第23回人間行動分析研究会講演要旨

労力もしくは遅延による価値割引における報酬量効果

十川勇人(大阪教育大学)




 報酬の遅延がその報酬の価値を低下させる遅延割引は広く知られているが、労力割引と呼ばれる報酬を得るために必要な労力がその報酬の価値を低下させる現象も存在する。本研究の主な目的は、この労力割引が遅延割引と同様に正の報酬量効果を示すかどうかを検証することであった。14名の大学生は仕事(図書館の蔵書をPDF化する作業)をしてあるいは待つことで高額の報酬を得るか、無条件で低額の報酬を得るかのどちらかを選択した。報酬量効果を調べるため高額報酬が10万円のものと100万円のものの2水準を設定した。労力割引には遅延割引と同様、正の報酬量効果が見られた。