◆第7回研究会（通算83回、人文地理学会大会部会アワー）

日時：

2005年11月12日（土）10時00分〜11時30分

会場：

九州大学六本松地区　〒810-8560　福岡市中央区六本松4-2-1
（アクセスと地図は http://www.kyushu-u.ac.jp/map/index.html をご参照ください）

話題提供：

山崎孝史（大阪市立大、部会代表世話人）
認識論と地理学のポリティクス―英語圏政治地理学をめぐる4つの「事件」
発表用ペーパーはこちら（pdf）

要旨：

学問分野、特に人文社会科学は言論を基礎として成り立つがゆえに、研究者の認識論やポジショナリティをめぐって激しい論争を惹起することがある。そうした論争が学問の生産的な発展に寄与するケースもあるが、学派や個人への過剰な反応や非難を引き起こす場合も散見される。こうした対立的状況は、研究教育をめぐる様々な権力関係や学界の内外に展開する政治（ポリティクス）と深い関係を持つことがある。敷衍すれば、我々の研究や認識そのものがそうした諸力と無関係ではない。本発表では、発表者の研究経歴との関わりから、英語圏の政治地理学および関連分野の研究者によって学会・雑誌等で公表され、話題となった論争や問題提起を紹介する。特に、Political Geography誌およびその創刊時からの編集責任者であるJohn O'Loughlin氏の論考を中心に、認識論の差異をめぐる確執、批判の破壊性と建設性、査読者のポジショナリティと公平性、社会貢献と学問的厳密性といった問題を検討する。本発表を通して地理学研究をめぐる我々および学界の営為について参加者と共に考えてみたい。

参考文献：

・Gearoid O'Tuathail (1987) Beyond empiricist political geography: A response to O'Loughlin and van der Wusten. Professional Geographer 39-2, pp.196-197.
・Herman van der Wusten and John O'Loughlin (1987) Back to the future of political geography: A rejoinder to O'Tuathail. Professional Geographer 39-2, pp.198-199.
・Michael J. Dear (2001) The politics of geography: Hate mail, rabid referees, and culture wars. Political Geography 20-1, pp.1-12.
・John O'Loughlin (2004) Academic openness, boycotts and journal policy. Political Geography 23-6, pp.641-643.
・John O'Loughlin (2005) The war on terrorism, academic publication norms, and replication. Professional Geographer 57-4, forthcoming.

注） O'Loughlin (2004, 2005) は http://www.colorado.edu/IBS/PEC/johno/pub/publications.html からダウンロードできます。

お断り：

当初予定しておりました公募による部会アワー発表者の選定は応募がなかったため取りやめました。

発表および討議内容