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「アートの活用形?」とは

 21世紀になって加速化する経済格差や少子高齢化、甚大な自然災害、貧困、病といった社会的課題と向かい合い、 アートを媒介として創造的に克服、解決への道筋を見出そうとする社会包摂型アートマネジメントのプロフェッショナルを育成する事業です。①理論的な背景を学ぶ講座、②問題を掘り起こし、実践への仮説を自ら構想するゼミ、③専門家と共に社会包摂の現場で実働するプロジェクト実践、以上3つのコースからなっています。必要な知識を修得しながら、実際に現場で適切に働くことのできる実践力(実戦力)を身につけるためのプログラムです。

 本事業の趣旨は人材育成にありますが、その働く場所がなくてはなりません。コミュニティに寄り添うアートの草の根的な実践を支えていくための基盤整備を射程に入れ、行政(大阪市経済戦略局文化部、大阪アーツカウンシル)との長期的な連携を図っていきながら、芸術文化以外の領域、セクションとのネットワークづくりに注力していく予定です。


社会包摂とは

 社会包摂(social inclusion)とは、失業や薬物中毒、家庭崩壊など従来型の社会国家施策が機能不全に陥るなかで、社会に広がった多様な社会的問題(社会的排除)を解決しようとする政策課題として、90年代のEUにおいて浮上してきた概念です。孤立、孤独、排斥に押しやられがちな人々に対して、社会とつながるチャンネルを確保し、人々の相互関係や信頼感を回復させることによって、不当な差別や排除のないコミュニティをつくる実践を意味します。チャンネルづくりの媒体としてアートが注目され、アメリカ合衆国や英国でのコミュニティアートやオーストラリアのコミュニティ文化開発といった流れを形成しましたが、政権の交代によって予算が削減されるなど、安定した社会的インフラにはなっていません。日本においては1998年のNPO法の成立以来、意欲的なアートNPOが社会包摂型アートマネジメントに取り組んできました。本事業は、日本における最も先駆的なアートマネジメントを学ぶものです。