排除はしばしば不可視の構造をもつ。排除されている人々の声は届きにくい。「アートは他者性の表現」と位置づける上田假奈代の「言葉と声」の取り組みを軸に、このテーマの深さを測ってゆく。
中川眞(なかがわしん)
アジアの民族音楽、サウンドスケープ等を研究する傍ら、ガムラン演奏家として活躍。サントリー学芸賞、京都音楽賞、小泉文夫音楽賞、京都府文化賞、日本都市計画家協会賞特別賞(共同)、インドネシア政府文化表彰等を受賞。著書に『平安京 音の宇宙』、『音は風にのって』、『サウンドアートのトポス』、『アートの力』、小説『サワサワ』、編著に『これからのアートマネジメント』等多数。2006年よりアジア・アーツマネジメント会議を主宰し、バンコク、ジョグジャカルタ、クアラルンプール、大阪等で開催し、国際的ネットワーク構築に尽力する。現職は大阪市立大学国際センター所長、大学院文学研究科教授。インドネシア芸術大学、チュラロンコン大学(タイ)の客員教授を随時務める。
上田假奈代(うえだかなよ)
1969年生まれ。3歳より詩作、17歳から朗読をはじめる。92年から障がいをもつ人や子どもなど、さまざまな人を対象にの詩のワークショップを行う。01年「詩業家宣言」し全国で活動をつづける。03年ココルームをたちあげ、「表現と自立と仕事と社会」をテーマに社会的な問題にも取り組む。大阪・釜ヶ崎でココルームカフェを営む。NPO法人こえとことばとこころの部屋(ココルーム)代表。大阪市立大学都市研究プラザ研究員。2014年度文化庁芸術選奨文部科学大臣新人賞。著書:「釜ヶ崎で表現の場をつくる喫茶店、ココルーム」(フィルムアート社 2016年)