第23回人間行動分析研究会講演要旨

行動的QOLから見たドッグトレーニング

高山仁志(立命館大学)




 ドッグトレーナーという仕事を「ヒトとイヌのQOL向上がミッションとなる対人援助職」と定義し、新たなドッグトレーナー(トレーニング)の枠組みの提案を目指す研究を行っている。明らかになったのは「飼い主のQOLの向上」も同時に保障されなければ、イヌも飼い主もQOLが向上しないことだった。動物の行動の問題は、その動物を取り巻く周囲のヒトの問題である。その視点から動物のQOLを考えたとき、トレーニング技術を洗練させていくだけでは、動物のQOLの向上に資することは難しいと考えられる。重要なのは、トレーニング技術のための行動分析学ではなく、QOL向上の方法、あるいは視座としての行動分析学の知見であり、その応用であると考えている。こうした点について、いくつかの事例を紹介しながら「行動的QOL(望月,2001)」と関連させて考えていく。