■ 都市計画に関する基礎調査・研究
●【都市の環境認知構造に関する研究】
さまざまなメディアを通じて伝播している都市像を解析することから、地域イメージが醸造される構造を検証する。とりわけ、その背後にある政治的力学や都市戦略と、市民の実際行動との乖離と融合の過程に生じる合意形成プロセスについて、従来にない解析の視座を模索する。これまでは主として京都を事例に、産業都市が歴史都市という像をまとってゆく過程を検討している。
■ 近代建築史・産業技術史・イベント史・ディスプレイ史に関する研究
●【都市型交流施設・観光施設に関する社会史的研究】
日本型の倶楽部施設の成立過程、遊園地・ホテル・百貨店・国際会議場などの都市型集客装置、およびリゾート地に立地する諸施設の動向を、計画者・設計者の視点だけではなく、ユーザー側からの論述を含めて社会史として論じることから、近代日本における「都市」の本質について、従来にない視点から論じる。とりわけ「ビジター都市」という概念から、住民にのみ立脚点を見出そうとしていた既往の「都市論」の書き換えをはかる。
●【商業建築に関する産業技術史的研究】
市井の商業建築のほか、テーマパーク・旅館・仮設劇場・博覧会などの諸施設など、従前の近代建築史では対象となしえなかった建築群のありようについて、社会背景と関連づけながら考察を加える。
●【近代日本における展示技術に関する産業技術史的研究】
近代日本において、広義のディスプレイ産業が成立する過程、およびその技術の発展を検証する。表層をおおい付加的なものと認知されがちな「飾り文化」「ディスプレイ」を論じることから、近代における建築や都市デザイン、土木技術などの本質を、「転倒」させつつ明示する。
●【メディアイベントと地域文化形成に関する事業史的考察】
近代において、新聞社・放送局・広告代理店等の情報産業が、官庁や百貨店や電鉄会社などの商業資本と連携しつつ産みだしたイベント空間のありよう、大量動員システムの成立過程を検討する。その作業を通じて、地域開発や大衆文化のありようにメディアが関与した意味を明示、将来の情報環境の示す問題点を指摘する。
■ 建築企画・施設計画に関する基礎調査・研究
●【アミューズメント施設の環境計画における基礎調査】
遊園地等における入場者の実際行動などから、新たな景観形成計画などを誘導する方法論を確立する。
●【展示技術開発に関わる企画・調査】
ミュージアムの展示企画、風景型イベントの構想など、地域の文化施設、地域イベントへの関与を通じて、そのデザイニングの指針を検討する
■ 都市観光研究
●【都市型観光とアジア諸都市の文化・環境の変容に関する研究】
アジア諸都市における商業地域、および観光開発のフィールドワークを通じて、大量消費文化に代表される外からのインパクトが、内なる環境、とりわけ文化的環境の変容に与えうる影響について検討する。とりわけ「アメリカ文化帝国主義」の産物であるテーマパーク的地域開発手法が、中国各都市でいかに受容され、また反発されているのかを、実施調査から明示し、日本や韓国、タイ、インドネシア等の事例との比較検討を進めている。
●【環境計画学領域における観光研究の構築に関する研究】
欧米の環境学領域においては、観光ひいては人の移動に関わる問題意識が確立されており、実際、公共の環境行政のなかにあっても、ツーリズムを検討する諸領域が占める部分が小さくない。しかも喧伝されているエコツーリズムやグリーンツーリズムのような、狭義の「環境観光」ではなく、より広義のツーリズムスタディーの深化と、対応する行政手法の確立、およびビジターズインダストリーの振興などが総合的に検討されている。日本における観光のありようを環境計画学の見地から、批判的に論じつつ、その再編成に向けて新たな論点の確保を目的とする。