第17回人間行動分析研究会講演要旨

私の研究:来し方行く末

伊藤正人(大阪市立大学)




 慶應義塾大学文学部入学以来の45年間を振り返ってみると、学部から大学院の修学時代(京大霊長類研究所研究員の時期を含む)、大阪市大助手時代、カリフォルニア大学サンジェゴ校での在外研究員時代、文科省国際学術交流研究の時期、そして屋上鳥舎における社会的行動研究の時期などが研究を特色づける契機となったといえる。修学時代の興味は、主に情動行動にあり、修士論文では、ハトの回避行動を取り上げた。大学院博士課程では、時間弁別行動を取り上げ、ニホンザルやカラスを対象とした研究をもとに、学位論文としてまとめられた。大阪市大助手時代には、選択行動の研究を始め、その一部は国際誌へ掲載された最初の英語論文として結実した。初めての海外出張では、採餌行動研究、また文科省の国際学術交流では、価値割引研究の国際共同研究を行ってきた。これらの研究は、現在のヒトやハトを対象とした社会割引に関する研究へと展開されている。