第18回人間行動分析研究会講演要旨

損失最小化ゲームにおける集団マッチング

中島定彦(関西学院大学)




 もし餌場Aに100粒、餌場Bに50粒の餌があり、全体で15羽の鳥がいるとすれば、各餌場で観察される個体数の期待値はAに10羽、Bに5羽となる。このように、得られる餌量の比と個体数の比が一致することを生息地マッチングというが、同様の現象がヒトにもみられることが、大学生を対象としたポイント獲得ゲームで確認されており、これは集団マッチングと呼ばれている(e.g., Kraft & Baum, 2001)。このゲームでは、2つの選択肢(例えば、赤カードと青カード)が用意されており、各選択肢に割り当てられたポイントをその選択肢を選んだ人数で割ったものが個人のポイントとなる。ゲーム参加者は個人の利得(獲得ポイント)を最大化するよう求められる。本報告では、こうした利得最大化ゲームだけでなく、失うポイントを最小化することを求めるゲーム(損失最小化ゲーム)でも集団マッチングが見られることを紹介する。なお、本報告は『The Psychological Record』誌に近く掲載予定の論文(Nakajima, Suzuki, & Hirata, in press)に基づく。