本を読む。
テキスト:Judith Butler, Precarious Life: The Powers of Mourning and Violence(Verso, 2004)
参考書:追って指示する。
表現文化学研究2 小田中章浩
演劇においてアウトロー(無法者)がどのように表現されてきたかを考える。講義ではまず西洋演劇(および日本の伝統演劇)、歴史、文学においてこのテーマがどのように扱われているかを紹介し、次に受講者の関心のある分野においてアウトローがどのように表現されているかを報告してもらう。
テキスト:必要に応じてプリントを配布する。
参考書:多岐にわたるため、教室で指示する。
表現文化学研究3 野末紀之
この講義では、近代日本の都市文化と深くかかわる大正・昭和初期の文学作品をとりあげて、その虚構世界の特質を考察する。彼らが養分として摂取したヨーロッパの作品もとりあげる。
テキスト プリント配布および各自購入した本
参考文献 授業中に指示する。
表現文化学研究演習3 野末紀之
前期のテーマをさらに深めるために、受講者による報告と分析を中心に演習をすすめる。
テキスト プリント配布および各自購入した本。
参考文献 授業中に指示する。
表現文化学研究4 三上雅子
演劇を考察する時に、舞台における戯曲の上演のみではなく、人間の行う「儀礼、儀式、祭」などをも幅広くPerformanceとして位置付ける研究が近年盛んである。本授業では、様々な先行研究に当たりながらPerformance Studyに当たっての基本的方法論を確認し、われわれの身近に存在する「演劇的行為」について考察する。
テキスト:Richard Schechner: Performance Studies. An Introduction
表現文化学研究演習4 三上雅子
前期の講義を受けて、本授業では参加者による事例研究に基づいた発表を中心に進めていく。参加者は発表に際し、依拠すべき論文等について充分に調べておくこと。また本授業では、学会発表において必要なスキル等についても学んでいく。
表現文化学研究5 浅岡宣彦
プーシキンの《小悲劇》(『吝嗇の騎士』、『モーツァルトとサリエーリ』、『石の客』、『ペスト流行時の宴』)を精読し、それぞれの作品の豊富な材源を検討する。
テキスト:適宜、コピーで配布する。
参考書:プーシキン『青銅の騎士』(郡伸哉訳)群像社。他は、適宜、授業中に指示する。
表現文化学研究演習5 浅岡宣彦
プーシキンの《小悲劇》の材源考を通して、吝嗇、羨望、死の恐怖、ドン・ファン伝説を取り上げた一連の作品をそれぞれ比較検討し、プーシキンの作品の特徴を導き出す。
テキスト:適宜、コピーで配布する。
参考書:適宜、授業中に指示する。
表現文化学研究6 高島葉子
FolkloreとMythologyの分野における女神を扱った英語論文を精読する。アイルランドの妖精バンシーと日本の山の女神に関する論文を取り上げる予定である。
テキスト:S.Billington and M.Green eds., The Concept of the Goddess, 1996.
参考書: 授業時に指示。
表現文化学特殊研究 ジャクリーヌ・ベルント*
本集中講義では、マンガという表現メディアをその多様性において考察する。近年出版されているマンガ表現論に中心を置き、それを比較文化論的に補ってみる。さらに、作品としてのマンガと同時に「マンガ」言説を重視する。
1日目:諸マンガ表現論にみる「マンガ」(字と図、「記号性」、表象と物質性など)
2日目:マンガの「歴史」(起源、日本マンガ史の語り方、マンガ特有の歴史描写)
3日目:マンガ表現と「空間」:京都国際マンガ・ミュージアム見学調査
4日目:マンガと芸術(現代美術の「マンガ」、時代遅れの「マンガか芸術か?」論など)
本講義を集中講義の形で行うので、参加者による予習は必須条件である。具体的には、最初の講義のときに、「事前レポート」(2000字程度)を提出しておき、これに基づいて授業中の個人発表を行う。このレポートのテーマとしては、参考文献を踏まえた上での作品・作家論が望ましい。