学部・大学院

日本史コース

jhis

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ある出来事が起きた年代を暗記するのが歴史学ではありません。ある事件や現象、政治・経済・社会・文化の仕組みは、前段階のどのような状況の中からうまれ、そのためにどのような本質を持ち、次の段階にどのように影響するのか。これを、史料によって明らかにする学問です。これは、人間の文化や社会の本質的なものを、≪時間≫軸における変化のなかに把握する学問だと言い換えることができるでしょう。

歴史学は、全世界の過去の人間のいとなみを対象としますが、「日本史コース」では、主に我々の自国史である日本のことを対象とします。本コースのスタッフは5人で、日本史の大きな時代区分である古代・中世・近世・近代と考古学の分野をカバーしていますので、学生諸君が日本の歴史のどの時代の何を勉強しようと思っても対応できる体制になっています。古代~近代のスタッフは、大きくは社会史を得意にしていますが、特に都市史については、全員が専門的に研究しており、古代から現代までの大阪の都市史については、一貫した研究蓄積をもつ特色あるコースとなっています。その反面で、純粋な思想史は、やや指導が十分ではないかもしれません。もちろん、思想をその時代の社会や文化のあり方のなかで考えるような研究(文化史)には十分対応できます。

また、考古学のスタッフは、古墳時代を中心に研究していますが、幅広く日本考古学全般に対応できます。

つぎに、「日本史コース」に進んだ場合の、専門の学修について説明します。過去のことを史料(考古学の資料を含む)に基づいて考えるには、史料の読み方・扱い方を身につけ、これまでの研究の蓄積を知らねばなりません。そのため卒業論文の作成に向けて、しだいにレベルを高めて学修していけるように授業科目を用意しています。

コース決定前ですが、1回生のうちに「人間文化概論」「人間文化基礎論」で広く人間や文化に関する捉え方を学んでおいてください。また12回生の間に「史学概論」(2回生時)、「日本史基礎講読Ⅰ・Ⅱ」(12回生時)で歴史学とは何かを考えてもらいます。日本史コースへの在籍が決まった2回生になると、「日本史通論Ⅰ・Ⅱ」「考古学通論」でやや高度な講義を聞き、「日本史講読Ⅰ~Ⅳ」「考古学実習」で史料の読み方・扱い方・調べ方を学びます。3回生は、「日本史演習Ⅰ~Ⅳ」「考古学演習」でテーマの立て方、論文の読み方を身につけます。3回生以上では、高度な研究内容の「日本史特講Ⅰ~Ⅳ」を受講します。以上の学修の上にたって、4回生では、「卒業論文」の作成が中心となり、「卒論演習」も行われます。

「日本史コース」のカリキュラムについていくつか注意点を述べておきます。1つは、歴史学は総合的な学問ですから、歴史や人間・文化について幅広く勉強するとともに、自分で興味をもったテーマについて自主的にどんどん学修を進めてほしいという点です。総合的な思索と個別の学修はどちらも大切であることを忘れないでください。

2つめは、科目選択の仕方の点です。「日本史コース」の学生は、選択必須科目である「日本史基礎講読Ⅰ・Ⅱ」「日本史通論Ⅰ・Ⅱ」「考古学通論」「日本史講読Ⅰ~Ⅳ」「日本史演習Ⅰ~Ⅳ」「考古学演習」は必ず履修し、その上で日本以外の歴史も積極的に学んでください。また、「日本史特講Ⅰ~Ⅳ」は、カリキュラムの都合上、自由選択科目になっていますが、「日本史コース」の学生は、すべて履修することが必要です。

これらの点は、2回生に進級する時点で、「日本史コース」に進む学生全員に対してガイダンスを行い、もっと詳しく説明する機会をもちます。

大学での学修は、授業の場だけではありません。「日本史コース」でも様々な場が用意されています。毎年、夏休みには、「日本史コース」全体で地域の歴史資料の総合的調査を23日で行っています。これは、調査に従事する3日間だけでなく、学生・院生・教員で実行委員会を組織して、春から準備を始め、翌年春に調査報告書をまとめて終了する息の長い取り組みです。苦労も多いですが、生の史料にふれ、その扱い方、整理法を身につけるための絶好の機会となるでしょう。また、「世界史コース」といっしょに、大阪近辺の史跡見学会(日帰り)、各地の史跡・博物館・史料館を訪れる実習旅行を行っています。これらは、「日本史コース」ではいずれも授業に準ずるものと位置付けています。

