ドイツ言語文化コース
1 本コースの研究内容、特色
(1)このコースで学習できる分野
 本コースは、広くドイツ語圏(ドイツ、オーストリア、スイス)の文化に関わる事柄を研究対象としています。ドイツ語を基礎にした学習と国際人としての広い視野の獲得を基本的目標としています。コース生がこの目標に関係するいかなるテーマも学習できるように、新たに授業科目を「ドイツ文学」「ドイツ文化」「ドイツ語学」の3系統に設定にしています。
(1)「ドイツ文学」はヨーロッパ文学のなかで独特の世界を形作る文学作品の研究をおこないます。中世の英雄伝説『ニーベルンゲンの歌』をはじめ、18世紀ではゲーテの『若きウエルテルの悩み』や『ファウスト』、19世紀には劇作家クライストや幻想作家ホフマン、そして20世紀には独自の文学世界を拓いたカフカ、ヘッセ、トーマス・マンや、『モモ』『はてしない物語』で知られるエンデなど、興味深い研究対象は枚挙にいとまがありません。
(2)「ドイツ文化」の分野も積極的に研究対象にしています。音楽と劇を融合させ舞台総合芸術をめざしたワーグナー、世界に知られたドイツ、オーストリアの民話や風俗などドイツ語圏のさまざまな文化を研究対象に取り入れてゆきます。またドイツの文化に大きな影響を及ぼした思想家、たとえばニーチェ、フロイト、ユングなどの思想も研究の視野に収めています。
(3)ドイツ語の「実践的学習」と、「ドイツ語学」という学問的研究もおこなっています。ドイツ語そのものの学習は、読む・聞く・話す力をバランス良く身につける「演習」や「コミュニケーション」という科目によって、ドイツ語の言語学的研究や歴史的研究は、「概論」や「特講」などで集中しておこないます。
 「ドイツ言語文化コース」は、このような3本の柱を立てた上で、それらを効果的に学ぶために不可欠な全教員の協力体制を整えています。学生諸君は自分の関心に応じてつねに教員の丁寧な指導を受けることができます。

(2)科目構成
本コースでは、「ドイツ文学」「ドイツ文化」「ドイツ語学」の3系統にわたってバランスよく学習できるように、以下のような科目構成をとっています。  まず、本コースの専攻を決めた諸君が、専門的な学習に向けた基礎力をつけるために、「ドイツ語文化基礎演習I・II」を開講しています。
 専門科目は、文学・文化・語学の3系統のそれぞれに、概論的科目(「ドイツ文学史I・II」「ドイツ文化論I・II」「ドイツ語学概論I・II」)、演習科目(「ドイツ文学演習I・II」「ドイツ文化演習I・II」「ドイツ語学演習I・II」、特講科目(「ドイツ文学特講I・II」「ドイツ文化特講I・II」「ドイツ語学特講I・II」)の3グループの授業が開講されます。このうち概論的科目は、各系統の基礎となる内容ですので、なるべく早い年次に履修することが望まれます。専攻生諸君は、これら3系統3グループの科目を、バランスよく受講することが重要です。
 これら専門科目と平行して、ネイティブ教員担当による「ドイツ語コミュニケーションI〜IV」が開講され、ドイツ語の実際的な能力を高めてゆくための演習が行われます。演習・特講・コミュニケーションは重複履修も可能ですので、積極的な姿勢で授業に取り組むことを期待しています。
 これらの授業の上に立って、最終年次には、担当教員の指導のもとに、各自が関心を持つテーマで卒業論文を書くことになります。
(3)ドイツ言語文化コースの特色
 〔ドイツ語圏に関する多面的な関心に応える指導〕 統合の進ヨーロッパにおける大国ドイツはもう遠い国ではありません。関西空港から直行便で10時間でフランクフルトに着きます。最近このような有利な条件を生かして、ドイツでの語学講習に参加するコース生が増えています。またインターネットを使えば、研究室にいながらにしてドイツ語放送などリアルタイムの情報が手に入れられます。他方、ドイツ・オーストリア・スイスは、いずれも美しい自然と豊かな文化や芸術をもつ国々です。本コースのスタッフは、ドイツの伝統的文化や芸術を学ぶ人にも、現代ドイツに関心を持つ人にも、その関心領域に応じた柔軟な指導をおこなう体制を整えています。
