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文学研究科の地域・社会貢献

はじめに

大阪市立大学大学院文学研究科・文学部では、2008年に学術憲章を制定し、人材育成、学術研究と並んで地域・社会貢献を文学研究科・学部の果たすべき第三の使命として設定しました。このホームページは、文学研究科・文学部が、そうした側面においてこれまでどのような活動をしてきたのか、現在しているのか、その概要を広く知っていただくためのものです。

一口に地域貢献といってもその内容は多様ですが、1社会教育、2高大連携・幼小中高大連携、3研究活動を通した地域貢献の三つに大別できます。ここでは過去3年間(2008〜2010)の活動を中心にして、その具体例を紹介します。

1 社会教育(公開講座等の市民向け講座の企画/講師派遣等)

大阪市立大学が母体となった市民向け講座に文学研究科教員が講演者として登壇しています。2007年から近鉄文化サロンと大阪市立大学の共催で行われるようになった「近鉄文化サロン阿倍野」の講座と、長い歴史を持つ「大阪市立大学文化交流センター」の講座です。語学、歴史、文学、演劇、メディア、教育、建築、異文化、社会問題など、広範囲にわたるテーマにかかわって出講しています。

【近鉄文化サロン講座】

現在、「史料でたどる古代史散歩」「「萬葉集」に親しむ」という2つの人気講座が継続中である他に、単発の講座も担当しています。

  • 2009年、「京劇への招待」
  • 2008年〜2009年、「江戸時代の大阪―都市と人々の暮らし」(計4回)
  • 2008年、「ソクラテスに哲学を学ぶ」(計6回)

【大阪市立大学文化交流センター講座】

  • 2010年5月、「なにわ文化のダイナミズム」(計5回のうち3回)
  • 2010年6月、「現代地理学の最前線」(計3回)
  • 2009年6月、「中国の歴史と物語」(計3回)
  • 2008年6月、「高校では習わなかった英文法」(計4回)

また、都市大阪の文化的遺産の価値を伝える授業を、学生だけでなく広く一般市民向けに「上方文化講座」として毎年開催しています

【上方文化講座】

  • 2010年8月
    「直実伝承の虚実」
    「楊家将の物語と芝居」など
  • 2009年8月
    「切腹の文学史」
    「近世大坂の芝居と身分社会」など
  • 2008年8月
    「浄瑠璃の言語―『義経千本桜』における自称詞と対称詞―」
    「狐伝承の系譜」など

これ以外にも多様な場所で、一般の方々を対象に数多くの講演がなされており、以下にその一端を紹介します。

  • 2009年4月、「謎の『本能寺の変』―諸説をさぐる―」という題目で、一般市民を対象に、京都市教育委員会の主催の講演がなされています。
  • 2009年2月に、「フレンチ・ポップスとフランス語圏社会」という題目で、一般市民を対象に、船場アートカフェ主催での講演がなされています。
  • 2008年2月に、「中世四天王寺のウチとソト」という題目で、一般市民を対象に、四天王寺本坊で、上町大地マイルドHOPEゾーン協議会との共催で都市問題研究市民講座として講演がなされています

2 高大連携・幼小中高大連携

文学研究科・文学部では、2008年から「大阪市立大学文学部授業」(略称「市大授業」)を春季と秋季の二度、高校生向けに開催しています(春季は理学部との共催)。これは文学部の授業の実際を高校生に知ってもらい、その進路選択の参考してもらうためのものです。春季・秋季とも、3名の教員がそれぞれの専門を基にした授業を行います。授業後は、文学部・文学研究科教育支援促進機構(教員と学生の共同組織で、学生の研究・教育・生活支援を行っています)で活動する現役大学生と、授業に参加した高校生の懇談会が開かれ、好評を博しています。

【市大授業】

  • 第6回(2010年10月)
    「サッカーで倫理学する」
    「社会の実験室としての大阪」
    「文学の舞台パリ―『花の都』の由来をさぐる―」
  • 第5回(2010年4月)
    「留学生とともに『日本の文化』を語る」
    「マレーシア・サラワク州のエコツーリズムとエスニック・ツーリズム」
    「日本語≒中国語+韓国語+英語+…」
  • 第4回(2009年10月)
    「ことばの正しさとは何か?」
    「心理学とはどういう学問か?」
    「香料諸島の歴史―海域世界から考える」
  • 第3回(2009年4月)
    「偽善者劉備の仮面を剥ぐ―思想史から見た『三国志』―」
    「カルト宗教にご用心」
    「哲学のおもしろさ」
  • 第2回(2008年11月)
    「比喩れば、比喩れ!」
    「ロンドンの劇場行ったり来たり」
    「高齢者像の社会的変遷」
    「近代芸術の本質」
    「第1回十字軍とビザンツ帝国」
    「対話の世界と教育」
  • 第1回(2008年4月)
    「詩は人間を救えるか」
    「脳科学からみた英語学習」
    「考古学で解く邪馬台国の謎」
    「言葉の深層心理学」
    「都市のディズニー化・マクドナル化現象」
    「ガムランはインドネシアの音楽か?」
  • 大阪市教育委員会夏季研修講義を、大阪市立中学・高校の10年以上勤務教職員向けの研究として、大阪市教育センターで行っています。教員向け研修は定期的になされています。
  • 2007年8月に、「いじめ問題と向き合う特別活動の責務と方略」という題目で、教員を対象に、近畿教育基本活動研究会主催の講演がなされています。
  • 2006年3月、「LDなどの子どもたちの発達・教育と特別支援教育」という題目で、軽度発達障害児教育講座の一環として、大阪障害センターで講演をしています。