また19985月には、日本史研究室を基礎に「大阪市立大学日本史学会」が設立されました。

本学会は、毎年5月に研究大会を開催し、『市大日本史』という学術雑誌を刊行するなどの活動を行っていますが、学生は一般会員とは区別された学生会員となります。この他、教員・院生も加わった時代ごとの研究会や、古文書を読む会などが多数開催されています。これらに積極的に参加して自主的に学んでください。

スタッフ

岸本直文 教授 古墳や古墳群を通じて古墳時代社会について研究している。近畿地方の前方後円墳の調査を順次実施する予定である。
磐下徹 准教授 日本古代史(郡司制度の研究、古記録の註釈、大坂の古代史)
仁木宏 教授 中世~近世初頭の近畿地方を中心として、都市や村落の歴史を研究している。京都とその郊外、大坂の寺内町などが主なフィールドである。
塚田孝 教授 近世(江戸時代)の巨大都市である江戸や大坂の民衆生活のあり方を近代まで視野に入れて研究している。最近は、和泉地域の寺院社会史も研究。
佐賀朝 教授  近代(明治~)の巨大都市大阪について、都市内に存在した多様な地域社会に注目して研究。近年は、近世~現代の「遊廓社会史」にも取り組む。

コース決定にあたっての心構え

歴史学は総合的な学問です。日本史に限らない、様々な地域や時代・分野の歴史に興味と関心を持ってください。その中から徐々に自分のテーマを探っていきましょう。また、すでにやってみたいテーマがある人は、それに関係ある論文などをどんどん読んでみましょう。その中でそのテーマにもっと深い興味がわくこともあるでしょうし、それまでの単なる”歴史好き”的関心を反省し、新たなテーマに興味が出てくるかもしれません。
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回生のうちに履修しておいてほしいことに触れておきます。外国語については、どれを選択していてもかまいません。日本史を勉強するためには、史料の読解力を身につけることが必要です。これについては、専門課程の中で学ぶことになりますが、条件のある人は古文書の読み会などに出てみるとよいでしょう。
全学共通教育科目では、「日本史の見方」「日本社会の歴史」「考古学入門」はもちろんですが、総合Aの「歴史のなかの大阪」「環境と歴史」「戦争と人間」を履修することが望ましいでしょう。これ以外にも、東洋史・西洋史などの歴史関係の科目は積極的に履修してください。
専門教育科目のうち、哲学歴史学科の必修科目は1回生のうちに履修しておくのが望ましいでしょう。「日本史コース」の選択必修科目のうち1回生が履修できる「日本史基礎講読I」もぜひ履修してくだい。

卒業後の進出分野

以前は、大学で学んだ歴史学を活かし、学校の先生になる人も多かったのですが、近年は、一般企業、自治体などに就職する人が多くなっています。しかし、その場合にも、総合的な学問である歴史学を学んだことは、自らの創造性を求められる職場では、大きな力となることでしょう。また、先述のように大学院に進んでから博物館・資料館の学芸員、自治体史の編纂担当者、発掘担当技師、大学教員になる人もいます。

メッセージ

以上では、できるだけ詳しく「日本史コース」について説明しようとしましたが、意を尽くしていないところも多いと思います。質問や迷いのある1回生の皆さんは、ぜひ、私たち日本史の教員に相談してください。1回生でも意欲のある人は、前に紹介した史料調査や研究会にもぜひ参加してください。
はじめに、歴史学とは、「人間の文化や社会の本質的なものを、《時間》軸における変化のなかに把握する学問だ」と述べました。それは一面で、今を生きる自己の探求でもあります。さあ、いっしょに、歴史学という自己探求の旅に出発しましょう。