第23回人間行動分析研究会講演要旨

遅延強化子呈示時の遅延中の行動がオペラント行動の形成速度に与える影響

中村健太(同志社大学)




 遅延強化子呈示時はオペラント行動の形成が遅くなる。また,遅延中にさまざまな行動が生じることが報告されている(例えば,Escobar & Bruner, 2007)。これらから,遅延強化子呈示時のオペラント行動の形成速度には,遅延時間そのものではなく,遅延中に生起する行動が関係する可能性が考えられる。そこで,遅延中に特別な行動をさせない群を設けて遅延時間そのものによる影響を測定した。本実験ではモニタ上に記号を用いた選択肢を呈示し,正しい選択肢へのクリック(正反応)に対する報酬として即時にまたは十秒後に得点が呈示されるクリックゲームを用いてオペラント行動の形成速度を比較した。@遅延中に報酬と無関係の選択肢を選択する行動をさせる行動あり遅延群,A遅延中に特別の行動をさせない行動なし遅延群,B即時報酬を呈示する即時群を設けた。その結果,行動あり遅延群のほうが行動なし遅延群よりも正反応数が有意に小さかったが,行動なし遅延群と即時群との間に有意な差はなかった。つまり,遅延中の時間ではなく遅延中の行動がオペラント行動の形成を遅くした。