学部・大学院

社会学コース

soc

http://www.lit.osaka-cu.ac.jp/soc/

[社会学とは何か]

学問は、すべて対象と方法によって特徴づけられます。

これを社会学について述べますと、社会学の研究対象はあらゆる社会現象にわたり、文字どおり古今東西におよびます。アト・ランダムに例示すれば、(1)アフリカ難民の集団形成、(2)ナチズムの統治機構、(3)公害都市から環境都市へ、(4)核家族と産業、(5)天皇制とメディア文化、(6)選挙制度の国際比較、(7)階層の史的分析、(8)カルト宗教の社会的背景、(9)近代化と共同体……一見したところ無原則・雑多と思われるような集積ができあがります。このように、対象選択に関するかぎり、社会学ほど自由な学問は、まずないでしょう。この「自由さ」に惹かれて、昔も今も、多くの学生が社会学を志望して来ます。

たとえば政治学なら、上の(3)(6)くらいしか対象にならないでしょう。自由度がより小さい。これはもちろん価値判断ではありません。政治学は社会学とちがって、はじめから対象がよりはっきりしており、きびしく限定されているのです。その点、社会学はゆるやかであり、だらしないともいえる。学問には、主に固有の対象によって定義される「対象学」と、その点であいまいなものとがあるわけです。

社会学はあいまいなほうに属するのですが、それでは学問としての固有性・独自性はいったいどこにあるのかといえば、社会学では、あらゆる社会現象を選択の対象とすることができるかわりに、選択の仕方そのものに一定の原則・約束・方法があり、それにもとづいて選択・抽出がなされます。対象と方法との関連がより密接不可分で、視点や方法によって対象性が規定されてくる。その意味で社会学は、対象学というよりは「方法学」としての性格が強いといえます。

では、社会学の固有の視点とは何か。それは、社会現象をつねに人間・社会関係・集団のあり方や行為として解釈していくところにあります。あらゆる社会現象は、共通に「人と人」、「我と汝」、「個人と社会」の相互関係=集団の現象にほかならない。この側面に焦点をおいてあらゆる社会現象にアプローチするのが、社会学の固有性です。

[教育方針とカリキュラム]

「社会学コース」の教育方針とは、人間と社会を分析する社会学的認識方法の実践を通して社会に貢献できる有用な人材を育成し、世に送り出すことです。

この目的を達成するために、カリキュラムを理論系と調査系の2本柱で総合的に構成しています。「理論なき調査は盲目であり、調査なき理論は死んでいる」という有名な言葉がありますが、理論と調査は互いに他を前提としあう車の両輪のような関係にあり、どちらも大切なことはいうまでもありません。

理論系には、「人間行動学概論」(1年―標準履修年次)、「社会学概論」「社会学史」(2年)、「社会学演習」(24年)などがあります。聴講と読書と討論によって知識を増やし、問題意識を高めることができます。一方の調査系には「人間行動学データ解析法」(12年)、「社会学研究法」「社会調査法」(2年)、「社会学実習」(3年)などがあります。社会調査の方法を学び、街に出て実際にフィールドワークや意識調査を行います。また、調査系の科目を履修することによって「社会調査士」の資格を取得することが可能です。

以上は主として学科必修科目またはコース選択必修科目ですが、ほかに自由選択科目として、専任スタッフと非常勤講師によるさまざまな特論・特講などがあります(多くは24年の間に随時選択履修)。次項で紹介するように専任スタッフの研究領域はかなり多彩といえますが、それでも多様に専門分化している現代社会学の全領域をカバーすることは到底不可能です。そこで皆さんに社会学の豊饒な世界を少しでも多く知ってもらうために、他大学からも非常勤講師を招き、専門の講義をしていただきます。

以上のコースをへて社会学的方法を身につける一方、自らの研究対象を選択・決定した上で、最終学年で「卒業論文」を作成します。

スタッフ

進藤雄三 教授  (理論社会学)理論社会学・医療社会学・家族社会学を専攻。現在の主な研究テーマは医療専門職論、近代家族論、死の社会学。
石田佐恵子 教授 (理論社会学)文化社会学・映像社会学・メディア文化論を専攻。現在の主な研究テーマは、映像と社会の関係、文化のグローバル化、アーカイブスの公共性について。
伊地知紀子 教授 (経験社会学)生活世界の社会学・地域社会学・朝鮮地域研究を専攻。現在の主な研究テーマは、東アジアにおける国際移動とローカリティについて、在日済州島出身者の生活史、日本と朝鮮半島の海域生活者について。
川野英二 准教授 (応用社会学)都市・社会政策の社会学・比較社会学を専攻。現在の主な研究テーマは、大都市の貧困と社会的排除に関する国際比較研究。
笹島秀晃 講師 (都市社会学)

コース決定にあたっての心構え

1年次に受講できる社会学関連の科目は、共通教育・専門教育あわせてかなりの数があります。共通教育では、「現代文化の社会学」「都市的世界の社会学」「現代社会学入門」「家族と社会」「メディアの社会学」「現代の社会問題」(ただし、毎年の実際の開講科目は異なるので要注意)。これらを可能な限りすべて履修しておくことが望ましい。また、心理学・教育学・地理学、アジア都市文化学・表現文化学、政治学・経済学など、隣接科学からの提供科目も、幅広く学んでおいてください。
一方、専門教育では、先述の「人間行動学概論」「人間行動学データ解析法」などの学科必修科目があります。外国語については、英語はもちろん、新修外国語をしっかり履修しておくこと。大学院進学希望者はもちろん、卒業後にどの分野に進むにせよ、ヨーロッパ・アジア諸国の言語やロシア語は、将来きっと役に立つはずです。
つぎに日頃の心構えとして、こんなことを試してみてはいかがでしょうか。現代社会を解読するキーワードとして、「少子高齢化」「情報社会・監視社会化」「リスク社会」「グローバル化」などがあります。これらは、われわれの生活を根本から規定している不可抗・不可避の社会変動といえます。だから、社会学コースを志望する人は、これらのキーワードをいつも頭から離さないでおいてください。新聞やテレビで報道される日々の出来事はどれも、これらのキーワードと直接・間接にどこかで関連しているにちがいない。その関連づけを考えながらニュースを読む、いわば思考の自主トレが、いざ社会学を本格的に勉強する段になって必ず役立ちます。社会学の「分析方法」は専門科目で学びますが、その対象である「社会現象」への関心を十分に高め準備をしておいてください。

大学院

卒業後も続けて社会学を研究したい人のために、大学院前期博士課程(修士課程)と後期博士課程に進む道が開かれています。現在の院生は、社会学理論、医療社会学、メディア論、都市問題、エスニシティ研究など、それぞれ自由にテーマを選んで研讃に励んでいます。また就職先としては、大学・研究機関の教育・研究職のほか、近年では公務員、教諭、NPO団体、民間調査機関などに就職する人も増えています。

卒業後の進出分野

製造業、サービス業、公務員、教員、マスコミ関係、進学など、多種多様ですが、人事・市場調査・広報公聴・企画開発といった部門が考えられます。これには社会学の方法、具体的には社会調査の知識と技術が関連しています。最近の卒業生の進路は、大学院進学、公務員、高校教員、新聞社、テレビ局、各種メーカー、流通業、不動産関係、IT関連企業などでした。

メッセージ

自分が社会学向きかどうかを知りたい人のために、ひとこと添えておきましょう。読書が好きな人、または好きになろうと努力している人、人間に対する興味・関心が旺盛な人、市民運動・ボランティア活動などに参加している人、または参加してみたいと思っている人―このうちどれか1つでもあてはまれば、あなたは社会学に向いています。