上記以外にも、多様な高校・中学・小学校への出張授業・講師派遣がなされています。大阪教育大学附属高校天王寺、信愛女子短大付属高校、桃山学院高校、郡山高校、山梨大学付属特別支援学級、大阪市立鶴見橋中学校、枚方市立枚方小学校、高槻市五百住小学校、和歌山市立有功東小学校など多くの出張授業・講演がなされています。

3 研究活動を通じた社会貢献(人文選書/共同研究/マスコミへの発信/イベント等)

文学研究科では、一般の人たちを対象に、研究成果を広く知っていただくために、2010年から『大阪市立大学人文選書:人文学のフロンティア』シリーズを刊行することとなりました。また大学以外の機関との共同研究、マスコミなどへの情報発信、各種イベントの企画・実施、さらには多様な委員の委嘱、地域・社会貢献に直結する論文作成などがなされています。

【大阪市立大学人文選書】

 本シリーズは、大阪市立大学文学研究科の教員・元教員が、それぞれの研究分野のトピックについて、一般読者にわかりやすく書き下ろすという企画です。

  • 第1回配本は、平安文学研究の泰斗、増田繁夫名誉教授の『源氏物語の人々の思想・倫理』。
    源氏物語に描かれる人々の「思想」について、男女関係に見られる倫理意識、「天」をはじめとする外来思想の受容、「良心」の発生、自然と人間の関わり、などの観点から追求していきます。本書は、文学研究の立場からする新しい日本思想史の試みとも言うべき画期的著作です。
    (和泉書院刊・四六判・196頁・1890円)
  • 第2回配本は、日本古代史研究の碩学、栄原永遠男教授の『万葉歌木簡を追う』。
    近年、発見が相次ぎ、注目を集める「歌木簡」。万葉集と共通する歌を含む「歌木簡」とは何か。本書では、「歌木簡」の全国調査をもとに、その性格や機能を解明、「歌木簡」研究の最前線を提示します。

なお、本シリーズは、今後、毎年1〜2冊のペースで刊行していく予定です。第三回以降の配本としては、西洋史、アーツマネジメント、英語学、社会心理学などの分野での意欲作を準備しています。「人文学のフロンティア 大阪市立大学人文選書」に、どうぞご期待ください。
http://www.izumipb.co.jp/izumi/

【共同研究】

  • 1997年度から現在にいたるまで、関西技術教育懇談会で、関西公立高校教員と、専門高校カリキュラムの開発に向けて共同研究を続けています。
  • 2008年度、「都市文化としての近代大阪広告メディア研究」という題目のもとに、大阪市近代美術館準備室と協力し、大阪を代表する広告代理店だった萬年社コレクション整理事業を開始、研究会を組織しています。
  • 2007年から2008年にかけて、「教育困難校に挑む教師のアクションリサーチ研究」という題目のもと、大阪市立の中学校の教員による実践を研究しています。

【マスコミへの発信】

  • 2009年1月、「『写真が語る戦争』選考委員の『最も印象に残った一枚』」、朝日新聞(朝刊)に掲載されています。
  • 2008年12月、「探検世界ロマン」(NHK)のうち、「フィレンツェ・ルネッサンス」の制作に協力しました
  • 2008年11月、「京 音をめぐる 第一章 梵鐘の響き」「京 音をめぐる 第二章 まつりの響き」(NHK BS2) に出演
  • 2008年11月、「クローズアップ現代」(NHK)で、日本の住宅政策の特色をドイツの事例を紹介しながら評価し、インタビューでの情報提供を行っています。
  • 2008年10月、「挑戦的な番組作りは製作者の志次第」という題目で、『月刊民放』10月号に審査委員長講評(テレビ報道部門)が掲載されています。

上記は一部の例で、他に、朝日新聞、毎日新聞、読売新聞、図書新聞などへの書評欄への掲載、書評、寄稿、コメント引用などが多数なされています。

【イベント等】

  • 2009年9月、中之島国際音楽祭に演奏者として参加しました。
  • 2009年3月、「往来する都市文化――《断片》から探るアジアのネットワーク」という題目のもと、大阪市立大学文学研究科主催のシンポジウムのセッションの一環として、一般市民を対象に開催されました。
  • 2008年3月、大阪アジア映画祭が、大阪市との共催で開催され、大阪アジア映画祭実行委員会の委員として、本研究科の教員が企画・立案に携わりました。
  • 2008年5月、近松英語劇『今宮の心中』が、精華小劇場で、一般市民を対象に、催されました。これはイギリスの演劇科学生による英語の近松劇上演で、大阪市、早稲田大学、英国ハル大学との共催です。

【委嘱等】

魅力ある回遊道の創出社会実験評価委員(国土交通省大阪国道事務所)、民放連盟賞中央審議委員(日本放送連盟)、大阪市広報報道アドバイザー委員(大阪市)、総合計画策定アドバイザー委員(芦屋市)、岐阜公園基本計画検討委員会委員(岐阜市)、和泉市編纂委員(和泉市)など、国・自治体・民間機関による委員の委嘱を多数受けています。