人間が創り上げてきた文化や芸術や思想といったものは、「ことば」が基礎になっています。この領域においては、「ことば」を基礎とする諸分野を学び深めていくことによって、「考える力」とそれを「伝える力」を養うことを目的とします。
広く「ことば」について鍛錬するということは、語学力を向上させるというためだけの問題ではなく、ものの考え方を学び、自らの文化や異文化を理解するということです。それによって、人間が共通して持つ普遍的な面を知り、またその反対に、個々の民族や社会が持つ文化的な違いに思い至り、その背景について理解を深めることができるようになります。このような知的な営みは、現代というこのグローバル化の時代において、自分を知り、自分が社会の中でどう生きていくかということを考えるために、深いところで役に立つでしょう。
教員スタッフの専門分野を記した一覧表を眺めてみてください。日本・中国・ヨーロッパ・アメリカなどの地域の言語・文学・文化、あるいは、言語論・文化論・芸術論など、言語・文化系の多種多様な分野を研究する教員や、論理学・認識論・倫理学・宗教学といった哲学系の諸分野を研究する教員が揃っています。また、 歴史文化領域 や 人間行動学領域 の教員の研究分野が、 言語文化・思想領域 で扱う内容に密接に関わり、補っているということも少なくありません。教養のある社会人となるにはいろいろな道があるでしょうが、本領域の方法は、文学や哲学などの古典あるいは現代的な作品をひもとき、その「ことば」と格闘して、その背後にある文化や思想に迫るというものです。私たち教員スタッフは、みなさんとともにそういう知的な訓練を行っていく知識と熱意を持っていると自負しています。
本領域で学ぶ場合、具体的な履修にあたっては、「国語重視型」「外国文化重視型」「思想型」という履修モデルを想定しています。「国語重視型」は日本の言語・文学を中心に学ぶモデルで、特に国語の教員免許を取得しようという人は、このタイプの授業をなるべく多く取って国語力を十分に高めるように努力してください。「外国文化重視型」は外国の言語や文化を中心に学ぶモデルです。文化・言語・思想に関する幅広い知識を身につけながら、異文化について深く理解し、想像力を養っていくことを課題とします。これに際しては、ある国の文化に焦点を当てて追究していくという方法もあるでしょうし、その国の文化と日本の文化とを比較するといった方法もあるでしょう。「思想型」は、西洋哲学を中心に人類の生み出してきた様々な思想を学びながら、生命倫理や心の問題など現代社会が抱える問題についても深く考えるということをめざします。これらはあくまでもモデルであり、実際には様々なヴァリエーションがあり得るでしょう。しかし、どこかの分野に軸を置いて、系統的に科目を履修してその分野の知識を深めつつ、興味を広げていくということが大事なことだと思います。4回生になって卒業論文を書くに際しても、そのような学習を続けていくことで、自ずと研究テーマが見つかっていくことでしょう。『文学部第2部科目履修の手引き』の「専門教育科目表」の「摘要」欄に「卒業論文を書くにあたって履修が望ましい科目」が指定してあるのは、系統だった学習の必要性を示すものです。
心構え・メッセージ
言語全般について興味を持ち、知らない言葉を吸収しようという好奇心が必要です。母語である日本語に対して鋭敏で繊細な感覚をそなえるよう心がけてください。また、英語とその他の外国語を平行して学ぶことを勧めます。そうすることによって外国語の習得のうえで相乗効果が得られますし、複数の外国語を学ぶことによってこそ、文化の普遍的な面と個別・特殊な面とを知ることができ、日本語や日本文化に対する理解をより深めることもできるからです。語学は授業だけでなく、自分で地道に学び続けることが大切です。
本領域の授業で接する古典的な作品というのは、自分の身近な問題とは縁遠く感じられ、何のために読むのかすぐにはわからないということが少なくないかもしれません。しかし、それは必ず何らかの形で現代の問題ともつながっているものです。古典を読みながら、一方で人間や社会のいろいろなことに関心を持つということを心がけてください。
卒業後の進路
本領域に直接つながる職種としては、教員や文化行政関係の公務員、マスコミ・出版関係などが想定できます。しかしそれだけでなく、国語力を高める、異文化を理解する、思想を深めるといった基礎的な力を蓄えておくことは、実務に携わったり、あるいは、何か現実の問題に直面するときに、応用力が発揮できるものです。そういう点で、一般企業などの幅広い分野に対応することができます。また、本領域で学んだ後、さらに勉学を深めたいと思う場合は、本学の大学院(言語文化学専攻、哲学歴史学専攻)へ進学することも考えられます。
スタッフ
(哲学・論理学)
| 中才敏郎 教授 |
論理学、認識論、心身問題や人格の同一性などの心の哲学。ヒュームを中心とする近世イギリス哲学。 |
(美学)
| 高梨友宏 准教授 |
ドイツ近現代美学、京都学派の芸術論。 |
(倫理学)
| 美濃正 教授 |
現代英米を中心とする行為論、心身問題などの心の哲学の研究、それに基づいた倫理学の研究。 |
| 土屋貴志 准教授 |
