人間行動学領域

人間行動学領域の授業科目は、社会学、心理学、教育学、地理学という四つの学問分野から構成されています。本領域では、これらが連携して人間行動に関する専門知識を提供します。

では、これら四つの学問は、それぞれ人間行動とどのように関わるのでしょうか。

まず社会学は、文字通り社会を研究する学問です。社会を研究する学問は、経済学や政治学など他にもいろいろありますが、社会現象を人間行動や人間が作る集団のあり方として解釈するところに社会学固有の特色があります。経済・政治現象もそうですが、宗教文化や民族紛争も、そこに参加する人間の行動を理解することによって、真相がより深く解明できる場合が少なくありません。社会学関連科目では、あらゆる社会現象を人間の社会的行為と関連させて説明する理論と方法を具体的に学びます。

つぎに心理学は、多様で複雑な人間の営みを、心のはたらきという視点から解明することを目指す学問です。心のはたらきは、生理、感覚・知覚、認知、学習、発達、社会、性格といった諸側面に及びますが、このような心のはたらきを、行動という客観的な指標を通して、科学的に明らかにするところに心理学の特色があります。心理学関連科目では、人間や動物の行動を通して心理現象を解明する理論と方法を実証的に学びます。

教育学もまた、広い意味で人間行動に深く関わる学問です。なぜならば、人が学ぶ場は学校だけではないからです。家庭、職場、地域など、どの社会領域でも教育は行われていますし、人の一生は学習の連続とも言えます。教育学関連科目では、学校内外における教育思想、制度、実践に関する理論と方法を学びます。

地理学は、人間が生活する地表面の「空間」や「景観」のなりたちとしくみを研究する学問です。地表面に立地する家、道路、耕地、工場といった諸施設からなる「空間」や「景観」は、人間が生きるために形成した構築物であり、その形成過程において経済、社会、文化、政治などとも深いつながりがあります。また、できあがった「空間」や「景観」は、人間行動に「環境」として影響を及ぼします。このように地理学関連科目では、「空間」や「景観」を人間の行動、生活との関わりで理論的、実証的に学びます。

以上のように、 人間行動学領域を構成する四つの学問は、それぞれ独自の発展を遂げながら、「人間行動」をキー・ワードに緩やかにつながり、全体として一つの専門領域を形成しています。どの学問分野から入っても、「人間行動」というキー・ワードを経由して他の学問分野に至ることができるそんなネットワークのイメージがわかりやすいと思います。人間行動に関する理論と方法を四種類も学べる。ここに本領域の特色があります。

心構え・メッセージ

人間・文化・社会に関わる現象に関心がある人なら、誰でも 人間行動学領域 で学ぶことに意義を見出すでしょう。ただし本領域では、授業を通して人間行動に関する理論と方法を広く修得しつつ、自分の問題意識をきちんと持つことが大切です。

たとえば、ここに不登校問題を取り上げて深く学んでみたいと考えた学生がいるとします。不登校なる人間行動は、社会学、心理学、教育学、地理学のうち、どの分野にふさわしい研究テーマなのだろうか?学生は、まずこのことを問うでしょう。この質問に対して 人間行動学領域 の教員は、こう答えます。人間・文化・社会にかかわる現象で、上の四学問のうちのどれか一つが独占的に扱えるものなど、むしろ少ないのだよと。「不登校」が直接には教育問題(教育学)であることはもちろんですが、当事者たちの心理の解明(心理学)、家族や地域社会との関連(社会学)、不登校現象の空間分布(地理学)など、意味のある切り口(学問分野)は一つとは限りません。広く学んで自分に合ったテーマと切り口を選べる選択肢の幅広さは、本領域の魅力です。

1回生から学ぶ共通教育と専門教育を通して人間・文化・社会に関する問題意識を育みつつ、主として2〜3回生で本領域を中心とする専門知識を吸収し、4回生で自ら選んだ研究テーマと学問分野で卒論を書く。そういう履修のしかたが想定されます。

卒業後の進路

一般企業、マスコミ、公務員、教員など、様々な職種への進出が可能です。会社や官庁の場合、本領域で学ぶ人間行動の観察方法、社会調査、心理テスト、コンピュータ処理、地図製作技術などを活かして、人事、労務、調査、広報、企画開発などの担当が想定されます。どの職種を選ぶにせよ、働くことの意味を見失ってはいけません。そのためには、これも本領域で学ぶ人間・文化・社会の望ましいあり方について絶えず考えを巡らし、何のために働くのか、その意味を模索しながら働いて下さい。また、さらに勉学を深めたいと思う場合は、本学の大学院人間行動学専攻へ進学することも考えられます。

スタッフ

( 理論社会学 )

進藤雄三 教授 理論社会学・医療社会学・家族社会学を専攻。現在の主な研究テーマはポストモダン論、医療専門職論、近代家族論研究。
石田佐恵子 教授 文化社会学・現代文化研究・知識社会学を専攻。現在の主な研究テーマは、現代社会における文化領域の成立とその変容の研究。

( 経験社会学 )

伊地知紀子 准教授 生活世界の社会学・地域社会学・朝鮮地域研究を専攻。現在の主な研究テーマは、東アジアにおける国際移動とローカリティについて、在日済州島出身者の生活史、日本と朝鮮半島の海域生活者について。

( 応用社会学 )

川野英二 准教授 リスク社会論・社会政策の社会学・比較社会学を専攻。現在の主な研究テーマは、大都市の貧困と社会的排除に関する国際比較研究。

(行動・学習心理学)

川辺光一 准教授 生理心理学:心と身体**(脳)、行動と薬物、学習・記憶現象の脳内機構。

(社会・文化心理学)

池上知子 教授 社会心理学:社会的認知、偏見とステレオタイプ、アイデンティティの国際比較研究。

(認知心理学)

山祐嗣 教授 認知心理学 推論 思考の潜在性・顕在性 比較文化研究。
佐伯大輔 准教授 判断、意思決定、選択、推論

(教育学基礎学)

堀内達夫 教授 西欧近代教育史、教育と雇用の関係、技術・職業教育のグローバル研究。

(教育方法学)

湯浅恭正 教授 教育方法学、生活指導とインクルージョン教育、特別なニーズ教育の授業論。

(教育文化学)

添田晴雄 准教授 比較教育文化史、教育・学習における話すことと聞くことの研究、いじめ問題の国際比較研究。

(教育行政学)

滝沢潤 准教授 教育行政学、とくにアメリカ合衆国におけるバイリンガル教育、マイノリティ教育。

(経済・都市地理学)

大場茂明 教授 土地・住宅政策、都市開発・再開発事業を中心とする日本・ドイツにおける都市政策の比較研究(各地域における居住形態の比較、町並み保存事業の展開等を含む)。

(文化地理学)

祖田亮次 准教授 人文地理学、とくにマレーシア・サラワク地方の地理

(社会・政治地理学)

山ア孝史 教授 グローバルな政治経済的変動とローカルな社会運動に関する政治・社会地理学的研究。

(地理情報システム科学)

木村義成 講師 地理情報システム、ジオデモグラフィクス、保健医療分野におけるGISの応用