 〔外国に対する視野を開き、外国語の力を強化する〕 英語と同族の言葉でありながら、英語では失われた興味深い言語学的特徴をもつ「ドイツ語」をマスターすることは、二つのヨーロッパ系言語を習得するという実際的な利点とともに、学習者の視野を世界に向けて拡大するというすばらしい効果を持っています。文学部でしっかり外国語を学び、ヨーロッパに関する知識を身につけることは、社会人になる人にとっても、研究者を目指す人にとっても有効な精神的基礎となるでしょう。「ドイツ言語文化コース」は、未知の世界へ飛び出す意欲を持った人を歓迎し、またそのような人を育てています。
2 スタッフ
(ドイツ文学)
広瀬 千一 教 授
(ひろせ・せんいち)
18・19世紀の演劇(レッシング、ゲーテ、シラー、レンツ、クライスト、演劇理論など)(文学演習、文学史担当)
寺井 俊正 教 授
(てらい・としまさ)
世紀末以降の現代文学(特にホフマンスタールを中心に詩・詩論・文学理論など)(文学演習、文学史担当)
(ドイツ語学)
神竹 道士 助教授
(かみたけ・みちお)
ドイツ語の歴史、特に16世紀以降の標準ドイツ語形成過程を研究している。(語学特講、語学演習、語学概論担当)
ブレックス、クラウス 講師 現代ドイツ語とドイツ語教授法を理論と実践の両面から研究している。(コミュニケーション、基礎演習担当)
(ドイツ文化)
松村 國隆 教 授
(まつむら・くにたか)
中世文化とオーストリア文化、特にウィーンを中心に研究している。(文化演習、文化論担当)
田畑 雅英 助教授
(たばた・まさひで)
19世紀ドイツ文化、特にロマン派の作家ティークとワーグナーのオペラを研究している。(文化演習、文化論担当)
3 コース決定に当たっての心構え
 「ドイツ言語文化コース」はヨーロッパに関心がある人やドイツ語に興味を持つ人を歓迎します。大学入学後から、ヨーロッパ、とりわけドイツ・オーストリア・スイスの文学、芸術、文化に親しむように心がけてください。また一回生の時から「ドイツ語」を受講しておいてください。上記スタッフと直接知り合うことができます。
4 大学院
 「ドイツ言語文化コース」で学んだ後、引き続き大学院で研究を続けることができます。大学院の正式名称は「文学研究科・言語文化学専攻・ドイツ語ドイツ文学専修」となります。その専修(専門分野)ではドイツ語圏の文学、言語、文化、思想を研究することができます。現在の担当教員の専門領域は、「現代文学」「近代文学」「中世文学」「オーストリア文学」「ドイツ語学」「ドイツ文化学」ですが、それ以外の領域を対象として研究を行うことも可能です。  「前期博士課程(修士課程)」修了後、さらに3年間の「後期博士課程」を修了し、「博士論文」の審査に通れば「博士(文学)」となります。現在ドイツ語ドイツ文学専修に在籍する大学院生はそれぞれ関心を抱く研究テーマを選び、専門研究者をめざし研鑽を積んでいます。
5 卒業後の進出分野
 専門としてドイツ語を学んだことを直接生かせる分野として、研究者を目指す大学院進学と外国語を使う文化的機関への就職が挙げられます。またドイツ語とは直接結びつかない一般企業へ就職する人も多いですが、大学で複数外国語を学んだ努力は一定の評価を得られることでしょう。最近の就職状況は、美術館、都市ホテル、情報処理産業、教員、司書、外国語学校などです。
6 メッセージなど
 ヨーロッパの北方、「森の国」と呼ばれるドイツには、さまざまな夢想家や思索家が生まれました。そこでは独特な精神文化が形成され、世界に向けて新しいヴィジョンの発信がなされてきました。世界や人間、文化や言葉をどう理解するのか、人は矛盾に満ちた社会の中でどのように生きるべきかといった問いは、目標を見失った現在の日本にとって重要な問題ですが、ドイツの文学や文化はその課題と取り組む上での示唆を与え、われわれを新しい発想へとうながしてくれることでしょう。

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