国語国文学コース
1 本コースの研究内容、特色
 長い歴史を有する日本語と、その言葉によって織りなされる古代以来の数多くの文学作品──前者を直接の研究対象とするのが国語学、後者とその周辺を扱うのが国文学、この双方を合わせて「国語国文学コース」は構成されています。大学によっては、両者を画然と区別している所もありますが、本学の場合は、国文学研究と国語学研究とが相互に密接に結びついた形で、豊かな研究成果を上げてきました。「国語国文学」と名乗るのは、日本語日本文学を自己の属する文化と考える立場にたち、その責任と自覚の下に研究活動を行っているからです。
 「国語・国文学コース」の特色としては、文献の重視ということに加え、具体的な根拠に基きつつ着実に考察を展開させていく実証的な研究姿勢の修得を目指していることがあげられます。そのため、本コースのカリキュラムは文献や資料の扱い、またその解釈など、基本的な学習に比重を置いたものになっています。
 具体的にどのような学習の進め方をするのかということですが、本コースの場合、私立大学などで行われている所謂ゼミ制はとっていません。2・3回生の間は、国語学国文学担当の全教員の授業を満遍なく受講することになります。国語学だけ、国文学だけ、あるいは特定の時代の授業だけ、といった偏った受講の仕方をすることはできません。国語国文学の全領域について、まず基本的な素養をしっかりと身につけてほしいという狙いからです。
 本コースの授業形態には、講義形式のものと演習形式のものとがあります。うち、後者はおそらく1回生の大部分の人にとって、コース分属後、初めて体験することになる授業形態でしょう。2・3回生配当の「国語国文学講読」、3・4回生配当の「国語国文学演習」などがこれに該当します。
 そこでは、たとえばある作品を講読するような場合、受講生の間で分担を決め、それぞれの担当箇所について各人が調べ、考えてきたことを発表し、さらに、それについて質疑を交わしながら問題点を深めていく、といった形式で授業が行われます。担当者には、多くの文献を読み、さまざまな資料を漁るという、地味で根気のいる作業が要求されますが、こうした実地の作業を通じて初めて、文献処理の方法や、緻密な読解のための基本姿勢が身についていくのです。と同時に、そうした作業は決して退屈で苦しいだけのものではなく、経験を重ねるうちには、作業の合間合間に、この学問特有の面白さを感じ取れる瞬間が訪れるようになることでしょう。
 このようにして、2・3回生の二年間、全教員の授業を一通り受講する過程で、おのずと自分の好みの分野、関心のある作品等がしぼられてくるはずです。4回生ではそうした関心ある対象について、自分自身でテーマを設定し、それについて考えを深めながら、「卒業論文」をまとめていくことになります。4回生時は、学習時間のほとんどを「卒業論文」の制作にあてなくてはなりません。その際には、専任教員の中で、当該分野に最も関わりの深い者が、主として指導にあたることになります。
   ひとつ注意を要するのは、本コースの文学担当教員はいずれも江戸時代以前の文学を専攻しており(スタッフ欄参照)、近現代文学の専任教員がいない点です。授業内容も当然古典文学に比重が置かれた構成になっています。近現代文学を志望する学生は、この点に留意する必要があるでしょう。けれども、2・3回生の間に古典文学の授業を通して身につけた研究上の基本姿勢や問題意識は、近現代文学を対象とする際にも十分に有効性をもつものですから、毎年、何人かの学生が、教員の助言を適宜受けながら、新しい時代の作品で「卒業論文」を書いています。
 なお、本コースでは、授業の他にも、在学生・卒業生・教員などによる各種の研究会が開かれていますので、こうした場に参加して、さらに勉学を積むことも可能です。また、研究室では雑誌『文学史研究』を発行して研究成果を公表しており、優秀な卒業論文がこれに掲載されることもあります。
 この他、本コースの在学生・卒業生・教員から成る同窓会組織「大阪市立大学国語国文学会」が結成され、 年一回の総会(大学院生の研究発表や懇親会も併せ行われる)や、春の新入生歓迎文学散歩、秋の一泊研修旅行、それに卒業生を送り出す予餞会等、各種行事を行って、構成員間の親睦をはかっています。