現代英米倫理学、医療倫理学(現代医療に関する倫理的諸問題の研究)。 |
(宗教学)
| 仲原孝 教授 |
宗教と哲学との関係。カントやハイデガーを中心とする近現代ドイツの宗教哲学の研究。 |
(国語学)
| 丹羽哲也 教授 |
現代語の意味と文法。日常われわれが使っていることばがいかなる体系と豊かさを持ち、それが変化してきたかという研究。 |
(国文学)
| 村田正博 教授 |
古代の文学者たち、人麻呂や家持らは詩歌にどんな志を託したか、我々はそれをいかに受け取るか、究明に努める。 |
| 小林直樹 教授 |
中世の説話と説話集の研究。作品世界とその背景をなす文化的基盤の両面を究明する。 |
| 久堀裕朗 准教授 |
近世文学、主に人形浄瑠璃史の研究。作品がどのような時代背景のもとに生まれ、どのように享受されていったのかを考察する。 |
(中国文学)
| 齋藤茂 教授 |
唐宋の詩文、小説を中心とした古典文学の研究。 |
| 松浦恒雄 教授 |
十九世紀以降の近現代文学、および演劇の研究。 |
(中国語学)
| 岩本真理 教授 |
現代中国語文法、中国語文法史・語彙史、及び呉語(南方方言)の研究。 |
| 大岩本幸次 准教授 |
近世を中心とした音韻学の研究。 |
(中国思想)
| 山口久和 教授 |
明清時代を中心とする近世思想史、および三国志の研究。 |
(中国文化論)
| 張新民 准教授 |
中国人教員。現代中国文化論及び映画論研究。 |
(英米文化)
| リチャーズ,イアン 准教授 |
英語圏の文化研究。文化事象を広くとらえ、ことばと文化の関係を研究している。 |
(イギリス文学)
| 杉井正史 教授 |
シェイクスピアの喜劇を中心とするイギリス演劇について、当時の政治・宗教との関係から研究している。特に、言葉の比喩に注目して、この研究を進めている。 |
| 田中孝信 教授 |
18世紀から現代に至るイギリス小説に見られる階級・ジェンダー・人種といった「他者」を巡る問題を研究している。それとの関連で、文学テクストと大衆メディアとの関係も研究対象としている。 |
(アメリカ文学)
| 古賀哲男 准教授 |
詩(うた)とは何か、文学(フィクション)とは何か、という問いをアメリカのロマン派詩人から、今日のポストモダンな作家に至る射程で研究している。また、カナダも含む北米の芸術・文化論も研究対象としている。 |
(英語学)
| 岩田彩志 准教授 |
語の意味論を中心として、統語論や語用論を幅広く研究している。 |
(ドイツ文学)
| 高井絹子 准教授 |
20世紀以降の文学(特にブレヒト、バッハマン)、文化思想を研究しています。 |
(ドイツ語学)
| 神竹道士 教授 |
ドイツ語の歴史、特に16世紀以降の標準ドイツ語形成過程を研究している。 |
(ドイツ文化)
| 長谷川健一 講師 |
18・19世紀のドイツ文化・文学。 |
(フランス言語学)
| 福島祥行 教授 |
認識機能からみた言語とコミュニケーションの研究、およびマルチメディア機器を用いた仏語教育法の研究が専門。他方でパソコンの権威、役者にして劇作家という一面もある。 |
(フランス文学)
| 津川廣行 教授 |
ジイド、ヴァレリー、プルースト、クローデルを中心とした20世紀の小説および思想の研究が専門。最近は趣味が高じてフランス音楽史の研究にも取り組んでいます。 |
(フランス文化)
| 白田由樹 講師 |
舞台芸術論、俳優論、メディア論の観点から、とくに、フランスの女優サラ・ベルナールの研究を幅広く行っています。また、ボードレールを中心とする十九世紀フランス文学の研究をしています。 |
(言語学)
| 衣笠忠司 教授 |
言語構造論、言語情報論。日英比較を中心とした言語構造分析および言語情報(コーパス)に基づく語法研究を行っている。 |
| 関茂樹 教授 |
統語論、語用論。英語などの言語にみられる形式と意味との対応関係の機能的観点からの研究を行っている。 |
| 井狩幸男 教授 |
言語応用論。乳幼児の母語獲得のメカニズムについての研究、ならびに母語獲得研究の第二言語習得への応用可能性に関する考察を行っている。 |
| 山崎雅人 教授 |
言語構造論、言語情報論。言葉の仕組みをさまざまな面から論じる。たとえば英語と中国語の間で類似が見られるのはなぜか、さまざまな言語で「知る、分かる」という表現がどのように用いられるかということを考えている。 |
| 田中一彦 教授 |
言語意味理論、言語運用論。英語と日本語の時制・相に関わる問題の比較研究を行っている。特に、間接話法構文や時の副詞節中の時制のふるまい方に興味を持っている。 |
(文化理論)
(表象文化論)
| 三上雅子 教授 |
日本と英米・ヨーロッパ(特にドイツ語圏)表現文化比較、現代演劇論。 |
| 野末紀之 准教授 |
芸術・メディアを通じての西欧近代の知・感受性の変容、身体と芸術表現、19世紀末文化論。 |
(比較表現論)
| 小田中章浩 教授 |
フランス演劇および西洋演劇に関する比較演劇史的な研究、演劇的な表現の特色に関する考察。 |
| 高島葉子 准教授 |
比較文学・比較文化、民間説話・民間伝承(特に妖精伝承)の比較文化的研究。 |