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国語国文学専修

 本専修は、日本語と日本文学について、知識と視野を広め、研究を深める場を提供しています。教員は、現在、村田正博(古代文学)、小林直樹(中世文学)、久堀裕朗(近世文学)、奥野久美子(近代文学)、丹羽哲也(日本語学)の5人によって構成されています。

 言葉も文学も、時代に応じて変化して来ました。特にめまぐるしく移り変わる現代にあって、古典の世界は遠ざかっていっているように見えます。しかし一方で、言語の根幹的な部分は安定しており、人間の感情やものの見方の根本は古代からそれほど変わらない、むしろ一致している面も多分にあります。言語・文学の時代的な展開、地域やジャンルの位相の違いを視野に入れて対象の特徴をつかみ取り、かつそこに通底する本質的なものをも酌み取る、そういう姿勢を本専修は重視しています。

 物事の本質的な面をつかむためには、極めて具体的なことに取り組むことが重要です。文学で言えば作品の本文・作者・時代背景などについて、語学で言えば個々の言語現象について、丹念に着実に調査・考察を重ねていく必要があります。このような実証的な研究姿勢を持つことがまず求められます。その上で、対象に迫るための豊かな発想と深い構想力を持つことが必要で、この両者のバランスが取れた研究ができるようになることを、本専修は目標としています

 前期博士課程における研究指導、後期博士課程における論文指導の時間においては、各自の研究テーマとなる作品・言語事象について、本文の精密な読解・注釈、用例一つ一つの検討といった具体的な考察とともに、そのような個々の考察が、研究対象の全体の中でどのような意味を持つかということを発表することが求められ、それに基づいて教員と受講生が議論します(延々と長時間に及ぶことも少なくありません)。その積み重ねが、修士論文、博士論文となって結実していきます。前期課程においては、国文学研究T〜W、国文学研究演習1〜4、国語学研究T・II、国語学研究演習1・2、国語国文学総合研究T・Uという授業科目も設けられています。ここにおいても基本姿勢は同じで、発表と議論(その集約としてのレポート)が重視されます。もちろん授業科目ですから、自分の専門以外の分野を学ぶ場でもあります(非常勤講師科目を含む)。専門分野の研究を深めるためには、隣接分野についての知識を広め深めていくことが必要なことは言うまでもなく、また、分野によって発想の仕方や焦点の絞り方が異なるところもあって、よい刺激になります。

 授業以外には、院生の研究発表会が年2回(1回は教員も全員参加、1回は院生が自主的に開催)あり、お互いの研究成果を発表し、議論しあっています。また研究会として、現在のところ、上代研究会、日本紀研究会、吾妻鏡勉強会、ことのはサークルといったものが開かれています。他にも、研究者として活躍する卒業生と交流する機会(国文学会総会、卒業生と合同の研究会など)もあり、院生は、そうした場を通じて様々な研究情報を収集・交換し、研究の幅を広げています。

 教員の研究内容を簡単に紹介すると、村田教授は、和歌と漢詩文が専門で、萬葉集の作家と作品、萬葉集の享受史、日本漢詩文の研究に加えて、近年は、近代詩歌、特に正岡子規の世界に研究を広げています。小林教授は、今昔物語集・沙石集・三国伝記などを中心とする説話文学が専門で、説話集の構想や発想の研究とともに、説話世界の基盤となる仏教世界や鎌倉武士の世界との関係の究明に取り組んでいます。久堀准教授は、人形浄瑠璃史が専門で、浄瑠璃の特質や近松浄瑠璃の研究に加えて、近世淡路人形座の活動の発掘にも研究を広げています。奥野准教授は、芥川龍之介など大正期の文学を専門とし、文学を育んだ文化的土壌、特に当時のサブカルチャーといえる講談本の実態と影響力について研究しています。丹羽教授は、現代語文法が専門で、「は」と「が」の問題、係助詞・副助詞、テンス・アスペクト、連体修飾関係などの文法現象の解明と体系化に取り組んでいます。

 大学院生は、文学では、上代から近代の様々な韻文や散文を、語学では、文法・意味の様々な分野を研究対象としています。それとともに、授業や上記の発表会、普段の交流によって、他の専門領域について学ぶ機会も少なくありません。

 大学院生の進路は、研究者として大学に就職する、高校や中学校の教員になるという道が一般的です。学部学生で高校・中学の教員を志望する人は、学部を卒業して教員になるよりも、前期博士課程を修了して専修免許を取得した上で教員になるという人が多くなりつつあります。また最近は、前期博士課程の修了者が民間企業に就職するケースも少なくありません。

出版物

 学術雑誌『文学史研究』(1955年創刊)を、毎年1回刊行しています。第48号(2008年)からはWEB上にPDFファイルによる公開もしています(国語国文学教室のホームページ内)。

学会活動

 大阪市立大学国語国文学会が1954年に設立されています。年に1度開催される総会では、講演と研究発表が行われます。また、上記の『文学史研究』は、この学会の出版活動として刊行しているものです。

スタッフ

丹羽哲也 教授現代語の意味と文法。日常われわれが使っていることばがいかなる仕組みでできているか、また、それが過去から現代までいかに変化してきたかという研究。
村田正博 教授古代の文学者たち、人麻呂や家持らは詩歌にどんな志を託したか、我々はそれをいかに受け取るか、究明に努める。
小林直樹 教授中世の説話と説話集の研究。作品世界とその背景をなす文化的基盤の両面を究明する。
久堀裕朗 准教授近世文学、主に人形浄瑠璃史の研究。作品がどのような時代背景のもとに生まれ、どのように享受されていったのかを考察する。
奥野久美子 准教授近代文学、特に芥川龍之介など大正期の作品研究。草稿や典拠、文化的背景の考察により、作品の成り立ちを研究する。