文学部を知りたい人のための市大授業
―ひらけゆく世界 みえてくる人間―


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文学部 市大授業(平成20年4月29日実施)の様子

大阪市立大学大学院文学研究科・文学部は、大学における授業の雰囲気や学内の様子を、高校生をはじめ大阪市立大学に関心を持つ人々にひろく体験してもらうために、平成20年4月29日(祝)に、春季の「文学部を知りたい人のための市大授業」を開催しました(理学部の「数学や理科の好きな高校生のための市大授業」と同時開催)。

当日は、文学研究科長自らが高校生のみなさんを歓迎いたしました。

また、学術情報総合センター(図書館等)見学も実施しました。なお、学情見学の詳細はこちらをご覧ください。

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前半 午後1時00分〜午後2時30分

◆池上知子教授  講義タイトル:言葉の深層心理学

講義概要:私たちは、発言や態度から人の心を知ろうとします。しかし、話された言葉や表明された態度が必ずしもその人の本当の心を表しているとは限りません。親切な言葉の裏には敵意が潜んでいることもあり、冷たい態度が実は愛情の表れであることもあります。強そうなことを言っている人が、本当は臆病であり、弱々しそうな人が、実は芯はしっかりしていることもあります。人の心はとても複雑で奥が深いものです。したがって、人は、自分の本当の心もよくわかっていないことが多いのです。自分は強い人間だと思っている人ほど、弱い自分に遭遇して戸惑うことは少なくありません。この授業では、言葉の心理テストを行うことにより、このような人間の心の深層に迫ってみたいと思います。


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◆山野正彦教授  講義タイトル:都市のディズニー化・マクドナルド化現象

講義概要:現代の都市空間に登場してきた、ショッピングモール、コンビニエンスストア、ファーストフード、テーマパークなどの消費の景観と、人間の考え方や行動との関係について考えます。一見したところ、魅力的で、便利で、快適に見える現代の都市生活ですが、人間の生き方についてのいくつかの問題点を含んでいます。人間と人間、人間と場所との深いつながりが、次第に失われつつあるのです。これからの都市の景観と文化をどのように創造すればよいのでしょうか。文学部の学問では人間をどのように見ようとするのでしょうか。講義を通じてみなさんと一緒に考えて行きたいと思います。


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◆村田正博教授  講義タイトル:詩は人間を救えるか

講義概要:なんと寛容なものであることか、地球よ。/私たちはあなたから元素をひきぬき、/大砲や爆弾をつくるのに、あなたは/私たちの元素から百合やばらの花を育てる。 これは、ハリール・ジブラーンというレバノン生まれの詩人の詩「おお地球よ」の一節です(神谷美恵子訳)。この一節を知ったその日から、私たちは、百合やばらの花を見るときに、この一節を知らなかったそれまでとは違って、地球の寛大さを思い、私たち人間の身勝手を思わないではいられなくなりますね。「詩」とは、このような発見へと私たちをいざなうものです。この授業では、「詩」を読むことを通して、私たち人間はいかにあるべきなのか、その叡智の可能性について一緒に考えてみたいと思います。


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後半 午後3時00分〜午後4時30分

◆中川眞教授  講義タイトル:ガムランはインドネシアの音楽か?

講義概要:ガムランはインドネシアの音楽として、よく知られています。青銅製のゴングを中心とした合奏音楽で、インドネシアの緊密な人間関係や宇宙観を反映し、指揮者もいないのに驚くほど高度なアンサンブルが可能となっています。そういう意味では、インドネシアという風土、社会と密接な関係があります。しかし、いっぽうで、ガムランは19世紀にはヨーロッパに届き、20世紀にはアメリカやオーストラリア、日本をはじめ、世界各地に伝播、受容され、それぞれの地域で独特の音楽を生み出してきました。いまや、純粋なインドネシアの音楽とはいえなくなっているのです。そのような文化のダイナミズムについてお話しましょう。


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◆岸本直文准教授  講義タイトル:考古学で解く邪馬台国の謎

講義概要:高校の日本史では、弥生時代の末尾に、中国の歴史書『魏志』倭人伝に見える邪馬台国の女王卑弥呼をとりあげる。2世紀の後半に戦乱があり、卑弥呼を女王に立てることで、邪馬台国を中心とする約30国のまとまりができたらしい。卑弥呼が死んだのは247年頃、彼女は3世紀前半を生きた。そして通説では、3世紀末頃に大きな前方後円墳が出現し、大和政権ができるという。邪馬台国は九州か近畿か、長く論争が続き、弥生時代から古墳時代への変化をはっきり語ることができなかった。しかし、考古学の発掘調査によって、「邪馬台国の謎」も次第に解き明かされてきている。


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◆井狩幸男准教授  講義タイトル:脳科学からみた英語学習

講義概要:多くのみなさんにとって、英語は中学校で学習を開始する、母語に次いで二番目の言語で、定期試験や入試と切っても切れない関係にあります。他方、英語も母語と同様に、自分の考えを表現し、他者の思いを理解するために使われます。今回の授業では、後者の立場から、言語習得のメカニズムについて、脳科学研究から得られる知見を基にお話しします。 まず、母語獲得と第二言語習得に焦点を当て、英語を学習する際に脳で何が起こっているのかを考えます。次に、脳機能イメージングからみた言語処理、言語能力の生得性、言語習得の臨界期、言語習得における注意、記憶と気づきの役割、言語の意識的・無意識的運用を取り上げ、英語学習の意味を脳科学の視点から考察します。


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◆市大授業・放課後ミーティング

市大授業当日、ある教室では、自然発生的に、参加した高校生と文学部現役1年生および教員による、談話会が行われました。

なお、8月7日、8日に開催予定のオープンキャンパスでは、文学部現役学生との個別相談会(「ちょっとワイワイしゃべれへん?」)を企画しています。詳細はこちらのページをご覧ください。


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