2 スタッフ
 本年度は次の6名の教員が専門教育と共通教育、および大学院の国語国文学関係の科目を担当しています。主たる研究分野は以下の通りです。
(国語学)
毛利 正守 教 授
(もうり・まさもり)
古代のことばの研究。古くはなぜ八つの母音か、なぜ現代のハ行音はなかったかなど、ことばの音や意味の変化等についての研究。
丹羽 哲也 助教授
(にわ・てつや)
現代語の意味と文法。日常われわれが使っていることばがいかなる体系と豊かさを持ち、それが変化してきたかという研究。
(国文学)
村田 正博 教 授
(むらた・まさひろ)
古代の文学者たち、人麻呂や家持らは詩歌にどんな志を託したか、我々はそれをいかに受け取るか、究明に努める。
金光 桂子 講 師
(かなみつ・けいこ)
中世から中世前期にかけての物語文学。先行作品の享受にはじまる創作活動によって、王朝物語が得た広がりと限界を探る。
小林 直樹 助教授
(こばやし・なおき)
中世の説話と説話集の研究。作品世界とその背景をなす文化的基盤の両面を究明する。
阪口 弘之 教 授
(さかぐち・ひろゆき)
近世の文学、特に浄瑠璃や歌舞伎を中心とする芸能史、演劇史研究。
3 コース決定に当たっての心構え
 一般に言語や文学の研究には、人間についての広く深い教養と、やわらかな知的好奇心とが必要とされますが、国語国文学もその例外ではなく、日頃からあらゆる機会を捉えて、この方面の涵養につとめてほしいと思います。
 また、大学での勉強では、学生一人ひとりに、主体的に問題意識を持って考え、持続的にそれを深めていくような姿勢が要求されます。授業内容をそのまま吸収・記憶するだけで満足したりせず、授業を通して興味を喚起された事柄については、積極的にその方面の書物に就いて、自ら考察を重ね、深めていくような学習態度を、1回生のうちからぜひとも身につけておいてほしいと思います。
 「国語国文学コース」の教員が担当している全学共通科目の授業や、文学部の1回生配当の専門科目の授業を受講することは、その意味でも有益だと言えましょう。あまり早くから関心の対象を限定する必要はなく、できるだけ開かれた柔軟な姿勢で授業に臨んでください。
 なお、先にも述べましたように、本コースの研究は、教員の専門分野とも関係して、近世以前に重点が置かれていますので、漢文の知識はかなり要求されることになります。こちらの勉強も併せて心がけてください。
4 大学院
 授業を通して、あるいは「卒業論文」を執筆する過程で、学問の面白さに目覚め、さらに奥深くまで攻究したいという意欲をもった人のためには、大学院に進学する道が開けています。二年間の前期博士課程と三年間の後期博士課程とを備えた本格的大学院で、関西地区でも屈指の歴史を誇っており、これまで多くの優秀な人材を学会に輩出しています。現在は、阪口教授、毛利教授、村田教授、丹羽助教授、小林助教授の5名が、大学院の授業を担当しています。
5 卒業後の進出分野
 かつては、卒業生の半数以上が高等学校や中学校の国語教員になっていましたが、近年その割合は減少し、逆に一般企業や官公庁など実にさまざまな方面へと就職先を広げています。自分でデータを調査し、考え、それを誰もが納得するような形で報告するという、本コースで行っているトレーニングは、あらゆる実務の基本であるともいえ、どのような職種に就いても必ずや生きることでしょう。
 なお、大学院に進学して研究者としての道をめざす人もいること、先述の通りです。
6 メッセージなど
 本コースに関心がある人、もっと詳しい情報を得たい人は、国語国文学学生指導室(文学部棟3階)を覗いてみてください。ここは普段、学部生や大学院生が授業の準備や研究を行っている場所ですが、一声かければ、みな親切にいろいろなことを教えてくれるはずです。本コースの雰囲気など細かな点は、先輩に尋ねてみるのが一番でしょう。

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